似た意味を持つ「所定」(読み方:しょてい)と「指定」(読み方:してい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「所定」と「指定」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
所定と指定の違い
所定と指定の意味の違い
所定と指定の違いを分かりやすく言うと、所定とは前もって決められいること、指定とは多くの中からそれと決めることという違いです。
所定と指定の使い方の違い
一つ目の所定を使った分かりやすい例としては、「払い戻しには所定の手数料がかかります」「当社所定の為替レートを適用します」「所定休日も法定休日も労働の義務はありません」「所定労働時間に休憩時間は含まれません」などがあります。
二つ目の指定を使った分かりやすい例としては、「JRAの指定席はいつから予約できますか」「荷物の配達日時を指定する」「指定可燃物の取扱いには注意してください」「指定難病の医療費助成を受けています」などがあります。
所定と指定の使い分け方
所定と指定という言葉は、どちらも物事が決められている様子を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
所定とは、定まっていることや決められていることを意味します。「所定の手数料」とは、前もって定められていた手数料を意味し、手数料が規定によって決められていたことを表します。所定という言葉には、規則として以前から決められているというニュアンスがあります。
指定とは、場所や時間あるいは事物などを特にそれと定めることを意味します。「指定席」「日時を指定する」のような使い方で、ある目的のために多くの選択肢の中から特に選ぶというニュアンスがある言葉です。
つまり、所定とは前もって定められていることを表現し、指定とは多くの中から特にそれと定めることを意味します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
所定と指定の英語表記の違い
所定を英語にすると「fixed」「designated」「prescribed」となり、例えば上記の「所定の手数料」を英語にすると「the prescribed fee」となります。
一方、指定を英語にすると「assignment」「specification」「reservation」となり、例えば上記の「指定席」を英語にすると「a reserved seat」となります。
所定の意味
所定とは
所定とは、決められていること、決まっていることを意味しています。
所定の使い方
所定を使った分かりやすい例としては、「収入証紙を申請書の所定の欄に貼ってください」「所定の手続きにより通帳が発行されます」「所定の様式をダウンロードする」「本は所定の位置に戻してください」などがあります。
その他にも、「所定労働日数は就業規則で定められています」「所定労働時間の計算方法を調べています」「所定労働時間と法定労働時間は違います」「所定休日に出勤した場合は残業扱いになりますか」などがあります。
所定の「所」は訓読みで「ところ」と読み、限定される場所や部分あるいは場面を表します。「定」は訓読みで「さだめる」と読み、物事を決めて変えないことを表す漢字です。この二つの漢字が組み合わさり、所定とは、確かにそれと決まっていることを意味します。
表現方法は「所定労働日数」
所定を用いた日本語には「所定労働日数」があります。所定労働時間とは、就業規則や労働契約に定められている労働日数を意味します。所定労働日数には上限はなく会社ごとに設定できますが、労働基準法で定められた年間休日の最低日数を守る必要があります。
所定の対義語
所定の対義語・反対語としては、まだ決まっていないことを意味する「未定」などがあります。
所定の類語
所定の類語・類義語としては、はっきりと定まることを意味する「確定」、すでに決まっていることを意味する「既定」、仮の措置としてとりあえず定めることを意味する「暫定」、物事や条件をつくり定めることを意味する「設定」、行動を前もって定めることを意味する「予定」などがあります。
指定の意味
指定とは
指定とは、人・時・所・事物などを特にそれとさして決めることを意味しています。
その他にも、「行政官庁が法令によって特定の資格を与えること」の意味も持っています。
指定の使い方
「Excelで複数条件を指定する」「指定席券売機の使い方が分かりません」「指定校推薦の志望理由書の書き方を教えてください」などの文中で使われている指定は、「時や所などを特にそれとさして決めること」の意味で使われています。
一方、「指定野菜にブロッコリーが追加されました」「福岡県内の指定暴力団を調べています」「指定難病一覧を番号順に作成する」「指定医薬部外品とはどのような効果がありますか」などの文中で使われている指定は、「行政官庁が特定の資格を与えること」の意味で使われています。
指定とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。指定の「指」は訓読みで「さす」と読み、物や場所あるいは方向を示すこと、人や物をそれと決めて示すことを表す漢字です。
表現方法は「指定難病」
指定を用いた日本語には「指定難病」があります。指定難病とは、原因が不明で治療方法が確立していない難病のうち、厚生労働大臣が定める疾病のことです。難病法に基づき、その治療に係る医療費の一部が助成されます。
指定の対義語
指定の対義語・反対語としては、特に定まっていないことを意味する「不特定」などがあります。
指定の類語
指定の類語・類義語としては、特にそれと指定することや特にそれと定まっていることを意味する「特定」、数量や権限などを一定の範囲に限り定めることを意味する「限定」、名をあげてその人を指定することを意味する「指名」などがあります。
所定の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、定められたところ、定まっていること、一定を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「所定労働時間」とは、企業が就業規則などで定めた労働時間のことであり、法定労働時間の範囲内であれば自由に決定することができます。
指定の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、人や場所あるいは時間などを特にそれと定めること、行政官庁が調査したうえで特定の資格を与えることを表現したい時などが挙げられます。
例文2の「指定校推薦」とは、大学入試における推薦入試の一つで、大学が指定した高校の学校長が自校の生徒を推薦する制度です。
所定と指定という言葉は、似ていますが意味は異なります。どちらの言葉を使うか迷った場合、あらかじめ決められていることを表現したい時は「所定」を、多くの選択肢の中からそれと決めることを表現したい時は「指定」を使うようにしましょう。