同じ「きはく」という読み方の「稀薄」と「希薄」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「稀薄」と「希薄」という言葉は同義語で、どちらも「液体の濃度が薄い」という同じ意味を持ちますが、それぞれの言葉の使い方には少し違いがあります。
稀薄と希薄の違い
稀薄と希薄の意味の違い
稀薄と希薄の違いを分かりやすく言うと、稀薄は常用漢字表に載っていない、希薄は常用漢字表に載っているという違いです。
稀薄と希薄の使い方の違い
一つ目の稀薄を使った分かりやすい例としては、「酸素が稀薄になる」「友人関係が稀薄な中高年が増えてきた」「人間関係が稀薄なので改善したい」「地方の地域の人口はとても稀薄である」などがあります。
二つ目の希薄を使った分かりやすい例としては、「この山はとても標高が高いため酸素が希薄だ」「職場の人間関係の希薄化が進んでいる」「希薄な世の中になっているので少し寂しい」などがあります。
稀薄の「稀」は常用外漢字
稀薄の「稀」が常用外漢字であるため、代用字として、常用漢字の「希」を用いた希薄が使われるようになりました。
稀薄は公用文では使えない
希薄は文化庁が定める常用漢字表に記載されているため法令や新聞などで使用できますが、稀薄は常用漢字表に記載されていないため法令や新聞などで使用できません。そのため、公的な書類などに記載する際には「希薄」を使う方が良いでしょう。
また、希薄は稀薄と全く同じ意味の言葉であり、どちらの漢字を使っても間違いではないことを覚えておくと良いでしょう。使いやすい方の漢字を使って良いものなので、好みに合わせて使い分けることが可能です。
稀薄と希薄の英語表記の違い
稀薄も希薄も英語にすると「sparse」「lean」「weak」などとなり、例えば上記の「人間関係が稀薄なので改善したい」を英語にすると「I want to improve because human relationships are sparse」となります。
稀薄の意味
稀薄とは
稀薄とは、液体や気体などの濃度や密度が薄いこと、物事に向かう気持ちや意欲などが弱いことを意味しています。
稀薄の使い方
「山頂は酸素がとても稀薄です」「この辺りはガスがとても稀薄です」「このビールは苦みから来る芳醇な風味は稀薄です」などの文中で使われている稀薄は、「液体や気体などの濃度や密度が薄いこと」の意味で使われています。
一方、「人間関係が稀薄になってきた」「問題意識が稀薄している」「内容がとても稀薄だ」などの文中で使われている稀薄は、「物事に向かう気持ちや意欲などが弱いこと」の意味で使われています。
稀薄は二つの意味を持っているのですが、日常生活やビジネスシーンでよく使われるのは、物事に向かう気持ちや意欲などが弱いことの意味になります。また、気持ちや意欲が弱いことからマイナスなイメージで使われることが多いです。
一般的に「稀薄」という漢字で書かれますが、稀薄の「稀」という字は常用漢字ではありません。
稀薄の類語
稀薄の類語・類義語としては、物の濃度や密度などが少ないことを意味する「薄い」、極めて薄く貧弱なことを意味する「薄っぺら」、比較的薄い状態のことを意味する「薄め」、見せかけだけでしっかりとした内容や実質がないことを意味する「空疎」などがあります。
稀薄の稀の字を使った別の言葉としては、少なくて珍しいことを意味する「稀少」、まばらで少ないことを意味する「稀疎」、滅多にないとても珍しいことを意味する「稀有」、たぐいまれな品物を意味する「稀物」(読み方:まれもの)などがあります。
希薄の意味
希薄とは
希薄とは、液体や気体などの濃度や密度が薄いこと、物事に向かう気持ちや意欲などが弱いことを意味しています。これは「稀薄」と全く同じ意味で使われている言葉です。辞書で調べた際にも、同じ項目に載っています。
表現方法は「関係が希薄」「内容が希薄」「意識が希薄」
「関係が希薄」「内容が希薄」「意識が希薄」「希薄な人」「希薄になる」などが、希薄を使った一般的な表現方法です。
希薄の使い方
「山の山頂付近は酸素が希薄です」「希薄燃焼エンジンを搭載した車が人気です」「このコーヒーは苦みがとても希薄だ」などの文中で使われている希薄は、「液体や気体などの濃度や密度が薄いこと」の意味で使われています。
一方、「みんなとの繋がりが希薄になる」「近所付き合いが希薄になっているのを感じる」などの文中で使われている希薄は、「物事に向かう気持ちや意欲などが弱いこと」の意味で使われています。
希薄の「希」という字は、稀薄の「稀」という字の代用字です。代用字というのは、本来の漢字の代わりに用いられる字のことを意味しています。
希薄の由来
稀薄の「稀」という字が常用漢字ではないため、代用字として常用漢字である「希」が使われたことで「希薄」という言葉が生まれました。一般的には「稀薄」とされますが、どちらの漢字で表記しても間違いではありません。
しかし、公的な書類などに記載する際には、常用漢字である「希」を使って「希薄」とする方が良いでしょう。「稀薄」という漢字の方が、最初からあった表記であるというだけで、どちらの字でも意味は全く同じです。
この代用字というのは、他の単語でも使用されるものです。例えば、本来は「激昂」であるところを「激高」と表記するのが代用字です。本来の字が難しい字面であったり、常用漢字ではない場合に代用字が使われます。
前述したように、どちらの漢字で表記をしても同じ意味になるので、どちらでも好きな表記で書き記して良いものであると覚えておくようにしましょう。
希薄の対義語
希薄の対義語・反対語としては、密度が濃くてこまやかなことを意味する「濃密」、味や成分などが濃いことを意味する「濃厚」などがあります。
希薄の類語
希薄の類語・類義語としては、意志や体力などが弱いことを意味する「薄弱」(読み方:はくじゃく)、安っぽくて見劣りすることを意味する「ちゃち」などがあります。
希薄の希の字を使った別の言葉としては、滅多に見られないことを意味する「希覯」、溶液の濃度を溶媒を加えて薄めることを意味する「希釈」、中々手に入らない珍しい書物のことを意味する「希書」などがあります。
その他にも、世にまれなことを意味する「希世」、あることの実現を望み願うことを意味する「希望」、不思議なことを意味する「希有」、願い求めることを意味する「希求」(読み方:けく)などがあります。
稀薄の例文
この言葉がよく使われる場面としては、液体や気体などの濃度や密度が薄いこと、物事に向かう気持ちや意欲などが弱いことを表現したい時などが挙げられます。稀薄の「稀」という字は常用漢字ではありませんが、日常生活でも使用される漢字です。
例文2や例文5は、液体や気体などの濃度や密度が薄いことの意味で稀薄を使っています。また、例文1や例文3は、物事に向かう気持ちや意欲などが弱いことの意味で稀薄を使っています。このように稀薄という言葉は、意味によって使う場面が全然違うのでそこは注意してください。
希薄の例文
この言葉がよく使われる場面としては、液体や気体などの濃度や密度が薄いこと、物事に向かう気持ちや意欲などが弱いことを表現したい時などが挙げられます。
稀薄の「稀」という字が常用漢字ではないため、代用字の「希」が使われるようになって出来たのが「希薄」という言葉です。意味合いとしては全く同じものであり、どちらの漢字を使っても問題ないです。
稀薄と希薄どちらを使うか迷った場合は、公的な書類などに記載する際には、常用漢字である「希」を使った「希薄」とする方が良いでしょう。その他の場合には、個人の好みによって好きな方の表記を使うことができます。