似た意味を持つ「担当医」(読み方:たんとうい)と「主治医」(読み方:しゅじい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「担当医」と「主治医」という言葉は、どちらも「患者を担当する医師」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
担当医と主治医の違い
担当医と主治医の違いを分かりやすく言うと、担当医とは主治医の指示で治療にあたる医師、主治医とは治療方針に責任を持つ医師という違いです。
担当医と主治医の使い方の違い
一つ目の担当医を使った分かりやすい例としては、「あなたの担当医を紹介します」「当院は担当医制を採用しています」「曜日によって外来担当医が異なります」「外来診療担当医変更のお知らせです」などがあります。
二つ目の主治医を使った分かりやすい例としては、「主治医が治療方針を説明する」「主治医は訪問看護の指示書を用意してくれました」「主治医とケアマネの情報共有を強化すべきです」「健康に関することなら何でも相談できる主治医を持ちましょう」などがあります。
担当医と主治医の使い分け方
担当医と主治医という言葉は、どちらも医療現場で使用され、患者を担当する医師を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
大きな病院では、ある患者を複数の医師がチームとなって担当するという制度があり、主としてその患者の診療にあたる医師を「主治医」と言います。主治医は、その患者に対する治療方針に責任を持つリーダー的存在です。
「担当医」は、チームの一員として診療にあたる医師であり、主治医の指示のもとで診療を補佐する役目を持ちます。担当医は一時的な治療や診察を行いますが、主治医のように患者を総合的に管理することはありません。
つまり、主治医と担当医はともに一人の患者に対して治療を行うチームのメンバーですが、主治医は患者の治療の責任者であり、担当医は主治医のもとで患者の治療にあたる医師なのです。
担当医と主治医の英語表記の違い
担当医も主治医も英語にすると「doctor in charge」「attending doctor」となり、例えば上記の「担当医を紹介します」を英語にすると「introduce the doctor in charge」となります。
担当医の意味
担当医とは
担当医とは、主治医が率いる医療チームの一員として患者の治療を行う医師を意味しています。
担当医の使い方
担当医を使った分かりやすい例としては、「外来担当医表のご案内です」「英語が話せる担当医は重宝されています」「担当医へのお礼の相場をネットで調べる」「4月より手術担当医が変更になります」「担当医を変えたいのですがどうしたらいいですか」などがあります。
その他にも、「毎朝8時に診察担当医表を更新しています」「封筒の表書きに担当医先生御机下と書きました」「担当医先生御侍史と書かれた封筒を手渡されました」「がんの兆候を担当医が見落とす医療ミスがありました」などがあります。
担当医とは、主治医の指示および指導のもと、担当する患者の治療をおこなう医師を意味します。一人の患者さんに対して治療ごとに担当医がいたり、一つの病状であってもチームとして複数の担当医がいる場合もあります。
表現方法は「担当医先生御侍史」「担当医先生御机下」
上記の例文にある「担当医先生御侍史」「担当医先生御机下」は、担当医師への紹介状や手紙などで使用される表現です。「御侍史」(読み方:おんじし、ごじし)と「御机下」(読み方:おんきか、ごきか)は宛名に添えて敬意を示す脇付であり、特に医師に対して使用される言葉です。
担当医の類語
担当医の類語・類義語としては、企業に常駐している医師を意味する「専属産業医」、行政機関などから委嘱を受けて診察や治療をする医師を意味する「嘱託医」、医師免許を取得し実地の臨床研修を受けている医師を意味する「研修医」、医者や医師を意味する「ドクター」などがあります。
主治医の意味
主治医とは
主治医とは、共同で病人の治療に当たる医師の中で、中心になる医師を意味しています。
その他にも、「かかりつけの医者」の意味も持っています。
主治医の使い方
「退院したら主治医へのお礼の手紙を書きましょう」「ハローワークで求職者登録をするときに主治医の意見書が必要です」「介護保険の主治医意見書の書き方を教えてください」などの文中で使われている担当医は、「共同で病人の治療に当たる医師の中で、中心になる医師」の意味で使われています。
一方、「いつもの主治医が専門医療機関を紹介してくれました」「主治医に紹介状を頼みづらいです」「イギリスに住んでいた時の主治医は英語をゆっくり話してくれました」などの文中で使われている担当医は、「かかりつけの医者」の意味で使われています。
主治医とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「病人の治療に当たって中心になる医師」の意味で使用されています。一方の「かかりつけの医者」の意味では、「かかりつけ医」と呼ばれることがほとんどです。
表現方法は「主治医意見書」
主治医を用いた日本語には「主治医意見書」があります。主治医意見書とは、介護保険の認定に必要な資料であり、主治医が申請者の疾病や負傷の状況などについての意見を記したものを意味します。主治医意見書には、既往歴や医療機関の受診の状況、日常生活の自立度などが記されています。
主治医の類語
主治医の類語・類義語としては、患者の年齢や疾患などにかかわらず地域住民の健康を支える医師を意味する「家庭医」、 大学病院などで研修医を指導する医師を意味する「指導医」、医師やドクターを意味する「ドクトル」、家族のかかりつけの医者を意味する「ホームドクター」などがあります。
担当医の例文
この言葉がよく使われる場面としては、主治医の指示のもとで患者の治療を行う医師を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、担当医という言葉は、医療の現場で使用されることがほとんどです。
主治医の例文
この言葉がよく使われる場面としては、主となって治療を受け持つ医者、また、かかりつけの医者を表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「主治医」と「かかりつけ医」の違いは、主治医は特定の病気や症状に対して治療を行う医師であることに対し、かかりつけ医は日常的な健康管理を行う医師を意味する点にあります。
例文4にある「主治医の先生」という表現は「馬から落馬する」のような重言だと考える人もいますが、この場合の「先生」は指導的立場にある人に対する敬称として使用されているため重言ではありません。
担当医と主治医という言葉は、どちらも「患者を担当する医師」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、主治医のもとで患者の治療にあたる医師を表現したい時は「担当医」を、患者の治療方針について責任を持つ医師を表現したい時は「主治医」を使うようにしましょう。