似た意味を持つ「会釈」(読み方:えしゃく)と「挨拶」(読み方:あいさつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「会釈」と「挨拶」という言葉は、どちらも「礼儀を示す動作」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
会釈と挨拶の違い
会釈と挨拶の意味の違い
会釈と挨拶の違いを分かりやすく言うと、会釈とは軽く頭を下げて挨拶すること、挨拶とは言葉や動作で礼儀を示すことという違いです。
会釈と挨拶の使い方の違い
一つ目の会釈を使った分かりやすい例としては、「目が合ったので軽く会釈しました」「場面によって敬礼と会釈を使い分けています」「会釈の角度に気を付けてください」「海外で会釈をすると驚かれます」などがあります。
二つ目の挨拶を使った分かりやすい例としては、「憧れの先輩と挨拶を交わす仲になりました」「子どもに挨拶の大切さを教える」「挨拶状にイラストを挿入する」「Z世代で挨拶不要論が起こっている」「職場に挨拶しない人がいます」などがあります。
会釈と挨拶の使い分け方
会釈と挨拶という言葉は、どちらも人に会った時に取り交わす礼儀を示す動作を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
会釈とは、軽く挨拶を交わすことを意味し、ちょっと頭を下げて礼をする動作を指す言葉です。会釈は目上の人や親しい人と挨拶を交わすときのお辞儀であり、特にビジネスシーンやフォーマルな場面で行われています。
挨拶とは、人と会った時や別れる時などに取り交わす儀礼的な行為です。「こんにちは」「おはようございます」のように言葉で表現したり、お辞儀や手を振るなどのジェスチャーで表します。挨拶は、日常の人間関係を円滑にするために行われています。
つまり、会釈とは軽く頭を下げて挨拶する動作であり、挨拶とは言葉や動作で礼を示す行為です。会釈は挨拶の方法の一つであり、どちらもコミュニケーションの手段になっています。
会釈と挨拶の英語表記の違い
会釈を英語にすると「bow」「nod」「consideration」となり、例えば上記の「軽く会釈する」を英語にすると「bow slightly」となります。
一方、挨拶を英語にすると「greeting」「salutation」となり、例えば上記の「挨拶を交わす」を英語にすると「exchange greetings」となります。
会釈の意味
会釈とは
会釈とは、軽く挨拶や礼を交わすこと、そのあいさつや礼を示す所作を意味しています。
その他にも、「相手に心配りをすること、思いやり」「事情を納得して理解すること、事情を説明したりすること」「打ち解けて愛敬のあること」の意味も持っています。
会釈の読み方
会釈の読み方は「えしゃく」です。誤って「かいしゃく」「あいしゃく」などと読まないようにしましょう。
会釈の使い方
「道で知り合いに会釈する」「会釈する女性のイラストをダウンロードする」の文中で使われている会釈は「軽く挨拶や礼を交わすこと」の意味で、「会釈して責任は問わない」「遠慮会釈もない態度に腹が立つ」の文中で使われている会釈は「相手に心配りをすること」の意味で使われています。
一方、「私は一切のことを会釈しました」の文中で使われている会釈は「事情を納得して理解すること」の意味で、「会釈こぼしてご機嫌取りに必死だ」の文中で使われている会釈は「打ち解けて愛敬のあること」の意味で使われています。
会釈とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ちますが、一般的には「軽く挨拶や礼を交わすこと、そのあいさつや礼を示す所作」の意味で用いられています。会釈の「会」は出会うことや顔を合わせること、「釈」は解き明かすことや言いわけすることを表します。
会釈の語源
会釈の語源は、仏教語の「和会通釈」(読み方:わえつうしゃく)に由来します。会釈は和会通釈の略語であり、和会通釈は混乱した内容を分かりやすく解釈することを意味します。この意味が転じて、相手と上手く調和して対応することを意味し、さらには軽い挨拶を指すようになりました。
会釈の類語
会釈の類語・類義語としては、ちょっと会釈することを意味する「一礼」、頭を下げて礼をすることを意味する「お辞儀」、頭を低く下げて礼をすることを意味する「低頭」、相手の事情や心情をくみとることを意味する「斟酌」(読み方:しんしゃく)などがあります。
挨拶の意味
挨拶とは
挨拶とは、人に会ったときや別れる時などに取り交わす礼にかなった動作や言葉を意味しています。
その他にも、「会合の席や集会で、改まって祝意や謝意などを述べること」「相手に対して敬意や謝意などを表すこと、その動作や言葉」「相手に対して敬意や謝意などを表すこと」「相手の非礼な言葉や態度を皮肉っていう語」の意味も持っています。
挨拶の使い方
「挨拶文の書き出しに悩んでいます」「シンプルな英語で挨拶しました」の文中で使われている挨拶は「人と取り交わす礼にかなった動作や言葉」の意味で、「市議会議員に来賓挨拶を依頼する」の文中で使われている挨拶は「会合で祝意や謝意などを述べること」の意味で使われています。
一方、「引っ越しの挨拶に来ました」の文中で使われている挨拶は「相手に敬意や謝意などを表すこと」の意味で、「これはこれは随分な御挨拶だね」などの文中で使われている挨拶は「相手の非礼を皮肉っていう語」の意味で使われています。
挨拶とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。挨拶の「挨」は後ろから押すことや進めること、「拶」は圧迫することを表す漢字です。
挨拶の語源
挨拶の語源は、禅宗の「一挨一拶」(読み方:いちあいいっさつ)に由来しています。一挨一拶とは、互い心の様を押し合い推し量ることを表す禅語であり、言葉や動作で互いに相手の悟りの深さを試すことを表します。やがて、人と会ったときに取り交わす動作を「挨拶」と呼ぶようになりました。
挨拶の類語
挨拶の類語・類義語としては、初対面の人に自分の名前や経歴などを知らせることを意味する「自己紹介」、大勢の前で自分の意見や主張を述べることを意味する「演説」、会合の席などで大勢を前にしてする話を意味する「スピーチ」などがあります。
会釈の例文
この言葉がよく使われる場面としては、少し頭を下げて礼をすること、好意を示す応対や愛想あれこれの事情を考慮に入れること、を表現したい時などが挙げられます。
例文4にある会釈とお辞儀の違いは、会釈はお辞儀の種類の一つであり、お辞儀は頭を下げて挨拶することの総称である点にあります。お辞儀は角度によって「会釈」「敬礼」「最敬礼」に分かれます。
挨拶の例文
この言葉がよく使われる場面としては、人と会ったとき取りかわす儀礼的な動作、祝意・謝意・敬意、応対や返事などを述べる言葉を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある挨拶は、会合の席で改まって祝意を述べることの意味で用いられています。
会釈と挨拶という言葉は、どちらも「人に会った時に取り交わす礼」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、軽く頭を下げて敬意を示す行為を表現したい時は「会釈」を、言葉や動作で相手に敬意や謝意を伝える行為を表現したい時は「挨拶」を使うようにしましょう。