似た意味を持つ「カミングアウト」と「アウティング」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「カミングアウト」と「アウティング」という言葉は、「秘密を他人に伝えること」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
カミングアウトとアウティングの違い
カミングアウトとアウティングの意味の違い
カミングアウトとアウティングの違いを分かりやすく言うと、カミングアウトは自発的に秘密を伝えることを表現する時に使い、アウティングは他者の秘密を伝えることを表現する時に使うという違いです。
カミングアウトとアウティングの使い方の違い
一つ目のカミングアウトを使った分かりやすい例としては、「カミングアウトするのを恐れるのは普通のことだろう」「家族にカミングアウトしても心が離れることはなく安心した」「小さなカミングアウトにも勇気がいる」などがあります。
二つ目のアウティングを使った分かりやすい例としては、「アウティング報道によって幸せに成人は誰もいないと思う」「良かれと思ったアウティングであれど本人が隠していることを公にしてはならない」「アウティングの問題点は多い」などがあります。
カミングアウトとアウティングの使い分け方
カミングアウトとアウティングはどちらも、秘密を他人に伝えることを意味する言葉ですが、使い方が異なります。
カミングアウトは、公言することや公表することを意味する言葉です。本来は自分の恋愛的指向や性同一性を開示することを表しますが、今日では「秘密を打ち明けること」を表す言葉として広義的に使われています。
一方のアウティングは、本人が公表していない情報を、当人の意思を無視して他者が勝手に秘密を暴露することを表す言葉です。特に、性的指向や性自認などを公表せずに伏せている人の秘密を他者によって打ち明けられてしまうことを指します。
つまり、カミングアウトは自分から己の秘密を打ち明けることを表し、アウティングは他者によって秘密が打ち明けられることを表すという違いがあり、これらの言葉は対義語の関係にあると言えます。
カミングアウトとアウティングの英語表記の違い
カミングアウトを英語にすると「come out」「coming-out」となり、例えば上記の「カミングアウトするのを恐れる」を英語にすると「be scared of coming out of the closet 」となります。
一方、アウティングを英語にすると「outing」となり、例えば上記の「アウティング報道」を英語にすると「a publicized outing」となります。
カミングアウトの意味
カミングアウトとは
カミングアウトとは、公言することを意味しています。
カミングアウトの使い方
カミングアウトを使った分かりやすい例としては、「友人にカミングアウトすることも怖いが家族にカミングアウトする方がよっぽど怖い」「カミングアウトは誰彼構わずするものではない」「実際にカミングアウトしようとすると足が震える」などがあります。
その他にも、「このゲームでは役職をカミングアウトすることで有利に事を進めることもできる」「簡単にカミングアウトしない方がいいことは私でも分かる」「カミングアウトされた側の気持ちを考えてしまう」などがあります。
カミングアウトは英語で「come out」「coming-out」と表記され、「自身のジェンダーアイデンティティを自認する過程」という意味を持ちます。「カミングアウト・オブ・ザ・クローゼット」の略語であり、「カムアウト」と表現されることもあります。
日本語では、個人情報や秘密を他者に打ち明けることを意味する言葉として使われることが多く、今日では性的指向やセクシャリティを他者に対して表明することよりも気軽に使われている言葉です。
カミングアウトの対義語
カミングアウトの対義語・反対語としては、他人に知られないようにすることを意味する「秘密」、人目に触れないように隠しておくことを意味する「隠匿」、秘密を守ることを意味する「守秘」があります。
カミングアウトの類語
カミングアウトの類語・類義語としては、隠していた事実を申し述べることを意味する「白状」、心の中で思っていたことをありのまま打ち明けることを意味する「告白」、心の中を包み隠さずに打ち明けることを意味する「披瀝」などがあります。
アウティングの意味
アウティングとは
アウティングとは、秘密を暴露することを意味しています。
アウティングの使い方
アウティングを使った分かりやすい例としては、「アウティングによって精神的な疾患を患うことになってしまった人もいる」「相手が信じてくれたのにアウティングなんて非道をするはずがない」などがあります。
その他にも、「アウティング報道によってSNSでは報道者に対する批判が相次いでいた」「アウティングをしてしまった場合には最悪加害者として扱われることを覚えておかなければならない」「社内アウティングは立派なパワハラだと思う」などがあります。
アウティングは英語で「outing」と表記され、「遠出」「ピクニック」といった意味を持ちますが、日本ではこの意味で使われることはありません。1990年にアメリカで発行された雑誌に同性愛者に関する記事が掲載されたことで、この言葉が広まったとされています。
アウティングの経緯
アウティングが行われ始めた経緯は、同性愛と異性愛を平等化するためであるとされていますが、異なる価値観を持つ人たちに悪く見られるようになってしまったこと、そして他者の私生活を公にしていることからプライバシーの侵害とも考えられています。
今日ではインターネットやSNSの普及により簡単に、かつ誰にでもアウティングができるようになってしまい、日本でもオリンピック参加選手のアウティングが行われたことが大きな問題となるなど、危険な行為として指摘されています。
アウティングの対義語
アウティングの対義語・反対語としては、事の真相などを故意に覆い隠すことを意味する「隠ぺい」、秘密にして隠しておくことを意味する「秘匿」があります。
アウティングの類語
アウティングの類語・類義語としては、あれこれと噂することを意味する「取り沙汰」、秘密などを漏らすことを意味する「漏洩」、特定の事柄を大きく取り上げることを意味する「クローズアップ」などがあります。
カミングアウトの例文
この言葉がよく使われる場面としては、公言することを意味する時などが挙げられます。
今日では例文1や2のように、個人情報や秘密を打ち明けることを表す言葉として使われることもありますが、本来は例文3から例文5のようにセクシャリティを打ち明ける場合に使われる言葉です。
アウティングの例文
この言葉がよく使われる場面としては、秘密を暴露することを意味する時などが挙げられます。
どの例文も、他者が公表せずに伏せていることを了解を得ることなしに暴露することを表し、自身で秘密を打ち明けることを表す場合には使われません。
カミングアウトとアウティングは、どちらも「秘密を他人に伝えること」を表します。
どちらを使うか迷った場合は、自発的に秘密を伝えることを表す場合は「カミングアウト」を、他者の秘密を伝えることを表す場合は「アウティング」を使うと覚えておけば間違いありません。