似た意味を持つ「歌謡曲」(読み方:かようきょく)と「演歌」(読み方:えんか)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「歌謡曲」と「演歌」という言葉は、どちらも「歌のジャンル」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
歌謡曲と演歌の違い
歌謡曲と演歌の違いを分かりやすく言うと、歌謡曲とは昭和時代に登場した日本のポピュラー音楽全般、演歌とは歌謡曲の一種という違いです。
一つ目の歌謡曲を使った分かりやすい例としては、「父は車を運転しながら昭和の歌謡曲を聴いています」「YouTubeで歌謡曲ヒットメドレーを聴く」「高齢者が喜ぶ演歌や歌謡曲を施設で流しています」などがあります。
二つ目の演歌を使った分かりやすい例としては、「母は演歌歌手になりたかったそうです」「playリストに演歌の名曲集を作成しました」「昭和を代表する男性演歌歌手といえば誰を思い浮かべますか」などがあります。
歌謡曲と演歌という言葉は、どちらも日本独自の音楽ジャンルを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
歌謡曲とは、日本の大衆歌曲の一種です。昭和の初期以降に、海外のポピュラー音楽の形式をとりながら作詞作曲され、レコードやラジオなどを通じて世間に広まった大衆音楽を指します。歌謡曲は洋楽の影響を受けながら日本のポピュラー音楽として確立し、J-POPの原型となりました。
演歌とは、歌謡曲の一種であり、民謡や詩吟など日本の伝統音楽の影響を受けた楽曲です。「こぶし」と呼ばれる独特な節回しや短調のメロディーが特徴であり、感情的な歌詞で愛や郷愁などをテーマにすることが多くあります。
つまり、歌謡曲とは日本のポピュラー音楽全般を指す広い概念であり、演歌とは歌謡曲の一ジャンルです。二つの言葉を比べると、演歌より歌謡曲の方が広い意味を持ち、汎用性のある言葉だと言えるでしょう。
歌謡曲を英語にすると「kayoukyoku」「popular song」となり、例えば上記の「歌謡曲を聴く」を英語にすると「listen to kayoukyoku」となります。一方、演歌を英語にすると「enka」となり、例えば上記の「演歌歌手」を英語にすると「enka Singer」となります。
歌謡曲の意味
歌謡曲とは、主に日本で作詞作曲され、レコード・ラジオ・テレビなどを通じて流布される大衆的歌曲を意味しています。
歌謡曲を使った分かりやすい例としては、「昭和の歌謡曲一覧から盛り上がる楽曲を選びました」「K-POPばかり聴いているので歌謡曲の人はよく知りません」「あなたの歌謡曲ベスト10を教えてください」などがあります。
その他にも、「今週の歌謡曲ランキングをチェックする」「有名な歌謡曲はだいたい歌えます」「歌謡曲の女性歌手一覧をダウンロードしました」「懐かしの歌謡曲のテレビ特番は必ず観ています」などがあります。
歌謡曲の「歌謡」は、流行歌・民謡・童謡などの総称であり、声楽曲を指す言葉です。歌謡曲とは現代日本の大衆歌曲を意味し、昭和初期以降に西洋音楽の技法をとり入れて作詞作曲され、主にラジオやテレビ等のマスメディアを通して伝えられる歌のことです。
歌謡曲という呼称は、昭和初期にJOAK(のちのNHK)が名付けたと言われています。それまで「流行歌」「はやり歌」と呼ばれていた大衆歌曲の放送にあたり、流行するかしないかわからない歌をそのような名称にするのは適当でないとして、「歌謡曲」という名で放送したことが始まりとされています。
歌謡曲の類語・類義語としては、民間でうたわれる歌謡を意味する「俗謡」、酒席などで座興に歌われる短い三味線声曲を意味する「俗曲」、ある一時期広く世間に流布し多くの人に好まれ歌われる歌を意味する「流行歌」などがあります。
演歌の意味
演歌とは、日本の流行歌の一つで、こぶしをきかせて歌う歌謡曲を意味しています。
演歌を使った分かりやすい例としては、「演歌の新譜情報をネットで検索する」「女性の演歌歌手一覧をエクセルで作りました」「女性の演歌歌手だったら誰が好きですか」「弟は演歌を全く聴きません」などがあります。
その他にも、「人気演歌歌手のインスタグラムをフォローしています」「万人受けする有名な演歌をカラオケで歌いました」「紅白歌合戦に昭和の演歌は欠かせません」「英語の先生は演歌をよく聴いているそうです」などがあります。
演歌は「艶歌」とも書きますが、一般的には「演歌」と表記されています。
演歌とは、日本の流行歌の一ジャンルで、特に「こぶし」と呼ばれる独特な歌唱法や、義理人情、男女の情念などをテーマにした歌詞が特徴の歌です。1960年代に歌謡曲の西洋化のなかで、演歌は伝統色の強いジャンルとして確立し、 80年代以降は中高年層を中心に支持されています。
演歌の語源は、明治時代の自由民権運動において政府批判を歌に託した「演説歌」に由来します。「演説歌」は、やがて「演歌」と略されるようになりました。のちに政治色が薄くなり、人情歌をアコーディオンなどに合わせて歌う遊芸になり、「艶歌」とも書かれるようになりました。
演歌の類語・類義語としては、集団の場において自然に発生し伝承されてきた歌謡を意味する「民謡」、色気の感じられる内容の歌を意味する「艶歌」(読み方:つやうた)、三味線に合わせてうたい語る演芸や浪花節を意味する「浪曲」などがあります。
歌謡曲の例文
この言葉がよく使われる場面としては、レコード、ラジオ、テレビ等のマスメディアを通して伝えられていく歌を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、歌謡曲という言葉は、主に音楽シーンで使用されています。
演歌の例文
この言葉がよく使われる場面としては、義理人情を歌う日本の民衆歌謡の一種を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、演歌という言葉は、音楽シーンで用いられることが多くあります。
歌謡曲と演歌という言葉は、どちらも「歌のジャンル」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、昭和時代に登場した日本のポピュラー音楽全般を表現したい時は「歌謡曲」を、歌謡曲の一ジャンルを表現したい時は「演歌」を使うようにしましょう。