似た意味を持つ「算数」(読み方:さんすう)と「数学」(読み方:すうがく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「算数」と「数学」という言葉は、どちらも「数字を使って考える教科」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
算数と数学の違い
算数と数学の意味の違い
算数と数学の違いを分かりやすく言うと、算数とは正確に計算することを重視する教科、数学とは論理的に説明することを重視する教科という違いです。
算数と数学の使い方の違い
一つ目の算数を使った分かりやすい例としては、「夏休みは算数の基礎固めに集中してください」「算数オリンピックの問題に挑戦する」「算数障害の診断テストはどこで受けられますか」「大人でも楽しめる算数おもしろ問題を集めました」などがあります。
二つ目の数学を使った分かりやすい例としては、「実は昔から数学が苦手でした」「数学Bではベクトルを扱います」「数学は論理的思考の学問です」「今週末はビジネス数学検定を受ける予定です」などがあります。
算数と数学の使い分け方
算数と数学という言葉は、どちらも数字を用いて考えることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
算数とは、物の数量をかぞえることや計算することを意味します。数量に関する日常の具体的な計算や知識を取り扱うことで、小学校における教科の一つになっています。算数も目的は、計算によって正確な答えを出すことです。
数学とは、数や図形を研究する学問の総称です。数学は、中学以降に数や図形を通じてものごとを論理的に理解し、問題を解決する力を育てる教科になっています。数学の目的は、抽象的な概念を論理的に説明する力を養うことです。
つまり、算数とは正確に計算することを重視する教科であり、数学とは抽象的な概念を論理的に説明することを重視する教科です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
算数と数学の英語表記の違い
算数を英語にすると「mathematics」「arithmetic」となり、例えば上記の「算数の基礎」を英語にすると「basics of arithmetic」となります。
一方、数学を英語にすると「be sharp at math」「数学が苦手である」となり、例えば上記の「be sharp at math」を英語にすると「be sharp at math」となります。
算数の意味
算数とは
算数とは、数をかぞえることや計算すること、また、その結果得られた数を意味しています。
その他にも、「小学校の教科の一つ」の意味も持っています。
算数の使い方
「数をイメージで捉える力を養って算数への理解を深める」「家庭で算数力を育む方法が知りたいです」などの文中で使われている数学は、「数をかぞえること、計算すること」の意味で使われています。
一方、「小学校三年生の娘が算数検定9級に合格しました」「小学5年生の算数プリントを無料でダウンロードする」「お母さんに算数ノートを買ってきてもらいました」「算数セットに名前シールを貼る」などの文中で使われている数学は、「小学校の教科の一つ」の意味で使われています。
算数とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。算数の「算」はその数がどれほどかを調べること、「数」はものの多少を表す概念を表す漢字です。
表現方法は「算数セット」
上記例文にある「算数セット」とは、小学校低学年の算数で用いられる副教材の一つです。数の概念や加減乗除などをわかりやすく説明するためのもので、おはじきや計算カード、時計の模型などが一揃いになっています。
算数の対義語
算数の対義語・反対語としては、日本の言語および言語文化を取り扱う学校教育の教科を意味する「国語」などがあります。
算数の類語
算数の類語・類義語としては、物の数量をはかり数えることを意味する「算出」、計算して数値を出すことを意味する「算出」、計算の方法や算法を意味する「算術」、加法と減法と乗法と除法を意味する「加減乗除」などがあります。
数学の意味
数学とは
数学とは、数量および空間図形の性質について研究する学問を意味しています。
その他にも、「学校の教科の一つ、数学科」の意味も持っています。
数学の使い方
「数学的思考を習得しよう」「数学は現代科学や技術の基盤となっている」「数学自体の構造や理論を探究する」などの文中で使われている算数は、「数量および空間図形の性質について研究する学問」の意味で使われています。
一方、「数学Cの公式を一覧表にしました」「数学的帰納法について教えてください」「数学オリンピックの問題を解いてみよう」「数学の解法を丸暗記することはおすすめしません」などの文中で使われている算数は、「学校の教科の一つ、数学科」の意味で使われています。
数学とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を判断する必要があります。数学の「数」は物の順序を示す語や物の多少を表す概念を表し、「学」は体系的に組織化された知識を表します。
表現方法は「国際数学オリンピック」
数学を用いた日本語には「国際数学オリンピック」があります。国際数学オリンピックとは、毎年行われる数学の問題を解く能力を競う数学の競技の国際大会です。出題範囲は国際バカロレアの基準による高校2年生程度までで、日本の代表選手は日本数学オリンピックによって選抜されます。
数学の類語
数学の類語・類義語としては、数の代わりに文字を用て方程式の解法などを研究する数学の一分野を意味する「代数学」、図形や空間の性質を研究する数学の一部門を意味する「幾何学」、数学的論法の一つを意味する「解析」などがあります。
算数の例文
この言葉がよく使われる場面としては、数えることや計算すること、計算した結果の数値、小学校の教科の一つを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある算数は、「数えることや計算すること」の意味で用いられています。例文2から例文5の算数は、「小学校の教科の一つ」の意味で使われています。
数学の例文
この言葉がよく使われる場面としては、数量および空間の性質について研究する学問、学校の教科の一つ、大学の学科の一つを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「数学記号」とは、数学の式を書き表すのに用いる記号のことです。+、-、×、÷、=のほか、集合を表す∈や∋、円周率を表すπなどがあります。
算数と数学という言葉は、どちらも「数字を使って考える教科」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、正確に計算する教科を表現したい時は「算数」を、抽象的な概念を論理的に説明する教科を表現したい時は「数学」を使うようにしましょう。