似た意味を持つ「課長」(読み方:かちょう)と「部長」(読み方:ぶちょう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「課長」と「部長」という言葉は、どちらも「組織の責任者」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
課長と部長の違い
課長と部長の意味の違い
課長と部長の違いを分かりやすく言うと、課長とは一つの課の責任者、部長とは複数の課から成る部署の責任者という違いです。
課長と部長の使い方の違い
一つ目の課長を使った分かりやすい例としては、「この春に課長に昇進しました」「課長のあるべき姿を考える」「課長は中間管理職の位置づけです」「総務課長がパワハラで降格になりました」「20代で課長級ポストに就きました」などがあります。
二つ目の部長を使った分かりやすい例としては、「営業部長はもうすぐ定年退職されます」「責任を取って部長として役割を果たす」「部長と課長はどちらが上ですか」「私の同期に部長に向いている人はいません」などがあります。
課長と部長の使い分け方
課長と部長という言葉は、どちらも会社や官庁の管理職であり、ある組織の責任者を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
課長とは、会社や官庁に設けられた課を統率する責任者を意味します。課は部の直下に設けられる数名から十数名ほどの部署で、例えば「営業部営業一課」「営業部営業二課」などがあります。課長は課の管理職として、現場で部下と直接仕事をしながら社員教育も行います。
部長とは、会社や官庁に設けられた部を統率する責任者を意味します。部は複数の課を束ねるもので、総勢数十名の規模になることもあります。部長は、経営側の視点に立ち、課同士の連携をサポートしながら部署の目標達成に向けて指揮を執ります。
つまり、課長とは課の責任者として現場を管理する立場を表し、部長とは複数の課を束ねる部の責任者として経営者側の立場をとるものです。したがって、課長よりも部長の方が上位の管理職であり、責任も大きくなります。
課長と部長の英語表記の違い
課長を英語にすると「section chief」「section manager」となり、例えば上記の「課長に昇進する」を英語にすると「climb to the section manager」となります。
一方、部長を英語にすると「chief director」「director of a department」となり、例えば上記の「営業部長」を英語にすると「sales director」となります。
課長の意味
課長とは
課長とは、官庁や会社などで一つの課を統括・管理する職、また、その人を意味しています。
課長の使い方
課長を使った分かりやすい例としては、「人事課の課長代理を務めています」「課長クラスの年収はどれぐらいですか」「課長は英語が大の苦手だそうです」「課長島耕作に憧れてサラリーマンになりました」などがあります。
その他にも、「課長補佐を対象にしたマネジメント研修を受ける」「課長の年齢は40代前半だと思います」「課長と係長の息がぴったりだ」「課長には残業代がつかない法律があるんですか」「課長の役割と責任に押しつぶされそうです」などがあります。
課長の「課」は訓読みで「わりあてる」と読み、官庁や会社の事務の一区分を表します。多くは局や部の下にあり、係の上にあるものです。多数の人の上に立つ人を表す「長」と組み合わさり、課長とは、官庁や企業などの組織において、一つの課のマネジメントや人材育成を担う職を意味します。
課長を題材にした有名な漫画
課長を題材にした有名な漫画には「課長島耕作」(読み方:かちょうしまこうさく)があります。大手家電メーカーに勤務する団塊世代のサラリーマン・島耕作が、社内の派閥抗争とは距離を置きながらも出世街道を進んでいく姿を描いたものです。アニメ化やテレビドラマで実写化もされています。
課長の対義語
課長の対義語・反対語としては、特別の役職についていない一般の社員を意味する「平社員」などがあります。
課長の類語
課長の類語・類義語としては、その部署の係員の長で普通は課長の下の地位を意味する「係長」、その任務の担当者の中で上席の人を意味する「主任」、官公庁や企業などで管理または監督の任にある職を意味する「管理職」などがあります。
部長の意味
部長とは
部長とは、官庁や会社などで部の事務を統轄し、部下を監督する役職、また、その人を意味しています。
部長の使い方
部長を使った分かりやすい例としては、「帰国子女の部長は英語が得意だそうです」「部長と課長はそりが合わないようだ」「部長は趣味で漫画を描いています「部長になったら年収はどれぐらいになるのだろうか」「部長に向いていない人は課長止まりだ」などがあります。
その他にも、「部長の娘さんはイラストレーターです」「総務部長付の課長になりました」「部長の役割と責任をひしひしと感じています」「このところ部長の様子がおかしい」「高校の部活では部長を担っていました」などがあります。
部長の「部」は訓読みで「わける」と読み、全体をいくつかの範囲に分けたうちの一つを表します。いちばん上に位置するものを表す「長」と組み合わさり、部長とは、企業や官公庁などの組織において、部門あるいは部署の責任者としての役職を意味します。
「巡査部長」の意味
部長を用いた日本語には「巡査部長」(読み方:じゅんさぶちょう)があります。巡査部長とは、警察官の階級の一つであり、警部補の下と巡査の上にあって部下の指揮監督に当たるものです。警察官には、警視総監・警視監・警視長・警視正・警視・警部・警部補・巡査部長・巡査の9階級があります。
部長の対義語
部長の対義語・反対語としては、特に重要な役職についていない一般社員を意味する「非管理職」などがあります。
部長の類語
部長の類語・類義語としては、会社の業務執行の最高責任者を意味する「社長」、社長を補佐して会社の業務執行に当たる取締役を意味する「専務」、取締役のうち特に日常の経営業務の執行にあたる役職を意味する「常務取締役」などがあります。
課長の例文
この言葉がよく使われる場面としては、その課の長、一課の事務を総括し部下を統制する役職を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「万年課長」とは、課長職のまま昇進することなく定年を迎える会社員を意味します。マイナスイメージで使用されることが多い言葉です。
部長の例文
この言葉がよく使われる場面としては、その部の長、ある部署の事務を総括し部下を監督する役職を表現したい時などが挙げられます。
例文5について、基本的に役職名に「様」や「殿」を付けることは、二重敬語となり誤用とされています。しかし、会社によっては役職名に「殿」を付けることが認められているケースがあります。ただし、「殿」は上の立場の人が目下の人に対して使用する敬称ですので、使う際には注意が必要です。
課長と部長という言葉は、どちらも「ある組織の責任者」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、課を統率する責任者を表現したい時は「課長」を、部を統率する責任者を表現したい時は「部長」を使うようにしましょう。