似た意味を持つ「活用」(読み方:かつよう)と「利用」(読み方:りよう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「活用」と「利用」という言葉は、どちらも「うまく使用すること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
活用と利用の違い
活用と利用の意味の違い
活用と利用の違いを分かりやすく言うと、活用とは本来の目的でうまく使用することのみを表し、利用とは本来の目的だけでなく本来の目的以外にも使用することを表すという違いです。
活用と利用の使い方の違い
一つ目の活用を使った分かりやすい例としては、「土地の活用方法を税理士に相談する」「SNSやインターネットを選挙に活用する」「データ活用で成功した事例をご紹介します」「農林水産省は水田のフル活用を推進しています」「大学受験で英語の外部試験を活用する」などがあります。
二つ目の利用を使った分かりやすい例としては、「インターネットを利用して取引を行う」「Wi-Fi環境を無料でご利用いただけます」「利用者証明用電子証明書を発行する」「SNSを利用した闇バイトが横行しています」「親切心を利用して金銭を要求する」などがあります。
活用と利用の使い分け方
活用と利用という言葉は、どちらも人や物などをうまく使うことを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
活用とは、物の機能や人の能力などを十分にいかして用いることを意味します。その物がもつ使用目的や、その人がもつ役割を申し分なく使用するさまを表す言葉です。上記例文にある「フル活用」とは、最大限に余すところなく活用することです。
利用とは、「インターネットを利用する」のような使い方で、その物がもつ本来の目的や性能をうまく使用することを意味します。一方、「親切心を利用する」「立場を利用する」のような使い方で、本来の目的以外に便宜的な手段として使うことも意味する言葉です。
つまり、活用とは本来の目的でうまく使用することのみを表現しますが、利用とは本来の目的以外で使用することも表現する言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
活用と利用の英語表記の違い
活用も利用も英語にすると「utilization」「application」となり、例えば上記の「活用方法」を英語にすると「manner of utilization」となります。
活用の意味
活用とは
活用とは、物や人の機能・能力を十分に生かして用いること、効果的に利用すること。を意味しています。
その他にも、「文法で、語がその用法の違いによって体系的に語形変化をすること、その変化の体系」の意味も持っています。
活用の使い方
「生成AIがビジネスで活用されています」「こちらの資料を活用させていただきます」「英語の能力は様々な場面で活用できます」などの文中で使われている活用は、「機能や能力を十分に生かして用いること」の意味で使われています。
一方、「不規則動詞の活用表を壁に貼って覚えよう」「現代文より古文の方が活用の種類が多い」「サ行変格活用の動詞は何でしょう」「動詞の活用形の見分け方を教えてください」などの文中で使われている活用は、「文法で、用法の違いによって語形変化をすること」の意味で使われています。
活用とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「物や人の機能・能力を十分に生かして用いること、効果的に利用すること」の意味で用いられています。活用の「活」は訓読みで「いかす」と読み、効果的に使うことを表す漢字です。
「活用形」の意味
活用を用いた日本語には「活用形」があります。活用形とは、日本語の用言や助動詞が活用してとる種々の語形を意味する文法用語です。文語文法においては、すべての活用語を通じて、未然形、連用形、終止形、連体形、已然形、命令形の6つを立てています。
活用の対義語
活用の対義語・反対語としては、活用せずにしまい込んでおくことを意味する「死蔵」などがあります。
活用の類語
活用の類語・類義語としては、そのもののもつ機能を生かして用いることを意味する「運用」、定まっている使途をはずれて別のことに用いることを意味する「流用」、人の言葉や文章を自分の話や文の中に引いて用いることを意味する「引用」などがあります。
利用の意味
利用とは
利用とは、役立つようにうまく使うこと、使って役に立たせることを意味しています。
その他にも、「便宜的な手段として使うこと、方便にすること」の意味も持っています。
利用の使い方
「利用規約の英語訳を依頼する」「ドコモの利用料金を確認する」「利用可能なパスキーがありません」「利用者識別番号の確認方法を教えてください」などの文中で使われている利用は、「役立つようにうまく使うこと」の意味で使われています。
一方、「パワハラは立場を利用した嫌がらせです」「愛情を利用した搾取は許しません」「県知事は地位を利用して職権濫用をしています」などの文中で使われている利用は、「便宜的な手段として使うこと」の意味で使われています。
利用とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。利用の「利」は物事が都合よく運ぶこと、「用」は使うことや役立てることを表します。
「利用者識別番号」の意味
利用を用いた日本語には「利用者識別番号」があります。利用者識別番号とは、国税電子納税システムであるe-Taxを利用する際に、割り振られる16桁の数字のことです。この利用者識別番号はマイナンバーとは異なるもので、確定申告などをするために必要になります。
利用の対義語
利用の対義語・反対語としては、使わないことや役に立たないことを意味する「不用」などがあります。
利用の類語
利用の類語・類義語としては、人や物を使うことを意味する「使用」、用いることや用いるものを意味する「所用」、本来の目的を他にかえて使用することを意味する「転用」、本来の用途とは違って悪い目的に利用することを意味する「悪用」などがあります。
活用の例文
この言葉がよく使われる場面としては、その真価をいかしてうまく使うこと、用言や助動詞の語尾変化を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「五段活用」とは、日本語の口語文法における動詞の活用のひとつです。「活用語尾」とは、用言の語尾で活用の際に変化する部分の音節を意味し、例えば「読む」の「む」や「寒い」の「い」の部分を指します。
利用の例文
この言葉がよく使われる場面としては、都合よく用いること、便宜的な手段として使うことを表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「不正利用」とは、不正に利用することを意味し、法律やルールをおかして不適切な手段で物を都合よく用いることを表します。
活用と利用という言葉は、どちらも「うまく使用すること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、本来の目的でうまく使用することを表現したい時は「活用」を、本来の目的だけでなく本来の目的以外にもうまく使用することを表現したい時は「利用」を使うようにしましょう。