似た意味を持つ「強風」(読み方:きょうふう)と「暴風」(読み方:ぼうふう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「強風」と「暴風」という言葉は、どちらも「風が強いこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
強風と暴風の違い
強風と暴風の意味の違い
強風と暴風の違いを分かりやすく言うと、強風よりも暴風の方が、非常に風が強いことを表すという違いです。
強風と暴風の使い方の違い
一つ目の強風を使った分かりやすい例としては、「強風注意報が出たので花火大会が中止になるかもしれません」「強風の為ドアを締め切っております」「強風での作業中止基準を周知しました」「強風に強い日傘が欲しいです」などがあります。
二つ目の暴風を使った分かりやすい例としては、「雷を伴う暴風によって試合は中止になりました」「暴風警報が出たら学校は休みになります」「札幌では暴風雪警報が発表されました」「暴風時には安全な建物に避難してください」などがあります。
強風と暴風の使い分け方
強風と暴風という言葉は、どちらも強い風が吹くことを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
強風とは、文字通り「強い風」を意味します。気象用語としては、風速毎秒13.9~17.1メートルの風を指し、これは風力階級7の風に当たります。樹木全体が揺れて、風に向かっての歩行が困難になります。
暴風とは、激しく強い風、荒々しく吹く風を意味します。気象用語では、風速が毎秒24.5~28.4メートルの風で、風力階級10の風を指す言葉です。樹木が根こそぎ倒れ、家屋に損害が起こるおそれがあるレベルです。
つまり、強風とは気象情報の風力階級7であり、暴風とは風力階級10の強い風のことです。二つの言葉を比べると、強風より暴風の方が風の強さのレベルが高く、災害を招く危険性も高くなることを表現します。
強風と暴風の英語表記の違い
強風を英語にすると「strong wind」「gale」となり、例えば上記の「強風注意報」を英語にすると「a gale warning」となります。一方、暴風を英語にすると「storm」「violent wind」となり、例えば上記の「雷を伴う暴風」を英語にすると「a thunder storm」となります。
強風の意味
強風とは
強風とは、強い風を意味しています。
その他にも、「風速毎秒13.9~17.1メートル、風力階級7の風」の意味も持っています。
強風の使い方
「強風タイプの冷却プレート付きハンディファンを買いました」「強風で庭の木が吹き倒されてしまった」「強風で髪がオールバックになってしまった」などの文中で使われている強風は、「強い風」の意味で使われています。
一方、「日本列島は広い強風域に覆われています」「強風により災害が起こる恐れがあります」「強風注意報の運用基準を確認する」などの文中で使われている強風は、「風速毎秒13.9~17.1メートル、風力階級7の風」の意味で使われています。
強風とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を判断する必要があります。強風の「強」は訓読みで「つよい」と読み、力や勢いがあることを表す漢字です。
表現方法は「強風注意報」
強風を用いた日本語には「強風注意報」があります。強風注意報とは、強い風により、物の飛散や弱い構造物の損壊や倒壊などの災害、交通への障害が起こるおそれがある場合に発表される注意報のことです。地域ごとに決められた風速の基準値があり、それに達すると予想される場合に発表されます。
強風の対義語
強風の対義語・反対語としては、風がないことを意味する「無風」、風がやんで波がなくなり海面が静まることを意味する「凪」などがあります。
強風の類語
強風の類語・類義語としては、突然吹きだす強風で短時間で収まるものを意味する「突風」、急に激しく吹く風を意味する「疾風」、強い風をともなって降る雨を意味する「風雨」、循環する風系を周囲にもつ低気圧を意味する「サイクロン」などがあります。
暴風の意味
暴風とは
暴風とは、荒く激しい風、災害をもたらす強い風、あらしを意味しています。
その他にも、「風速が毎秒24.5~28.4メートルで、風力階級10の風」の意味も持っています。
暴風の使い方
「ビールの製造工場が暴風雨により被災しました」「暴風の中かくれんぼしている子供たち注意しました」「暴風のように吠える龍が出てくる夢を見た」などの文中で使われている暴風は、「荒く激しい風、災害をもたらす強い風」の意味で使われています。
一方、「関東における暴風警報の状況を確認する」「暴風域を地図表示で確認できます」「気象庁は暴風域に入る確率を発表しています」などの文中で使われている暴風は、「風速が毎秒24.5~28.4メートルで、風力階級10の風」の意味で使われています。
暴風の読み方
暴風の読み方は「ぼうふう」の他に「あらしま」「あらしまかぜ」「あかしまかぜ」「あからしまかぜ」とも読みますが、一般的には「ぼうふう」と読まれています。
暴風とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。暴風の「暴」は訓読みで「あばれる」と読み、激しく荒々しいことを表します。
表現方法は「暴風警報」
暴風を用いた日本語には「暴風警報」があります。暴風警報とは、気象警報の一つであり、暴風または暴風雨・暴風雪の襲来するおそれのあることを知らせるものです。平均風速が陸上20メートル、海上25メートル以上になると予想されるときに発出されます。
暴風の対義語
暴風の対義語・反対語としては、そよ風や微かに吹く風を意味する「微風」などがあります。
暴風の類語
暴風の類語・類義語としては、きわめて激しい風を意味する「烈風」、渦を巻いて吹き上がる風を意味する「つむじ風」、北太平洋西部や南シナ海の熱帯低気圧のうち最大風速が17.2m/s以上になったものを意味する「台風」、暴風雨を伴う強い熱帯低気圧を意味する「ハリケーン」などがあります。
強風の例文
この言葉がよく使われる場面としては、通常と異なる強い風、気象で風力階級7の風を表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「強風軸」とは、ジェット気流の中心付近の最も風が強い領域を意味する気象用語です。
暴風の例文
この言葉がよく使われる場面としては、荒れ狂う風、気象で風力階級10の風を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「暴風雨」とは、激しい風を伴った雨を意味し、風雨が強く大きな被害を伴うような気象状態を指す言葉です。例文4の「暴風域」とは、暴風雨の吹き荒れる範囲を意味し、「暴風圏」とも言います。
強風と暴風という言葉は、どちらも「強い風が吹くこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、風速15m/s以上の風が吹くことを表現したい時は「強風」を、風速25m/s以上の風が吹くことを表現したい時は「暴風」を使うようにしましょう。