似た意味を持つ「司法書士」(読み方:しほうしょし)と「行政書士」(読み方:ぎょうせいしょし)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「司法書士」と「行政書士」という言葉は、どちらも「法律に関わる仕事をする国家資格者」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
司法書士と行政書士の違い
司法書士と行政書士の違いを分かりやすく言うと、司法書士とは登記の専門家、行政書士とは書類作成の専門家という違いです。
一つ目の司法書士を使った分かりやすい例としては、「勤務司法書士として働くことにしました」「司法書士にできて弁護士にできないこともあります」「司法書士試験の過去問が掲載されているテキストを買いました」などがあります。
二つ目の行政書士を使った分かりやすい例としては、「会社設立の手続きについて行政書士に相談する」「行政書士の相談員が無料でお答えいたします」「特定行政書士の業務範囲が拡大されます」などがあります。
司法書士と行政書士という言葉は、どちらも「町の法律家」と呼ばれ、官公署に提出する書類などを書くことを業とする代書人ですが、意味や使い方には違いがあります。
司法書士とは、司法書士法に基づく国家資格であり、他人からの依頼を受けて、裁判所や法務局などに提出する書類を作成することを業としています。主に不動産登記や法人登記などの登記申請を中心に行なう登記の専門家です。司法書士試験の合格率は4〜5%と、難易度は高いものです。
行政書士とは、行政書士法に基づく国家資格であり、他人の依頼を受けて官公署に提出する書類や事実証明に関する書類などを作成します。主な業務は書類作成ですが、公的なIT申請などにも対応することができます。行政書士試験の合格率は10%程度と、難易度は司法書士試験に比べると低くなります。
つまり、司法書士と行政書士の違いは、その業務内容と難易度です。司法書士とは登記の専門家であり、行政書士は官公署に提出する書類作成の専門家です。どちらも難関資格ですが、比較すると行政書士よりも司法書士の方が難易度は高くなっています。
司法書士を英語にすると「judicial scrivener」となり、例えば上記の「司法書士として」を英語にすると「as a judicial scrivener」となります。
一方、行政書士を英語にすると「administrative scrivener」となり、例えば上記の「行政書士に相談する」を英語にすると「consult with an administrative scrivener」となります。
司法書士の意味
司法書士とは、他人の嘱託を受けて、登記・供託・訴訟などに関し、裁判所・検察庁・法務局・地方法務局に提出する書類の作成を職業とする者を意味しています。
司法書士を使った分かりやすい例としては、「司法書士試験は難易度が高いので受かる気がしません」「独立開業した司法書士の年収はどれぐらいですか」「司法書士試験合格に必要な勉強時間の目安を教えてください」などがあります。
その他にも、「司法書士の報酬は事務所によって異なります」「父は日本司法書士会連合会の会員です」「司法書士として働きながら弁護士を目指す」「司法書士に料金を支払う際の源泉徴収税額を計算してもらう」などがあります。
司法書士とは、裁判所や法務局などに提出する文書を作成したり、登記や供託手続きを代理したりすることのできる国家資格です。司法書士試験に合格するか、裁判所書記官や検察事務官などを10年以上務めた後で必要な能力があると認められると資格を得られます。
司法書士を用いた日本語には「認定司法書士制度」があります。認定司法書士制度とは、所定の研修を修了し、簡裁訴訟代理能力認定考査に合格して法務大臣の認定を受けた司法書士が、簡易裁判所管轄の民事事件で、弁護士と同様に代理人を務めることができる制度です。
司法書士の類語・類義語としては、本人に代わって官公署に提出する書類などを書くことを業とする人を意味する「代書人」、法律学を修め法律に精通した人を意味する「法律家」、訴訟に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする者を意味する「弁護士」などがあります。
行政書士の意味
行政書士とは、他人の依頼を受けて、官公署に提出する書類などを作成することを業とする者を意味しています。
行政書士を使った分かりやすい例としては、「行政書士試験に向けて勉強時間を確保する」「行政書士の試験日まであと1週間です」「行政書士の平均年収はどれぐらいですか」「行政書士試験の難易度は司法書士試験より低いです」などがあります。
その他にも、「兄は独学で行政書士になりました」「行政書士試験の過去問に挑戦する」「行政書士の求人情報をチェックする」「私は神奈川県の行政書士会に所属しています」「行政書士法の改正案が可決されました」などがあります。
行政書士とは、行政書士法に基づく国家資格者であり、行政へ許認可申請が必要な場合の書類作成、官公署に届ける書類に関する相談業務などを行います。行政書士試験の合格者、弁護士・弁理士・公認会計士・税理士・公務員として一定期間行政事務を担当したものが資格を得ます。
上記例文にある「行政書士法」とは、行政書士の制度を定め、行政手続の円滑な実施や国民の利便性向上に貢献することを目的として定められたものです。具体的には、行政書士の義務や業務の範囲など、その活動のすべてを規定しています。
行政書士の類語・類義語としては、当事者や関係人の嘱託により公正証書を作成する公務員を意味する「公証人」、住民票や戸籍謄本などを請求することができる八つの職業を意味する「八士業」、行政事務に従事する公務員の総称を意味する「行政官」などがあります。
司法書士の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他人から依頼を受けて,裁判所・検察庁・法務局・地方法務局に提出する書類を作成することを業とする者を表現したい時などが挙げられます。
例文5の「司法書士試験」とは、法務省が実施する国家試験であり、「筆記試験」「口述試験」に分かれて行われます。年齢や学歴に関わらず誰もが挑戦でき、何度でも試験を受けることができるものです。
行政書士の例文
この言葉がよく使われる場面としては、行政書士法に基づき、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務または事実証明に関する書類の作成を業とする者を表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文3にある「行政書士試験」とは、行政書士になるための国家試験です。試験は筆記試験のみで択一式と記述式に分かれています。
司法書士と行政書士という言葉は、どちらも「法律に関わる仕事を行う国家資格」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、登記の専門家を表現したい時は「司法書士」を、書面作成の専門家を表現したい時は「行政書士」を使うようにしましょう。