同じ「きょうどう」という読み方の「共同」と「協同」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「共同」と「協同」という言葉は、どちらも「一緒に物事を行うこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
共同と協同の違い
共同と協同の違いを分かりやすく言うと、共同とは一緒に行うことを表し、協同とは力を合わせて行うことを表すという違いです。
一つ目の共同を使った分かりやすい例としては、「共同一致で事を進めていこう」「共同浴場付きマンションを購入しました」「ヨーロッパ共同体はいつ発足しましたか」「地球温暖化対策の共同声明に署名する」などがあります。
二つ目の協同を使った分かりやすい例としては、「県職員生活協同組合における不祥事が発覚した」「政府は産学協同プロジェクトを推進しています」「英語学習者にとって協同学習は有意義なものです」などがあります。
共同と協同という言葉は、どちらも複数の人や団体が一緒に物事を行うことを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
共同とは、同じ目的のために一緒に事を行うこと、同じ条件や資格で関わることを意味します。「共同浴場」とは、主に温泉地に存在する、地元の人々が管理する温泉を利用した浴場のことです。共同という言葉は、一緒に物事を行うことに重点が置かれる言葉です。
協同とは、複数の団体や人々が、力を合わせて物事にあたることを意味します。「産学協同」とは、産業界と学校とが相互に協力し合って、研究や技術者教育の促進を図ることを意味します。協同という言葉は、力を合わせて協力するという意味合いが強い言葉です。
つまり、共同とは何かを一緒に行うことや関わりをもつことを表現し、協同とは協力して物事を行うことを意味します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
共同も協同も英語にすると「cooperation」「collaboration」「partnership」となり、例えば上記の「共同一致で」を英語にすると「in unanimous cooperation」となります。
共同の意味
共同とは、複数の人や団体が、同じ目的のために一緒に事を行ったり、同じ条件・資格で関わったりすることを意味しています。
その他にも、「協同」の意味も持っています。
「共同親権制度はいつから始まりますか」「兄は共同通信社に就職が決まりました」「障害者の共同生活支援を考える」などの文中で使われている協同は、「複数の人や団体が同じ条件・資格で関わったりすること」の意味で使われています。
一方、「夫婦が共同で家族の問題に取り組む」「インフラ整備に共同で取り組んでまいります」「共同募金事業への協力をお願いいたします」などの文中で使われている協同は、「協同」の意味で使われています。
共同の読み方は「きょうどう」です。同じ読み方をする熟語に「協同」や「協働」がありますが、意味が異なるため書き間違いに注意しましょう。
共同とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「複数の人や団体が、同じ目的のために一緒に事を行うこと」の意味で用いられています。共同の「共」は訓読みで「とも」と読み、同じであることや一緒であることを表します。
共同を用いた日本語には「共同体」があります。共同体とは、家族や村落など、血縁や地縁に基づいて自然的に発生した社会集団を意味します。共同体であるコミュニティの価値や良さを重んじる政治思想を「共同体主義」と言います。
共同の対義語・反対語としては、ただ一つであることや他から独立していることを意味する「単独」などがあります。
共同の類語・類義語としては、共同で物事を行うことを意味する「提携」、独立した二つ以上のものが一つになることを意味する「合同」、二つ以上の団体が共同で一つの催しを行うことを意味する「共催」、異なる分野の人が協力して制作することを意味する「コラボレーション」などがあります。
協同の意味
協同とは、複数の人または団体が力を合わせて物事を行うこと、共同を意味しています。
協同を使った分かりやすい例としては、「タクシー協同組合に加入しています」「協同乳業の牛乳を毎日飲んでいます」「川崎市の協同病院に通っています」「協同組合は非営利組織です」「協同住宅ローンにもデメリットがあります」などがあります。
その他にも、「英語科における協同学習の効果を検証する」「みんなで協同することの大切さを知る」「長期にわたって協同することを誓う」「作業は協同することで時間を短縮されることができます」などがあります。
協同の読み方は「きょうどう」です。同じ読み方をする熟語に「協働」や「共同」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。
協同の「協」は訓読みで「かなう」と読み、力を合わせることや調子を合わせることを表す漢字です。ともにすることを表す「同」と結び付き、協同とは、いくつかの団体や人々が、心や力を合わせて助け合って取り組むことを意味します。
協同を用いた日本語には「協同組合」があります。協同組合とは、農林漁業者・中小商工業者、または消費者などが、その事業や生活の改善を図るために、協同して経済活動などを行う組織を意味します。消費生活協同組合と生産者協同組合に大別することができます。
協同の対義語・反対語としては、他とは関係なく自分勝手に振る舞うことを意味する「独走」などがあります。
協同の類語・類義語としては、力を合わせて事にあたることを意味する「協力」、互いに連絡をとり協力して物事を行うことを意味する「連携」、事業や催し物などの趣旨に賛成し協力することを意味する「協賛」、協力や提携して事にあたることを意味する「タイアップ」などがあります。
共同の例文
この言葉がよく使われる場面としては、二人以上の者が一緒に事を行なうこと、協同を表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「共同正犯」とは、複数人が共同して犯罪を実行するものを意味します。例文4の「共同親権」とは、離婚した父母双方が子どもの親権を持ち、子どもの監護や養育を行う制度を言います。
例文5の「運命共同体」とは、所属する人が、繁栄するときも衰亡するときも運命をともにする組織や関係性を指していう言葉です。
協同の例文
この言葉がよく使われる場面としては、二人以上の人や団体などが一つの仕事のために心や力を合わせることを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある協同と協働の違いは、協同は力をあわせて物事を行うことである一方、協働は力をあわせて働く点にあります。例文4にある「協同学習」とは、学習者が相互に協力しながら、共通の目標や課題の達成を目指す学習法を意味します。
共同と協同という言葉は、どちらも「一緒に物事を行うこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、一緒に行うことを表現したい時は「共同」を、力を合わせて行うことを表現したい時は「協同」を使うようにしましょう。