【以来】と【以降】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「以来」(読み方:いらい)と「以降」(読み方:いこう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「以来」と「以降」という言葉は、どちらも「過去のある時点から現在まで」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




以来と以降の違い

以来と以降の違いを分かりやすく言うと、以来とは過去のある時点からのことを表し、以降とは過去だけでなく未来のある時点からのことも表すという違いです。

一つ目の以来を使った分かりやすい例としては、「お会いするのはあの日以来ですね」「免許を取得して以来全く運転していません」「1990年以来、34年ぶりの円安水準を記録した」「入社以来ずっと同じ職場で働いています」などがあります。

二つ目の以降を使った分かりやすい例としては、「来週以降の天気予報をチェックする」「たいてい午後9時以降は家にいます」「大学卒業以降、全く英語を話してません」「内閣発足以降、最低の支持率になっています」などがあります。

以来と以降という言葉は、どちらも特定の基準になる時からあとを表しますが、意味や使い方には違いがあります。

以来とは、過去のある時点や特定の年齢を起点にして、それより後ずっとを意味します。「入社以来」「1990年以来」などの使い方で、多くは出来事や時間などの語に付いて使用される言葉です。未来の時点から先を指す言葉ではないので、「来年以来」のような使い方はしません。

以降とは、「大学卒業以降」「先週以降」のような使い方で、過去のある時点から現在までを意味します。また、「来週以降」「来年以降」のような使い方で、未来の時点から先のことも表現することができる言葉です。

つまり、以来とは過去のある時点からのことに用いる言葉であり、以降とは過去にも未来にも使用できる言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

以来も以降も英語にすると「since」「after」となり、例えば上記の「あの日以来」を英語にすると「ever since that day」となります。

以来の意味

以来とは、その時よりこのかた、それより引き続きを意味しています。

その他にも、「こののち、今後」の意味も持っています。

「小学校以来の友人と再会しました」「卒業以来会うのは何年ぶりだろう」「生徒会長は神武以来の天才だ」などの文中で使われている以来は、「その時よりこのかた、それより引き続き」の意味で使われています。

一方、「以来よろしくお願いいたします」「以来このようなことがないよう努めて参ります」「あなたのキャリアを以来どのように活かしていきたいですか」などの文中で使われている以来は、「こののち、今後」の意味で使われています。

以来の読み方は「いらい」です。同じ読み方をする熟語に「依頼」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。

以来とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、基本的には「その時よりこのかた、それより引き続き」の意味で使用されています。以来の「以」は特定の時や所を起点としてそれより、「来」は過去のある時点から今までを表す漢字です。

以来を用いた日本語には「神武以来」(読み方:じんむいらい)があります。神武以来とは、「神武此の方」(読み方:じんむこのかた)とも言い、日本の国が始まって以来を意味します。程度のはなはだしいことや、他に例がないことなどを表す言葉です。

以来の対義語・反対語としては、その時よりも前を意味する「以前」などがあります。

以来の類語・類義語としては、それよりこのかたや以来を意味する「爾来」(読み方:じらい)、今から先や今後を意味する「この先」、その時よりのちや今からのちを意味する「以後」、今から以後や将来を意味する「これから」などがあります。

以降の意味

以降とは、ある時からのちを意味しています。

以降を使った分かりやすい例としては、「荒天のため第2レース以降が中止となった」「明日以降は前線が停滞する予報です」「50代以降の学びに英語は最適です」「明治以降の文学史をわかりやすく解説します」などがあります。

その他にも、「来年度以降に実施される高校無償化には反対です」「コロナ禍以降に在宅ワークが増加しました」「80年代以降の労働時間の推移をグラフにしました」「本日23時時以降、公式サイトのURLが変更となります」などがあります。

以降は「已降」とも書きますが、一般的には常用漢字を用いた「以降」と表記されています。

以降の「以」は訓読みで「もって」と読み、時間や範囲の起点を示し、「降」は訓読みで「おりる」「くだる」と読み、その時からあとを表す漢字です。以降とは、ある時からのちを意味し、ある基準になる時からあとを表します。

以降という言葉は、日常会話からビジネスシーンまで幅広い場面で使用されています。以降は、時間や日付あるいは出来事の後について、それ以後の範囲を示します。例えば「7月7日以降」であれば7月7日になった時点からその後を指し、7月7日の当日も含みます。

以降の対義語・反対語としては、この時までや今までを意味する「これまで」などがあります。

以降の類語・類義語としては、ある事があってからのちを意味する「爾後」(読み方:じご)、ある事があったあとを意味する「その後」、物事が起こったあとを意味する「事後」、これから先を意味する「向こう」、これから過ごす遠い先を意味する「先々」(読み方:さきざき)などがあります。

以来の例文

1.学校に行くのは夏休み前の修了式以来なので、約5週間ぶりになります。
2.退職を決意して以来、時間とお金の使い方を考えるようになりました。
3.英文法を基本から学び直して以来、英語がスラスラ読めるようになりました。
4.学生時代以来、久しぶりに英語を勉強してみようかなと思ってます。
5.継ぎ足し続けている創業以来のタレは、この店でしか味わえない美味しさです。

この言葉がよく使われる場面としては、それより後ずっとを表現したい時などが挙げられます。

例文1にある「以来」と「ぶり」の違いは、「以来」はその時点より引き続きを表し、「ぶり」は再び同じ状態が現れるまでにそれだけの時間が経過したことを表す点にあります。

以降の例文

1.英語のテストで赤点を取って以降、毎朝早く起きて勉強をするようにしています。
2.13時以降にご利用いただけるチケットは、当日窓口でお求めいただけます。
3.来月以降、日本を含むアジア諸国は気温の高い状態が続く見込みです。
4.消費税を含まない本体価格は、4月1日以降に値上げされる予定です。
5.予約時間までに入場することはできませんが、予約時間以降であればいつでも入場可能です。

この言葉がよく使われる場面としては、ある基準になる時からあとを表現したい時などが挙げられます。

例文5にある「まで」と「以降」の違いは、「まで」は時間的な到達点を表し、「以降」は特定の時間を基準とした先を表す点にあります。

以来と以降という言葉は、どちらも「過去のある時点から現在まで」を表現します。さらに以降という言葉は、未来のある時点から先も表現することを覚えておきましょう。

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