似た意味を持つ「帳尻」(読み方:ちょうじり)と「辻褄」(読み方:つじつま)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「帳尻」と「辻褄」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
帳尻と辻褄の違い
帳尻と辻褄の意味の違い
帳尻と辻褄の違いを分かりやすく言うと、帳尻とは帳簿の最後の部分を意味し、辻褄とは物事の道理を意味するという違いです。
帳尻と辻褄の使い方の違い
一つ目の帳尻を使った分かりやすい例としては、「収支バランスが悪いので帳尻を合わせる」「人生は帳尻合わせだと思う」「帳尻が合うのか検証する」「最終的には帳尻が合えばよい」「収入と支出の帳尻が合わない」「今月末の数字の帳尻が合わない」などがあります。
二つ目の辻褄を使った分かりやすい例としては、「確かにその言い分だと辻褄が合う」「どう考えても話の辻褄が合わない」「嘘の辻褄を合わせるのに苦労する」「辻褄が合わない言動をしている」「最終的に辻褄が合っていればよい」「彼の話は辻褄が合わないので信用できない」などがあります。
「帳尻が合う」と「辻褄が合う」は同じ意味
帳尻と辻褄という言葉は、どちちも「合う」という言葉と一緒に使われることが多い言葉です。「帳尻が合う」と「辻褄が合う」は、どちらも物事の筋道が通っており正しく収まっていることの意味があります。
このことから、帳尻と辻褄は同じ意味だと思われやすいのですが、それぞれの意味は異なります。帳尻とは帳簿の最後の部分を意味し、辻褄とは物事の道理を意味します。
帳尻と辻褄という単語の意味は異なりますが、「帳尻が合う」「辻褄が合う」となると同じ意味を持つことに注意しましょう。
帳尻と辻褄の英語表記の違い
帳尻を英語にすると「book balance」「accounts balance」となり、例えば上記の「帳尻を合わせる」を英語にすると「make the accounts balance」となります。
一方、辻褄を英語にすると「consistency」「coherence」となり、例えば上記の「辻褄が合う」を英語にすると「be coherent」となります。
帳尻の意味
帳尻とは
帳尻とは、帳簿の記載の最後のところや、収支の最終的な計算を意味しています。
表現方法は「帳尻を合わせる」「帳尻合わせ」「帳尻が合う」
「帳尻を合わせる」「帳尻合わせ」「帳尻が合う」などが、帳尻を使った一般的な表現方法です。
帳尻の使い方
帳尻を使った分かりやすい例としては、「ここで頑張り人生の帳尻合わせをする」「帳尻と現金が合っていないのは不都合だ」「借金してでも帳尻を合わせる」「帳尻金の振替について教えてほしい」「会社の資金の帳尻を合わせる」「出納簿の帳尻を確認してください」などがあります。
その他にも、「因果の帳尻は必ず合う」「昼寝をして睡眠時間の帳尻を合わせる」「おやつを食べ過ぎたから、夕飯は少なめにしてカロリーの帳尻を合わせよう」「帳尻が合わなくて焦ってしまった」「帳尻を合わせるのに苦労する」などがあります。
帳尻の語源
帳尻とは、帳簿の最後の部分を意味しています。帳簿は金銭や物品の出納を記入するためのノートであり、その最後の部分は収支の最終的な計算を表しています。このように、帳尻という言葉は会計に関する言葉が語源となっています。
「帳尻が合う」の意味
「帳尻が合う」とは、収入と支出が合致することを意味しています。この意味が転じて、最終的に物事のつり合いが取れることや、辻褄が合うことの意味でも使われるようになりました。帳尻には辻褄の意味はないのですが、「帳尻が合う」となると辻褄が合うことの意味も持ちます。
帳尻の類語
帳尻の類語・類義語としては、収入と支出の総計算を意味する「決算」、料金などの過不足を計算しなおすことを意味する「精算」などがあります。
帳尻の尻の字を使った別の言葉としては、目の耳側の方の端を意味する「目尻」、矢の先端につけ射当てたとき突き刺さる部分を意味する「矢尻」、後ろに倒れて尻を地面に打ちつけることを意味する「尻餅」などがあります。
辻褄の意味
辻褄とは
辻褄とは、合うべきところがきちんと合う物事の道理を意味しています。
表現方法は「辻褄を合わせる」「辻褄が合わない」「辻褄が合う」
「辻褄を合わせる」「辻褄が合わない」「辻褄が合う」などが、辻褄を使った一般的な表現方法です。
辻褄の使い方
辻褄を使った分かりやすい例としては、「物事の辻褄を合わせる」「無理やりに辻褄を合わせた」「下手な辻褄合わせを聞かされる」「辻褄が合わないことを追求する」「提案書全体の辻褄をあわせる」などがあります。
その他にも、「辻褄が合わないので納得できない」「事が明らかになって、すべての辻褄が合った」「物事の前後の辻褄が合わない」「会話の辻褄が合わない」「明らかに辻褄が合わないことを言う人」などがあります。
辻褄の語源
辻褄という言葉は、裁縫の用語が語源となっています。辻とは縫い目が十字に合わさったところを意味し、褄は着物の裾 (すそ) の左右両端の合う部分を意味します。「辻」も「褄」も合うべき部分を意味しており、「辻褄」は合うべきところがきちんと合う物事の道理を意味しています。
「辻褄が合う」の意味
「辻褄が合う」とは、物事の前後がきちんと合っており矛盾がないことを表します。「辻褄が合わない」とは、物事の筋道や前後関係などが合っていないことを表します。
辻褄の類語
辻褄の類語・類義語としては、物事の筋道を意味する「条理」、物事の正しいすじみちを意味する「道理」、考えや話などの筋道を意味する「理路」(読み方:りろ)などがあります。
辻褄の褄の字を使った別の言葉としては、和服の褄を高くとった着付けのしかたを意味する「褄高」、着物の襟下と裾の出あう角を意味する「褄先」などがあります。
帳尻の例文
この言葉がよく使われる場面としては、収支の最終的な計算や、物事の最終的なつり合いが取れていることを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3で使われている「帳尻」は、収支の最終的な計算を表しています。例文4や例文5で使われている「帳尻」は、最終的に物事のつり合いが取れていることや道理が通ることを表しています。
例文4にある「人生は帳尻が合う」とは、人生には良いことも悪いこともあり、プラスマイナスのバランスがとれていることを表しています。
辻褄の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事の筋道が通っていることを表現したい時などが挙げられます。
辻褄という言葉は、合うべきところがきちんと合う物事の道理を意味しています。例文2にある「辻褄を合わせる」とは、物事や話の筋道が通るようにもっともらしく理屈を合わせることを表しています。
帳尻と辻褄は「合う」という言葉と一緒に使われることが多い言葉です。「帳尻が合う」「辻褄が合う」とは、筋道が通っており正しく収まるさまを表します。ただし、帳尻は帳簿の最後の部分を意味し、辻褄は物事の道理を意味しており、単語としては意味が異なることに注意しましょう。