似た意味を持つ「無償」と「無料」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「無償」と「無料」という言葉は、どちらも金銭を支払う必要がないという意味の共通点があり、本来の意味は違いますが混同して使われる傾向があります。
無償と無料の違い
無償と無料の意味の違い
無償と無料の違いを分かりやすく言うと、金銭を含め一切の代償を払う必要がないことを指すか、金銭に関してのみ払う必要がないことを指すかの違いです。
無償と無料の使い方の違い
一つ目の無償を使った分かりやすい例としては、「無償の愛とは見返りを求めない愛である」「保育園の無償化が始まった」「材料を無償で支給して加工を委託している」「幼稚園の無償化には年齢制限がある」「就学支援金制度により実質無償となる」などがあります。
二つ目の無料を使った分かりやすい例としては、「無料で試し読みできる漫画が増えた」「無料体験期間を過ぎると自動で有料会員に」「普段だったらお金が掛かるものが無料公開された」「送料無料となっております」「無料でお楽しみいただけます」などがあります。
無償はボランティアなどの見返りを求めないもののことであり、無料は金銭は支払わないで良いけれど、場合によっては対価として他の何かをしなくてはいけないことを言います。
無償は、「無償の奉仕」という言葉にあるように、利害から離れて尽くすという意味があります。金銭だけでなく、全ての物事において見返りを求めないことを言います。
無料は、「無料サービス」という言葉にあるように、料金は不要であるが、その代わりに会員登録が必要であったり、アンケートに回答する義務があったりします。
しかしながら現在では、対価を得ることなく行われる家事などの無償労働に対して「タダ働き」などの言葉を使うことがあります。タダという言葉を聞くと「無料」だと思いがちであり、無償と無料は混同して使われる傾向があります。
無償と無料の英語表記の違い
無償を英語にすると「Free」となり、例えば「無償の愛」を英語にすると「Free love」になります。一方、無料も英語にすると「Free」となり、例えば「運賃無料」を英語にすると「carriage free」となります。
無償の意味
無償とは
無償とは、その行為を行っても報酬のないこと、または報酬や対価を求めないことを言います。金銭的なことはもちろんですが、金銭だけでなく、一切の報酬を受けないで行うことを意味しています。
表現方法は「無償の愛」「無償の利益供与」「無償の委任契約」
「無償の愛」「無償の利益供与」「無償の委任契約」などが、無償を使った一般的な言い回しです。
「無償労働」「無償契約」の意味
無償が用いられた言葉には、働いているにも関わらず対価を支払われない家事労働などに対して使われる「無償労働」、契約によって一方の当事者だけが全ての債務を負担する「無償契約」などがあります。
ボランティア活動や贈与なども無償の行為であると考えられています。いずれも、利害から離れて奉仕するような精神が根底にあるものを指します。
無償の対義語
無償の対義語・反対語としては、お金が掛かることを意味する「有償」、休んでもお給料がもらえることを意味する「有給」などがあります。
無償の類語
無償の償の字を使った別の言葉としては、賠償を求めることを意味する「求償」、対価を求めることを意味する「対償」、他人の代わりに償うことを意味する「代償」、損失を補ってもらうことを意味する「補償」などがあります。
無料の意味
無料とは
無料とは、料金がかからない、支払いが必要ないことを言います。詳しく説明すると、金銭としての支払いは必要ないが、それ以外の対価を必要とすることを意味しています。
表現方法は「無料で遊べる」「無料で受けれる」「無料でくれる」
「無料で遊べる」「無料で受けれる」「無料でくれる」などが、無料を使った一般的な言い回しです。
「無料登録」「無料サンプル」の意味
無料が用いられた言葉には、金銭は不要であるが自分自身の個人情報を記入する必要のある「無料登録」、代金の支払いは不要であるがその商品を使った感想などのレビューを書かなくてはいけない場合もある「無料サンプル」などがあります。
無料の対義語
無料の対義語・反対語としては、お金が掛かることを意味する「有料」があります。
無料の類語
無料の料の字を使った別の言葉としては、罰金を意味する「過料」、労働の対価としてもらうお金を意味する「給料」、物を作る材料のもとになるものを意味する「原料」、食べる物を意味する「食料」などがあります。
無償の例文
無償は自分の行いに対して、見返りを何も求めないという意味で使われます。労働や活動などの他にも「愛」や「精神」など、形のないものに対して使われることもあります。
この言葉がよく使われる場面としては、「無償の愛」という言葉にあるように愛を捧げるような場面、「無償で寄付をする」という言葉にあるように奉仕精神を掲げるような場面で使われることが多いです。
この言葉は、主に良い意味で使われることが多く、ボランティアの活動や、愛護団体の活動などが無償の行為にあたります。
ただし、家事労働などに対して「無償である」という言葉を使うことは、家事という行為を軽視していると近年では問題視されているので、使い方には注意をする必要があります。他人を傷つけてしまうような使い方は避けましょう。
無料の例文
無料は支払いが必要ないという意味で使われます。無料の料を「料金」の料と考えるとわかりやすくなります。無料の場合、必要ないのは料金だけであり、金銭を支払っていない代わりに対価が必要になる場合があります。
この言葉がよく使われる場面としては、ポイントカードや、なんらかのサービスに対する「無料会員登録」などです。金銭の支払いなしで会員登録をすることは出来ますが、登録の際に個人情報などを提供する必要があります。
また、インターネット番組をはじめとする「無料配信」など、情報を無料で提供したりする場面でも使われます。多くは導入部分だけ無料で視聴することが可能で、番組の核となる部分は有料登録が必要であったりします。
その他にも、「無料宿泊所」などの言葉があります。宿泊することに対する代金は不要ですが、掃除や洗濯、食事の支度などは宿泊者が自分で行う必要があることがほとんどです。
このように、料金は必要ないけれど、それ以外の部分で対価が必要になるもの、料金だけが必要ないものを「無料」と言います。