似た意味を持つ「誠実」(読み方:せいじつ)と「真面目」(読み方:まじめ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「誠実」と「真面目」という言葉は、どちらも「真心があるさま」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
誠実と真面目の違い
誠実と真面目の意味の違い
誠実と真面目の違いを分かりやすく言うと、誠実とは真心をもって人を裏切らないさまを表し、真面目とは真心をもって本気で取り組むさまを表すという違いです。
誠実と真面目の使い方の違い
一つ目の誠実を使った分かりやすい例としては、「目の前のことに誠実に取り組むことが大切です」「過ちと誠実に向き合うべきです」「誠実に生きることは難しいことですか」「彼は誠実さのかけらもない人間である」などがあります。
二つ目の真面目を使った分かりやすい例としては、「真面目な人は仕事においても信頼されます」「真面目すぎる人は融通が利かない」「英語が得意な人には真面目な人が多いです」「真面目にやっているのに結果が出ません」などがあります。
誠実と真面目の使い分け方
誠実と真面目という言葉は、どちらも真心があることや誠意があるさまを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
誠実とは、真心がこもっていて、うそ偽りがないさまを意味します。「誠実に取り組む」「誠実さに欠ける」のような使い方で、私利私欲をまじえず、相手の気持ちなどを裏切らないというニュアンスがある言葉です。
真面目とは、「真面目な人柄」「真面目に生きる」のような使い方で、いい加減でなく真心があるさまを意味します。また、「真面目にやる」「真面目に勉強する」のような使い方で、本気であることや真剣な様子を表す言葉です。
つまり、誠実とは私利私欲がなく人を裏切らないさまというニュアンスがあり、真面目とは真剣に取り組むというニュアンスが強い言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
誠実と真面目の英語表記の違い
誠実を英語にすると「sincerity」「faithfulness」「honesty」となり、例えば上記の「誠実に」を英語にすると「in good faith」となります。
一方、真面目を英語にすると「serious」「grave」「earnest」となり、例えば上記の「真面目な人」を英語にすると「a serious person」となります。
誠実の意味
誠実とは
誠実とは、私利私欲をまじえず、真心をもって人や物事に対することを意味しています。
誠実の使い方
誠実を使った分かりやすい例としては、「彼の誠実な人柄に惹かれました」「誠実な人は誰に対しても平等です」「恋愛における誠実とは一途な愛だろうか」「法令を遵守して公正誠実な事業活動を行います」などがあります。
その他にも、「自分の誠実さを自己PRで伝える」「英語の課題と誠実に向き合う」「誠実性の高い女性と結婚したいです」「誠実さに欠ける人を信用することはできない」「最初から最後まで誠実な対応であった」などがあります。
誠実の「誠」は訓読みで「まこと」と読み、うそ偽りのない心や飾りのない心を表し、「実」はそらごとでないことや真心を表します。誠実とは、真心があって嘘偽りがなく真面目なことを意味するプラスイメージの言葉です。
「信義誠実の原則」の意味
誠実を用いた日本語には「信義誠実の原則」があります。「信義誠実の原則」とは、法原則の一つであり、すべての人は共同生活を営む社会の一員として、互いに相手の信頼を裏切らないように誠意をもって行動すべきであるという法理です。「信義則」とも呼ばれています。
誠実の対義語
誠実の対義語・反対語としては、誠実でないさまを意味する「不誠実」、誠意や情味に欠けていることを意味する「不実」などがあります。
誠実の類語
誠実の類語・類義語としては、きわめて誠実なことを意味する「至誠」、労苦をいとわず物事にはげむことを意味する「忠実」、情が深く誠実なことを意味する「篤実」、正しくて嘘や偽りのないことを意味する「正直」、きわめて義理堅いことや実直なことを意味する「律儀」などがあります。
真面目の意味
真面目とは
真面目とは、嘘やいい加減なところがなく、真剣であること、本気であることを意味しています。
その他にも「真心のあること、誠実であること」の意味も持っています。
真面目の読み方
真面目の読み方は「まじめ」のほかに「しんめんもく」「しんめんぼく」とも読みますが、読み方によって意味が違ってくるので注意してください。
真面目の使い方
「明日から真面目に英語の勉強をします」「真面目に不真面目に生きようと決意した」「もっと真面目にやってほしい」などの文中で使われている真面目は、「真剣であること」の意味で使われています。
一方、「真面目な夫が浮気したとは思えません」「彼女は真面目だけどミスが多い」「真面目だと思っていた義父は借金まみれでした」「真面目な人が損をする世の中にしてはいけない」などの文中で使われている真面目は、「真心のあること」の意味で使われています。
真面目とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。真面目の「真」は嘘のない本当、「面」は顔や表面、「目」は人の眼を表す漢字です。
真面目という言葉の語源は平仮名の「まじめ」が由来であり、「まじまじと見る」の「まじまじ」と関係があるという説があります。「まじまじ」は目をしばたかせるさまであり、緊張で目をしばたかせることから、本気であることや誠実なさまを表現するようになりました。
真面目の対義語
真面目の対義語・反対語としては、真面目でないことを意味する「不真面目」、言葉や態度が軽々しくて誠実さが感じられないことを意味する「軽薄」などがあります。
真面目の類語
真面目の類語・類義語としては、大層まじめなさまを意味する「大真面目」、細かいところまで物事をきちんと行うさまを意味する「几帳面」、まじめで熱心なことを意味する「真摯」、正直なばかりで臨機応変の行動をとれないことを意味する「愚直」などがあります。
誠実の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、真心があって偽りがなく真面目なことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、誠実の慣用的な言い回しには「誠実な人」「誠実さ」「誠実な対応」などがあります。「誠実な人」とは、嘘をつかず真心をもって人や物事にあたるような人のことです。
真面目の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、本気であること、真心がこもっていて飾りけがないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、真面目の慣用的な言い回しには「真面目な人」「真面目な性格」「くそ真面目」などがあります。
例文2の「生真面目」は融通のきかないほど真面目なことであり、例文4の「くそ真面目」は真面目すぎておもしろみに欠けることを意味します。
誠実と真面目という言葉は、どちらも「真心があること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、真心をもって人を裏切らないさまを表現したい時は「誠実」を、真心をもって本気で取り組むさまを表現したい時は「真面目」を使うようにしましょう。