似た意味を持つ「記憶」(読み方:きおく)と「記録」(読み方:きろく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「記憶」と「記録」という言葉は、どちらも「残っているもの」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
記憶と記録の違い
記憶と記録の意味の違い
記憶と記録の違いを分かりやすく言うと、記憶とは心の中に残っているものを表し、記録とは紙やメディアに残っているものを表すという違いです。
記憶と記録の使い方の違い
一つ目の記憶を使った分かりやすい例としては、「頭を打って記憶喪失になりました」「恐れ入りますが全く記憶にございません」「記憶力を上げる方法はありますか」「外部記憶装置をパソコンに接続する」などがあります。
二つ目の記録を使った分かりやすい例としては、「実験の結果を詳しく記録する」「記録アプリで体重を管理しています」「記録的短時間大雨情報が発表されました」「車の定期点検整備記録簿を確認する」などがあります。
記憶と記録の使い分け方
記憶と記録という言葉は、どちらも知り得たことや事実などを残しておくことを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
記憶とは、物事を忘れずに覚えておくことを意味し、体験したことなどを心の中にとどめておくことを表します。「記憶喪失」とは、意識障害によって過去の経験を思い出せないことです。また、「外部記憶装置」のような使い方で、コンピューターに必要なデータを蓄えておくことも意味する言葉です。
記録とは、後々まで伝えたい事柄などを書き記しておくことを意味します。現在では、文字で残すことだけでなく、映像や音声で残すことや、それらのデジタルデータを含めて「記録」と表現しています。
つまり、記憶とは主に心の中に残っているものを表現し、記録とは紙やメディアに残っているものを表現を表現する言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
記憶と記録の英語表記の違い
記憶を英語にすると「memory」「remembrance」となり、例えば上記の「記憶喪失」を英語にすると「loss of memory」となります。一方、記録を英語にすると「record」「document」となり、例えば上記の「詳しく記録する」を英語にすると「record in detail」となります。
記憶の意味
記憶とは
記憶とは、過去に体験したことや覚えたことを忘れずに心にとめておくこと、また、その内容を意味しています。
その他にも、「心理学で、生物体に過去の影響が残ること、過去の経験を保持しこれを再生・再認する機能の総称」「コンピューターに必要なデータを蓄えておくこと」の意味も持っています。
記憶の使い方
「記憶喪失の原因は何ですか」「甥っ子と記憶力ゲームで遊びました」「ストレスから記憶障害になることもありますか」「ダリの代表作である記憶の固執を鑑賞する」などの文中で使われている記憶は、「忘れずに心にとめておくこと」の意味で使われています。
一方、「感覚記憶と五感は密接な関係にあります」の文中で使われている記憶は「心理学で、生物体に過去の影響が残ること」の意味で、「持ち運びしやすい外付けの記憶媒体を探しています」などの文中で使われている記憶は「コンピューターにデータを蓄えておくこと」の意味で使われています。
記憶とは、上記の例文にあるように三つの意味を持ち、それぞれの意味で使用されているため、文脈により意味を捉える必要があります。記憶の「記」は訓読みで「しるす」と読み、事柄を書き留めること、「憶」は訓読みで「おぼえる」と読み、心にとどめて忘れないことを表します。
表現方法は「記憶障害」
記憶を用いた日本語には「記憶障害」があります。障害障害とは、高次脳機能障害の一つであり、事故や疾病で脳に損傷を受けた場合などに起こります。新しいことが覚えられない、日付や場所がわからない、物の置き場所を忘れる、同じ質問を何度も繰り返す、などの行動や状態が見られます。
記憶の対義語
記憶の対義語・反対語としては、すっかり忘れてしまうことを意味する「忘却」などがあります。
記憶の類語
記憶の類語・類義語としては、記憶に残っている事柄を意味する「覚え」、物事を覚えることを意味する「物覚え」、思い出やコンピューター本体の情報を記憶しておく場所を意味する「メモリー」などがあります。
記録の意味
記録とは
記録とは、将来のために物事を書き記しておくこと、また、その書いたものを意味しています。
その他にも、「競技などで数値として表された成績や結果、また、その最高数値」「歴史学・古文書学で、史料としての日記や書類」の意味も持っています。
表現方法は「記録する」「記録アプリ」
「記録する」「記録アプリ」などが、記憶を使った一般的な言い回しです。
記録の使い方
「英語の学習時間を記録する」「記録ができる家計簿封筒を愛用しています」「平安時代に記録荘園券契所が設置されました」「記録媒体の種類はたくさんあります」などの文中で使われている記録は、「物事を書き記しておくこと」の意味で使われています。
一方、「大会新記録で2年連続の総合優勝となりました」「自己記録更新を目指して頑張ります」の文中で使われている記録は「数値として表された成績や結果」の意味で、「価値が高い記録を永久保存する」の文中で使われている記録は「史料としての日記や書類」の意味で使われています。
記録とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で使用されているため、文脈により意味を判断する必要があります。記録の「録」は訓読みで「しるす」と読み、書きしるすことや書きしるしたものを表す漢字です。
「記録的短時間大雨情報」の意味
記録を用いた日本語には「記録的短時間大雨情報」があります。記録的短時間大雨情報とは、短い時間で数年に一度しか降らないような大雨が降って、災害が発生する危険が迫っているときに発表されるものです。注意報や警報と異なり、異常事態のさなかに発表される情報です。
記録の対義語
記録の対義語・反対語としては、言葉で伝えることを意味する「口伝」などがあります。
記録の類語
記録の類語・類義語としては、書き記すことを意味する「筆録」、事実をありのままに記録したものを意味する「実録」、陸上や水泳などの競技の最高記録を意味する「レコード」、資料的な文書を意味する「ドキュメント」などがあります。
記憶の例文
この言葉がよく使われる場面としては、過去の経験や一度覚えた事柄を忘れず心にとどめておくこと、心理学で先行条件の影響が心理的に生物体に残っていること、コンピュータの中に必要なデータなどを蓄えておくことを表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「記憶媒体」とは、「記憶メディア」とも言い、データを書き込むための媒体を意味します。ハードディスク、光ディスク、USBメモリなどを指します。
記録の例文
この言葉がよく使われる場面としては、残す必要のある事柄を書きしるしたり、映像や録音で残したりすること、競技などの成績や結果、史料としての日記や書類を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「介護記録」とは、介護者が利用者に提供した介護サービスや、利用者の健康状態や経過観察などを文字で記録に残すものです。事故や不測の事態が発生した場合に重要な資料となります。
記憶と記録という言葉は、どちらも「残っているもの」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、心に残っているものを表現したい時は「記憶」を、紙やメディアに残っているものを表現したい時は「記録」を使うようにしましょう。