似た意味を持つ「物忘れ」(読み方:ものわすれ)と「認知症」(読み方:にんちしょう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「物忘れ」と「認知症」という言葉は、どちらも記憶に関する状態を指すことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「物忘れ」と「認知症」の違い
「物忘れ」と「認知症」の意味の違い
「物忘れ」と「認知症」の違いを分かりやすく言うと、「物忘れ」は一時的で軽い記憶の抜けのこと、「認知症」は継続的で深刻な記憶障害や判断力の低下のことという違いです。
「物忘れ」と「認知症」の使い方の違い
一つ目の「物忘れ」を使った分かりやすい例としては、「よくある物忘れなのであまり気にしていないです」「スマホをどこに置いたか思い出せないので物忘れだろう」「物忘れ防止のアプリを使い始めた」「最近物忘れがひどくなってきた」などがあります。
二つ目の「認知症」を使った分かりやすい例としては、「知人の親が認知症になって介護が始まった」「認知症は早期発見が重要だと言われています」「認知症の進行を遅らせる薬を処方されました」「祖母は認知症と診断された」などがあります。
「物忘れ」と「認知症」の使い分け方
「物忘れ」と「認知症」はどちらも記憶に関する状態を指すことを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「物忘れ」はさっきまで覚えていたのに名前が出てこないといったように、日常的に誰にでも起こる軽度の記憶の抜けに対して使う言葉になります。
一方、「認知症」は同じ話を何度も繰り返すことや今いる場所が分からなくなるといったように、日常生活に支障をきたすほどの記憶や認知機能の障害が見られる場合に使う医学的な用語です。
つまり、一時的で軽い記憶の抜けを指すのが「物忘れ」、継続的で深刻な記憶障害や判断力の低下を含むのが「認知症」と覚えておきましょう。
「物忘れ」と「認知症」の英語表記の違い
「物忘れ」を英語にすると「forgetfulness」「memory lapse」となり、例えば上記の「最近物忘れがひどくなってきた」を英語にすると「I’ve been getting more forgetful lately」となります。
一方、「認知症」を英語にすると「dementia」となり、例えば上記の「祖母は認知症と診断された」を英語にすると「My grandmother was diagnosed with dementia」となります。
「物忘れ」の意味
「物忘れ」の使い方
「物忘れ」とは、物事を忘れることを意味しています。
表現方法は「物忘れがひどい」「物忘れをする」
「物忘れがひどい」「物忘れをする」などが、「物忘れ」を使った一般的な言い回しになります。
「物忘れ」の使い方
「物忘れ」を使った分かりやすい例としては、「鍵をどこに置いたかまた物忘れしてしまった」「名前が出てこないのはただの物忘れだろう」「年齢のせいか物忘れが増えてきた気がする」「物忘れが気になってメモを取るようにしています」などがあります。
「物忘れ」は過去の出来事や情報を一時的に思い出せなくなる現象を指す言葉です。日常生活の中で誰もが経験するものであり、特に年齢を重ねるにつれて自然と増えていく傾向があります。
例えば、財布をどこに置いたか思い出せないときや、知っている人の名前がどうしても出てこないときなどがあります。「物忘れ」は特に緊張していたり、疲れていたり、注意が散漫だったりすると起こりやすいものです。
「物忘れ」の原因
「物忘れ」は多くの場合、加齢による脳の機能低下や一時的な集中力の欠如、ストレスや睡眠不足などが原因とされています。
ただし、日常に支障をきたすような頻度や内容になってくると単なる物忘れではなく、認知症など別の問題の可能性もあるため注意が必要です。
「物忘れ」の類語
「物忘れ」の類語・類義語としては、覚えていたことが思い出せなくなることを意味する「忘れる」などがあります。
「認知症」の意味
「認知症」とは
「認知症」とは、成人後に脳に損傷を受けることによって認知機能が低下する状態のことを意味しています。
「認知症」の使い方
「認知症」を使った分かりやすい例としては、「認知症ケアの勉強会に参加してみた」「自分がどこにいるのか分からなくなることがあるので認知症かもしれない」「認知症の方への対応には根気と優しさが必要です」「認知症でも本人の尊厳を大切にしたいです」などがあります。
「認知症」とは脳の機能が徐々に低下し、記憶力や判断力、理解力などに支障が出る状態を指す言葉です。簡単に言うならば、今まで普通にできていたことが、少しずつできなくなっていく病的な状態を意味します。
「認知症」の特徴
「認知症」は脳血管障害、脳外傷、変性疾患、アルコール中毒などが原因で起こります。原因疾患からアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症などに分類されるというのが特徴です。
そのため、「認知症」は医療用語として使うのが一般的になります。
「認知症」の由来
「認知症」という言葉は、かつては「痴呆」と呼ばれていましたが、差別的な響きがあるとの指摘を受けて、2004年に現在の「認知症」という呼び方に改められました。
「認知」とは知ること、理解すること、覚えることを意味し、これらの機能に障害が生じる病気として命名されたものです。
「認知症」の類語
「認知症」の類語・類義語としては、「高次脳機能障害の一種である「記憶障害」などがあります。
「物忘れ」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事を忘れることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「物忘れ」は一時的で軽い記憶の抜けを指す言葉です。
「認知症」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、成人後に脳に損傷を受けることによって認知機能が低下する状態のことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「認知症」は継続的で深刻な記憶障害や判断力の低下を含む言葉です。
「物忘れ」と「認知症」はどちらも記憶に関する状態を指すことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、一時的で軽い記憶の抜けを指すのが「物忘れ」、継続的で深刻な記憶障害や判断力の低下を含むのが「認知症」と覚えておきましょう。