似た意味を持つ「バックレ」と「トンズラ」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「バックレ」と「トンズラ」という言葉は、「逃げること」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
バックレとトンズラの違い
バックレとトンズラの違いを分かりやすく言うと、バックレは約束を破ることを表現する時に使い、トンズラは逃げるための用意をすることを表現する時に使うという違いです。
一つ目のバックレを使った分かりやすい例としては、「バックレるべきではないが仕事がツラい現状をどう打破するべきだろうか」「友人との食事の約束をバックレる結果となってしまったためお詫びをしなければならない」などがあります。
二つ目のトンズラを使った分かりやすい例としては、「彼女は私のお金を持ってトンズラしたため警察に被害届を出すことになった」「犯人がトンズラする前に逮捕されることになった」「トンズラして海外旅行に行きたいほどの仕事量だと感じる」などがあります。
バックレとトンズラはどちらも、逃げることを意味する言葉ですが、ニュアンスが若干異なります。
バックレは、約束していた内容をすっぽかすことを意味します。本来は逃げることを意味していましたが、これが転じて、約束を破ることを表すようになり、さらに転じて、無断でアルバイトや会社を休むことや辞めることを意味するようにもなりました。
一方のトンズラは、都合が悪くなった際に逃げるための用意をすることを意味します。上記例文の「トンズラして海外旅行に行きたい」などのように、広義的に「面倒なことを回避する」を意味する言葉としても使われています。
つまり、バックレは約束を破ることを表し、トンズラは逃げるための用意をすることを表すという違いがあります。
バックレを英語にすると「be absent without notice」「truancy」となり、例えば上記の「バックレるべきではない」を英語にすると「We should not be absent without notice」となります。
一方、トンズラを英語にすると「run away」「escape」となり、例えば上記の「彼女は私のお金を持ってトンズラした」を英語にすると「She ran away with all my money」となります。
バックレの意味
バックレとは、約束していた内容をすっぽかすことを意味しています。
その他にも、無断でアルバイトや会社を休むことや辞めることを意味する言葉です。
「友人に遊ぶ約束をバックレられたと思ったが携帯が壊れて遅刻の連絡ができなかったそうだ」「外食をバックレてしまうと相手が店に一人で待つことになる」などの文中で使われているバックレは、「約束をすっぽかすこと」の意味で使われています。
一方、「仕事をバックレてしまい、どう謝罪を切り出そうかで頭がいっぱいだ」「午後の授業をバックレたいと思ったことはあるが行動に移したことはない」などの文中で使われているバックレは、「無断で休むことや辞めること」の意味で使われています。
バックレは、「しらばくれる」「しらばっくれる」が由来となっている言葉で、「知らないふりをすること」を意味する言葉です。これが転じて、「やるべきことや約束を知らないふりをする」、「やるべきことから逃げる」といった意味で使われるようになります。
さらに、転じて、具体的に学業や仕事を休むこと、辞めることを意味する言葉として用いられるようになり、無断で逃げる判断をしたことを強調する語として使われていることがほとんどです。
バックレの対義語・反対語としては、誠実であることや真心がこもっていて飾り気のないことを意味する「真面目」があります。
バックレの類語・類義語としては、直前になって約束や契約を取り消すことを意味する「ドタキャン」、学業や仕事などを怠けることを意味する「サボる」、約束などを果たさずに放っておくことを意味する「すっぽかす」などがあります。
トンズラの意味
トンズラとは、都合が悪くなった際に逃げるための用意をすることを意味しています。
トンズラを使った分かりやすい例としては、「トンズラする人ばかりだと聞いたがそれほどにまで練習がツラいのだろうか」「犯人がトンズラこく前に包囲網が敷かれた」「トンズラを決め込んだのか姿が見えなくなっていた」などがあります。
その他にも、「一晩のうちにトンズラすることを決めたのか全く兆候が見られなかった」「トンズラする数か月前にそれらしい噂を耳にした」「今は目の前のタスクからトンズラしたいとさえ思う」などがあります。
トンズラは、「逃れること」を意味する「遁走する」と「高飛びをすること」を意味する「ずらかる」という語を組み合わせた言葉で、「とんずら」と平仮名で表記されることもあります。主に犯罪を犯した人が逃げる場合に使う語です。
1954年に発表された、梅崎春生著の『ボロ家の春秋』にて使われたことに由来しており、「トンズラする」「トンズラこく」「トンズラを決め込む」などのような表現で用いられています。
今日では、犯罪ほどではないものの、「悪いことをした後や悪いことをしている最中に逃げること」や「面倒なことを回避する」といった意味で使われることもあります。
トンズラの対義語・反対語としては、立ち去る者は後々見苦しくないようにするべきであるということや、引き際が潔いことの例えである「立つ鳥跡を濁さず」があります。
トンズラの類語・類義語としては、逃げ出してあとをくらますことを意味する「出奔」、姿をくらますことを意味する「雲隠れ」、立ち去って散らばることを意味する「退散」、急に姿を隠すことを意味する「ドロンする」などがあります。
バックレの例文
この言葉がよく使われる場面としては、約束していた内容をすっぽかすことを意味する時などが挙げられます。
例文4や5のように、具体的に「無断でアルバイトや会社を休むことや辞めること」を意味する言葉としても使われています。
トンズラの例文
この言葉がよく使われる場面としては、都合が悪くなった際に逃げるための用意をすることを意味する時などが挙げられます。
例文3から5のように、「面倒なことを回避する」を意味する言葉としても使われています。
バックレとトンズラは、どちらも「逃げること」を表します。どちらを使うか迷った場合は、約束を破ることを表す場合は「バックレ」を、逃げるための用意をすることを表す場合は「トンズラ」を使うと覚えておけば間違いありません。