似た意味を持つ「お人好し」(読み方:おひとよし)と「優しい」(読み方:やさしい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「お人好し」と「優しい」という言葉は、どちらも人に対して親切で思いやりのあることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「お人好し」と「優しい」の違い
「お人好し」と「優しい」の違いを分かりやすく言うと、「お人好し」はマイナスのイメージで使うこともある、「優しい」はプラスのイメージでのみ使うという違いです。
一つ目の「お人好し」を使った分かりやすい例としては、「あの人はお人好しで愚痴を言う人の話も最後まで聞いてあげる」「お人好しだとわかっているからつい頼ってしまう」「お人好しな弟は友達に宿題を写させてしまった」「彼はお人好しだからお金を貸してしまった」などがあります。
二つ目の「優しい」を使った分かりやすい例としては、「優しい対応をされるとこちらも落ち着く」「彼は優しい性格だから誰とでも仲良くなれる」「優しい気持ちが伝わると心が温かくなる」「優しい人は他人の失敗を責めない」「彼女はとても優しい人だ」などがあります。
「お人好し」と「優しい」はどちらも人に対して親切で思いやりのあることを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「お人好し」は「彼はお人好しだから誰にでも騙されやすい」のように、他人に親切すぎるがゆえに損をしたり、利用されたりするようなニュアンスで使う言葉になります。ポジティブというより、少しネガティブな評価が含まれます。
一方、「優しい」は「彼女はとても優しい人で、困っている人を放っておけない」のように、純粋に思いやりがあって他人を気遣う性質を褒める言葉として使われます。こちらは基本的にポジティブな評価として用いられます。
つまり、マイナスのイメージで使うこともあるのが「お人好し」、プラスのイメージでのみ使うのが「優しい」と覚えておきましょう。
「お人好し」を英語にすると「softhearted person」「easy mark」「too trusting」となり、例えば上記の「彼はお人好しだからお金を貸してしまった」を英語にすると「He’s too softhearted, so he lent the money」となります。
一方、「優しい」を英語にすると「kind」「gentle」「compassionate」となり、例えば上記の「彼女はとても優しい人だ」を英語にすると「She is a very kind person」となります。
「お人好し」の意味
「お人好し」とは、すぐ騙される人のことを意味しています。
「お人好し」を使った分かりやすい例としては、「彼はお人好しだから誰にでも親切にしてしまう」「彼女はお人好しなところがあるから利用されやすい」「お人好しすぎると周りに甘く見られることがある」「彼女はお人好しだから断るのが苦手だ」などがあります。
「お人好し」は、人を疑わずにすぐ信用してしまったり、他人のために損をしてしまうような人の性格を意味する言葉です。そのため、基本的にマイナスのイメージを伴っていると覚えておきましょう。
「お人好し」は優しい人というよりも、やや世間知らずで損をしやすい人というニュアンスで使われることが多く、結果的にからかわれたり利用されたりする立場にあることを指摘する際に用いられます。
褒め言葉としてよりも、注意や苦言を含むニュアンスで使われることが多い言葉です。
「お人好し」の対義語・反対語としては、冷たく打算的な人を意味する「計算高い」、他人を信用しないことを意味する「疑い深い」などがあります。
「お人好し」の類語・類義語としては、親切すぎて損をする人を意味する「善人」、人の言葉を簡単に信じてしまうことを意味する「純真」、世間のことをよく知らず騙されやすいことを意味する「おめでたい」などがあります。
「優しい」の意味
「優しい」とは、他人に対して思いやりがあることを意味しています。その他にも、態度や雰囲気が穏やかで人を安心させること、または刺激が弱く穏やかであることの意味も持っています。
「優しい人」「優しい声」などが、「優しい」を使った一般的な言い回しになります。
「彼はとても優しい人です」「優しい表情に癒やされました」などの文中で使われている「優しい」は「他人を思いやる気持ちがあり温かく親切であること」の意味で使われています。
一方、「優しい風が吹いてきました」「この薬は胃に優しいです」などの文中で使われている「優しい」は、「刺激が弱く穏やかであることや、負担をかけないこと」の意味で使われています。
「優しい」は複数の意味を持つ形容詞です。形容詞とは、物事の状態や性質がどのようであるかを表現する際に使う言葉になります。
「優しい」は「優しい人」「優しい言葉」などのように、人の性格や態度を表すことが多いですが、「胃に優しい食事」「目に優しい光」などのように、物理的な刺激の弱さや心地よさを表す場合にも使われるのが特徴です。
また、「優しい」は基本的にプラスのイメージを伴っていますが、状況によっては「甘すぎる」「厳しさが足りない」といったニュアンスで使われることもあります。
「優しい」は広く一般的に使われている言葉で、日常会話の中でも頻繁に登場します。
「優しい」の対義語・反対語としては、冷たく思いやりがないことを意味する「冷たい」、人に厳しく容赦がないことを意味する「厳しい」があります。
「優しい」の類語・類義語としては、心が穏やかで思いやりがあることを意味する「温和」、親切で愛情があることを意味する「思いやり深い」、柔らかくておだやかなことを意味する「柔和」などがあります。
「お人好し」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、すぐ騙される人のことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「お人好し」はマイナスのイメージで使うこともある言葉です。
「優しい」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、 他人に対して思いやりがあることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「優しい」はプラスのイメージでのみ使う言葉です。
「お人好し」と「優しい」はどちらも人に対して親切で思いやりのあることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、マイナスのイメージで使うこともあるのが「お人好し」、プラスのイメージでのみ使うのが「優しい」と覚えておきましょう。