似た意味を持つ「項目」(読み方:こうもく)と「事項」(読み方:じこう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「項目」と「事項」という言葉は、どちらも「物事の内容」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
項目と事項の違い
項目と事項の意味の違い
項目と事項の違いを分かりやすく言うと、項目とは一つ一つの区分け、事項とは一つ一つの事柄という違いです。
「項目」と「事項」の使い方の違い
一つ目の項目を使った分かりやすい例としては、「カテゴリーごとに項目に分ける」「レポートは項目を立てて作成しましょう」「項目名は英語で書いてください」「人間ドックの検査項目をチェックする」などがあります。
二つ目の事項を使った分かりやすい例としては、「団体交渉の協議事項を整理する」「引継ぎ時に申し送り事項を伝えました」「特記事項は箇条書きで記入してください」「何か補足事項があればお願いします」などがあります。
項目と事項の使い分け方
項目と事項という言葉は、どちらも物事の内容や中身をまとめたものを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
項目とは、物事を区分けしたときの一つ一つを意味します。イベントの案内文を作成する際に「1.日時」「2.場所」「3.参加費」「4.問い合わせ先」などと見出しをつけますが、これが「項目」と呼ばれるものです。このように見出しをつけて列挙することを、「項目を立てる」と言います。
事項とは、ある物事の一つ一つの事柄を意味し、特定のテーマや内容に関連する要素を指す言葉です。「住民票記載事項」とは、住民票に書かれている内容のことであり、具体的には「氏名」「住所」「生年月日」「性別」などの項目が記載されています。
つまり、項目とは物事の一つ一つの区分けを表し、事項とは物事の一つ一つの内容を表す言葉です。項目は事項よりも具体的で細かい事柄であり、事項を構成する要素とも言えるでしょう。
項目と事項の英語表記の違い
項目も事項も英語にすると「item」「article」となり、例えば上記の「項目に分ける」を英語にすると「itemize」となります。
項目の意味
項目とは
項目とは、物事を、ある基準で区分けしたときの一つ一つを意味しています。
その他にも、「辞典や事典などの見出し語」「項と目、国や地方公共団体における歳入・歳出予算の区分に用いる用語」の意味も持っています。
項目の読み方
項目の読み方は「こうもく」です。誤って「こうぼく」「こうめ」などと読まないようにしましょう。
項目の使い方
「さらに詳しい項目に分ける」「採用項目に英語力が明示されている」「項目別対比表をダウンロードする」「項目反応理論について分かりやすく解説します」などの文中で使われている項目は、「物事を区分けしたときの一つ一つ」の意味で使われています。
一方、「項目は太字で見やすくなっている」の文中で使われている項目は「辞典などの見出し語」の意味で、「項目を立てて予算を細かく検討する」の文中で使われている項目は「項と目」の意味で使われています。
項目とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。項目の「項」は小分けした一つ一つの事柄を表し、「目」は印となるものや分類上の区分を表す漢字です。
表現方法は「農産物重要五項目」
項目を用いた日本語には、「農産物重要五項目」があります。日本政府が国内農業を守るうえで特に重視する農産物である、「コメ」「麦」「牛肉」「豚肉」「乳製品」「甘味資源物」の5項目を指す言葉です。TPPでは、5項目を細分化した594品目のうち7割超を関税撤廃の例外としました。
項目の類語
項目の類語・類義語としては、細かい点について規定してある項目を意味する「細目」、使途によって分けた費用の名目を意味する「費目」、箇条書きにした法令や規則を意味する「条目」、箇条書きにしたものの一つ一つの項目を意味する「条項」などがあります。
事項の意味
事項とは
事項とは、ある物事の中の一つ一つの事柄を意味しています。
事項の読み方
事項の読み方は「じこう」です。同じ読み方をする熟語に「時効」や「時候」がありますが、意味が異なるため書き間違いに注意しましょう。
事項の使い方
事項を使った分かりやすい例としては、「車両保険の免責事項を確認する」「留意事項を英語で併記しております」「不動産の登記事項証明書を発行する」「確定申告の時期に多いお問合せ事項について説明します」などがあります。
その他にも、「記載事項に誤りがありました」「戸籍の全部事項証明書をコンビニで取得する」「物価高対策については事項要求とする」「運転免許証の記載事項を変更したい」「特記事項なしと記入する」などがあります。
事項の「事」は訓読みで「こと」と読み、物事の内容や様子を表す漢字です。小分けした一つ一つを表す「項」と結びつき、事項とは、ある事の一部分となっている一つ一つの事柄を意味します。「留意事項」「懸案事項」「重要事項」など、ビジネスシーンで使用されることが多い言葉です。
表現方法は「事項要求」
事項を用いた日本語には「事項要求」があります。事項要求とは、国の翌年度の予算編成において、各省庁が要求時点で金額を示さず、事業内容だけを記載することを意味します。政策が細部まで決定されておらず、予算額が不明な場合などに用いられます。
事項の類語
事項の類語・類義語としては、文章における記述の一部分を意味する「くだり」、その件に関することを意味する「儀」、ある事柄をいくつかに分けて並べて述べた一つ一つの条項を意味する「箇条」などがあります。
項目の例文
この言葉がよく使われる場面としては、列挙する物事の小分け、事典などの見出し語、予算などの編成区分で款の下の「項」とその下の「目」を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3にある項目は、「物事の小分け」の意味で用いられ、例文4の項目は、「事典などの見出し語」の意味で使われています。例文5の項目は、編成区分における款の下の「項」と「目」を意味します。
事項の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある事の一部分となっている一つ一つの事柄を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、事項の慣用的な表現には「記載事項」「注意事項」「特記事項」などがあります。「特記事項」とは、特別に記すべき事柄を意味し、履歴書や業務報告書などで用いられる言葉です。
項目と事項という言葉は、どちらも「ある物事の内容」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、一つ一つの区分けを表現したい時は「項目」を、一つ一つの事柄を表現したい時は「事項」を使うようにしましょう。