【機関】と【機構】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「機関」(読み方:きかん)と「機構」(読み方:きこう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「機関」と「機構」という言葉は、どちらも「ある目的のために構成された組織」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




機関と機構の違い

機関と機構の違いを分かりやすく言うと、機関とは組織の構成要素、機構とは組織の全体像という違いです。

一つ目の機関を使った分かりやすい例としては、「機関投資家による株価操作は違法行為です」「機関誌を定期購読しています」「日本学生支援機構は機関保証を設けています」「国会が唯一の立法機関です」などがあります。

二つ目の機構を使った分かりやすい例としては、「指定流通機構に登録している不動産業者を利用する」「大規模な行政機構改革が必要だ」「証券会社の機構加入者コードを調べる」「大学で機構学を専攻しています」などがあります。

機関と機構という言葉は、どちらも特定の目的を達成するための構造や組織を表しますが、意味や使い方には違いがあります。

機関とは、活動の仕掛けを意味し、何かの目的を達する手段として設けられた組織を表す言葉です。「行政機関」とは、国や地方公共団体などの行政組織の基礎的単位であり、厚生労働省や都道府県庁の各課などは行政機関の一つです。

機構とは、仕組みやメカニズムを意味し、機械的に構成されている仕組みや構造を表します。「行政機構」とは、行政の組織全体のことを指す言葉であり、具体的には内閣や都道府県庁がこれに当たります。

つまり、機関は組織の構成要素であり、機構は組織の全体像を表します。二つの言葉を比べると、機関よりも機構の方が広義の概念であり、機構は機関のまとまりを表す言葉だと言えるでしょう。

機関を英語にすると「engine」「machine」「institution」となり、例えば上記の「機関投資家」を英語にすると「an institutional investor」となります。

一方、機構を英語にする「feature」「mechanism」「organization」となり、例えば上記の「流通機構」を英語にすると「the mechanism of product distribution」となります。

機関の意味

機関とは、火力・水力・電力などのエネルギーを力学的エネルギーに変える装置を意味しています。

その他にも、「活動の仕掛けのあるもの、からくり」「法人や団体などの意思を決定したり、代表したりする者、または組織」「ある目的を達成する手段として設けた組織や機構」の意味も持っています。

「甥っ子と機関車トーマスの映画を観ました」の文中で使われている機関は「エネルギーを力学的エネルギーに変える装置」の意味で、「この機械は機関によって動いている」の文中で使われている機関は「活動の仕掛けのあるもの」の意味で使われています。

一方、「最高裁判所は司法機関の一つです」の文中で使われている機関は「法人や団体などの意思を決定する者や組織」の意味で、「協会が毎月発行している機関紙を読む」の文中で使われている機関は「ある目的を達成する手段として設けた組織」の意味で使われています。

機関の読み方は「きかん」の他に「からくり」とも読みますが、読み方によって意味が若干異なるので注意してください。

機関とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で使用されているため、文脈により意味を捉える必要があります。機関の「機」は細かい部品の組み合わせで働く仕掛けを表し、「関」は有機的につながっている仕組みを表す漢字です。

機関を用いた日本語には「機関投資家」があります。機関投資家とは、顧客から拠出された資金の運用や管理をする大口の法人投資家の総称です。一般的には「生命保険会社」「損害保険会社」「年金基金」「信託銀行」などを指します。

機関の類語・類義語としては、動力を受けて目的に応じた一定の運動・仕事をするものを意味する「機械」、ある目的のために道具や設備などを備えつけることを意味する「装置」、機械や自動車を意味する「マシン」などがあります。

機構の意味

機構とは、機械などの諸部分が互いに関連して働く仕組み、機械の内部構造、メカニズムを意味しています。

その他にも、「会社・団体などの組織、また、その組織の仕組み」「生物体が生命を維持するための仕組み」の意味も持っています。

「私の父は機構設計の仕事をしています」「令和7年度の機構改革を実施しました」「効率的な組織機構の整備を進める」などの文中で使われている機構は、「機械などの諸部分が互いに関連して働く仕組み、機械の内部構造」の意味で使われています。

一方、「当機構は英語の普及促進のために設立されました」の文中で使われている機構は「会社・団体などの組織、その組織の仕組み」の意味で、「免疫監視機構に関する論文を読む」の文中で使われている機構は「生物体が生命を維持するための仕組み」の意味で使われています。

機構の読み方は「きこう」です。同じ読み方をする熟語に「気候」や「貴公」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。

機構とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で使用されているため、文脈により意味を判断する必要があります。機構の「構」は訓読みで「かまえる」と読み、整った形に作り上げることや、組み立ててつくることを表す漢字です。

機構を用いた日本語には「行政機構改革」があります。行政機構改革とは、国および地方公共団体の行政組織を改革することや、その過程を指す言葉です。国や地方公共団体の機関を設置または廃止、機関の構成、所掌事務や権限を改変することであり、公務員制度の改革もその一つです。

機構の類語・類義語としては、目的のために巧みに工夫されたものを意味する「仕掛け」、物事を成り立たせている各要素の機能的な関連を意味する「構造」、複合的な社会規範の体系を意味する「制度」などがあります。

機関の例文

1.機関銃の種類は、用途の他に弾薬の種類や作動方式によって区別されています。
2.議会は地方公共団体の意思を決定する議決機関であり、選挙民の意思を代表して条例などを決定します。
3.教育機関の9割近くが生成AIの活用に関心があり、すでに導入しているところもあります。
4.公立小学校では、外部の専門機関と連携した英語指導に力を入れています。
5.行政機関の組織図は、内閣官房のウェブサイトで閲覧することができます。

この言葉がよく使われる場面としては、水力などのエネルギーを機械的エネルギーに変えて他へ送る機械装置、活動の装置を施したもの、法人や団体などが意思を決定したり実行したりするために設けた組織、ある働きのために設けた組織を表現したい時などが挙げられます。

例文5にある機関と組織の違いは、機関とは目的達成のための組織であり、組織は目的達成のために分化した役割を持つ集団です。機関を細かく分類したものが組織とも言えます。

機構の例文

1.機構設計に求められるスキルや資格には、どのようなものがありますか。
2.現代の情報システムは、人的機構と機械的機構から成り立っています。
3.国際協力機構の職員として働きたいので、英語の勉強に励んでいます。
4.脳科学的研究によって明らかにされた情報処理機構のメカニズムを紹介します。
5.免疫機構には自然免疫と獲得免疫の2種類があり、それぞれ大事な役割があります。

この言葉がよく使われる場面としては、機械などの内部のしくみで諸部分が互いに関連をもって働くもの、多くの人が集まって社会的な仕事をする時などの仕事の組織、生物が命を維持するための仕組みを表現したい時などが挙げられます。

例文1にある「機構設計」とは、機械製品を開発したり設計したりする仕事です。製品の形や部品の厚さ、製品内部の部品構造などを設計します。

機関と機構という言葉は、どちらも「ある目的を達成するための構造や組織」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、組織の構成要素を表現したい時は「機関」を、組織の全体図を表現したい時は「機構」を使うようにしましょう。

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