似た意味を持つ「手に余る」(読み方:てにあまる)と「手に負えない」(読み方:てにおえない)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「手に余る」と「手に負えない」という言葉は、どちらも自分の力では対応しきれないことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「手に余る」と「手に負えない」の違い
「手に余る」と「手に負えない」の意味の違い
「手に余る」と「手に負えない」の違いを分かりやすく言うと、「手に余る」は量や難度が自分の力量を超えていること、「手に負えない」は制御や管理ができず扱いきれないことという違いです。
「手に余る」と「手に負えない」の使い方の違い
一つ目の「手に余る」を使った分かりやすい例としては、「今の人員では業務量が手に余る」「手に余る仕事は外注するしかない」「現場の判断では手に余る問題です」「この量の仕事は一人では手に余るだろう」などがあります。
二つ目の「手に負えない」を使った分かりやすい例としては、「手に負えない患者は専門医に任せる」「クレーマー対応が手に負えないレベル」「手に負えないほど部屋が散らかっている」「この子は手に負えない」などがあります。
「手に余る」と「手に負えない」の使い分け方
「手に余る」と「手に負えない」はどちらも自分の力では対応しきれないことを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「手に余る」は「この案件は手に余るので他部署に回したほうがいい」「この量の仕事は一人では手に余るだろう」のように、量や難度が自分の能力担当の範囲を超えていることをやや客観的に表すときに使います。
一方「手に負えない」は「この子は手に負えない」「台風で被害が広がり手に負えない状況だ」のように、扱いきれず制御不能や対応不能であることを強く否定的に表すときに使います。
つまり、量や難度が自分の力量を超えているのが「手に余る」、制御や管理ができず扱いきれないのが「手に負えない」と覚えておきましょう。
「手に余る」と「手に負えない」の英語表記の違い
「手に余る」を英語にすると「be beyond one’s ability」「be out of one’s depth」となり、例えば上記の「この量の仕事は一人では手に余るだろう」を英語にすると「This amount of work will be too much for one person to handle」となります。
一方、「手に負えない」を英語にすると「be unmanageable」「be out of control」となり、例えば上記の「この子は手に負えない」を英語にすると「This child is completely unmanageable」となります。
「手に余る」の意味
「手に余る」とは
「手に余る」とは、自分の力では及ばないことを意味しています。
「手に余る」の使い方
「手に余る」を使った分かりやすい例としては、「この研究は私の専門外で手に余る」「プロジェクト全体を一人で管理するのは手に余る」「急なトラブルが重なり手に余る状況です」「彼の才能は私の指導では手に余るほどだ」などがあります。
「手に余る」は、自分の力や能力では対応しきれない、処理しきれないという意味の言葉です。
主に状況や問題の規模が大きすぎたり、複雑すぎたりして、自分だけでは解決できないときに使います。あくまで能力や手段が足りないというニュアンスであり、必ずしも感情的に困惑していることを指すわけではないので注意しましょう。
「手に余る」の特徴
「手に余る」は自分の力量や立場を超えた問題について、冷静に状況を判断して使う表現です。
日常生活でも使えますが、ビジネスシーンで「この案件は私には手に余るので上司に相談します」のように、上位者に判断を委ねる文脈でよく使われます。感情的な混乱よりも、能力やリソースの不足を客観的に伝える場面で使うのが適切です。
「手に余る」の類語
「手に余る」の類語・類義語としては、力不足で対応できないことを意味する「分不相応」、自分では処理しきれないという意味を持つ「荷が重い」、自分の能力では難しいことを示す「太刀打ちできない」などがあります。
「手に負えない」の意味
「手に負えない」とは
「手に負えない」とは、自分の力ではどうにもならないことを意味しています。
「手に負えない」の使い方
「手に負えない」を使った分かりやすい例としては、「この子はやんちゃすぎて手に負えない」「被害が拡大し手に負えない状況だ」「彼のわがままぶりはもう手に負えない」「トラブルが複雑化して手に負えない」「火災が広がり手に負えない事態だ」などがあります。
「手に負えない」は、自分では制御できない、対応しきれないという意味の言葉です。
単に難しいというよりも、状況が手に負えず暴走している、あるいは事態が予想以上に悪化しているニュアンスが強いのが特徴です。特に、感情的に困っている、圧倒されているといった響きを含む場合が多いです。
「手に負えない」の特徴
「手に負えない」は、問題や人物があまりにも手強いときに使われます。日常生活では「この子は元気すぎて手に負えない」「トラブルが大きくなりすぎてもう手に負えない」など、感情的な困惑や諦めが混じった表現として用いられることが多いです。
また、ビジネスシーンでは、状況の深刻さを上司や同僚に伝えるときに「この問題はもはや現場では手に負えない状況です」と使い、早急な対策を求める場面で使われます。
「手に負えない」の類語
「手に負えない」の類語・類義語としては、抑えられないという意味を持つ「抑止できない」、状況が悪化して制御できないことを示す「収拾がつかない」、どうにもならないというニュアンスの「お手上げ」などがあります。
「手に余る」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分の力では及ばないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「手に余る」は量や難度が自分の力量を超えている時に使う言葉です。
「手に負えない」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分の力ではどうにもならないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「手に負えない」は制御や管理ができず扱いきれない時に使う言葉です。
「手に余る」と「手に負えない」はどちらも自分の力では対応しきれないことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、量や難度が自分の力量を超えているのが「手に余る」、制御や管理ができず扱いきれないのが「手に負えない」と覚えておきましょう。