似た意味を持つ「一点張り」(読み方:いってんばり)と「一辺倒」(読み方:いっぺんとう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「一点張り」と「一辺倒」という言葉は、どちらも一つの方向に偏った状態のことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「一点張り」と「一辺倒」の違い
「一点張り」と「一辺倒」の意味の違い
「一点張り」と「一辺倒」の違いを分かりやすく言うと、「一点張り」は個人の固執を表し、「一辺倒」は全体の偏りや傾向を表すことという違いです。
「一点張り」と「一辺倒」の使い方の違い
一つ目の「一点張り」を使った分かりやすい例としては、「彼は議論になると自分の意見一点張りで全く譲らない」「予算削減一点張りの主張では組織の未来を考えた議論にならない」「彼女は辛さ一点張りの料理ばかり作るので家族の好みと合わない」などがあります。
二つ目の「一辺倒」を使った分かりやすい例としては、「最近の彼の食生活は甘い物一辺倒で栄養が偏っている」「彼の説明は理論一辺倒で現実の状況を考慮していない」「そのメディアは特定の視点一辺倒の報道を続けている」などがあります。
「一点張り」と「一辺倒」の使い分け方
「一点張り」と「一辺倒」はどちらも一つの方向に偏った状態のことを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「一点張り」は「彼の考えはいつも一点張りだ」のように、一つの意見や主張に固執し、他を受け入れない態度に対して使う言葉になります。個人の頑固さや主張の押し通しを表す場面で用いられることが多いのが特徴です。
一方、「一辺倒」は「議論が理論一辺倒で実践が伴っていない」のように、物事が特定の方向・要素に偏り、全体のバランスを欠いている状態で使う言葉です。人の姿勢だけでなく、考え方・報道・方針など幅広い対象に用いることができます。
つまり、個人の固執を表すのが「一点張り」、全体の偏りや傾向を表すのが「一辺倒」と覚えておきましょう。
「一点張り」と「一辺倒」の英語表記の違い
「一点張り」を英語にすると「single-minded insistence」「sticking to one point」「one-track insistence」などとなり、例えば「彼は議論になると自分の意見一点張りだ」を英語にすると「He sticks to his own opinion with single-minded insistence」となります。
一方、「一辺倒」を英語にすると「one-sided」「biased toward one thing」「monolithic」などとなり、例えば「彼の説明は理論一辺倒だ」を英語にすると「His explanation is one-sided toward theory」となります。
「一点張り」の意味
「一点張り」とは
「一点張り」とは、他の事を顧みずその事だけを押し通すことを意味しています。
表現方法は「彼の主張一点張り」「反対一点張り」
「彼の主張一点張り」「反対一点張り」「値下げ一点張り」「自分の意見一点張り」などが、「一点張り」を使った一般的な言い回しになります。
「一点張り」の使い方
「一点張り」を使った分かりやすい例としては、「彼は会議中ずっと反対一点張りでした」「上司は効率化一点張りで、他の提案を受け入れようとしません」「彼女は自分の考え一点張りで、人の意見をなかなか聞こうとしません」などがあります。
「一点張り」とは、一つのことだけを強く主張して譲らないことを意味する言葉です。
「一点張り」は「反対一点張り」「要求一点張り」「自己主張一点張り」「値下げ一点張り」など、特定の考えや態度に強く固執している状況に対してよく使われています。
「一点張り」の特徴
また、ビジネスの場面から日常会話まで幅広く使うことができ、否定的なニュアンスを含むことが一般的です。
そのため、多くの場合「一点張り」は柔軟性がない、他の意見を受け入れないといった評価を伴うため、ポジティブな場面ではあまり使われないと覚えておくとよいでしょう。
「一点張り」の類語
「一点張り」の類語・類義語としては、自分の意見を押し通すことを意味する「強硬姿勢」、他の意見を聞かずに固執することを意味する「頑な」などがあります。
「一辺倒」の意味
「一辺倒」とは
「一辺倒」とは、一つの方面にだけ熱中することを意味しています。
表現方法は「古い考え一辺倒」「効率優先一辺倒」
「古い考え一辺倒」「効率優先一辺倒」「体育会系一辺倒」「理論一辺倒」などが、「一辺倒」を使った一般的な言い回しになります。
「一辺倒」の使い方
「一辺倒」を使った分かりやすい例としては、「彼は理論一辺倒で、実践の重要性を理解していません」「最近の政策は効率優先一辺倒で、柔軟性に欠けています」「彼女は健康志向一辺倒で、外食にはほとんど行きません」「新人のころは勢い一辺倒で仕事に取り組んでいました」などがあります。
「一辺倒」とは、物事が一つの方向に偏っていることを意味する言葉です。そのため、考え・行動・姿勢などが バランスを欠き、一つの傾向に集中している状態を指しています。
「一辺倒」は「合理主義一辺倒」「伝統一辺倒」「体育会系一辺倒」「情熱一辺倒」など、特定の方針や価値観に偏りすぎている状況に対して使うのが一般的です。
「一辺倒」の特徴
また、やや批判的なニュアンスを含むことが多く、「偏りすぎている」「柔軟性がない」といった意味を暗に含んでいます。
ただし、文脈によっては「情熱一辺倒」「努力一辺倒」のように、ポジティブな方向の偏りを強調する場合に使われることもあると覚えておきましょう。
「一辺倒」の類語
「一辺倒」の類語・類義語としては、ある一つのことにばかり偏ることを意味する「偏重」、一点の考えや主張に寄りすぎることを意味する「偏向」、バランスを欠いた姿勢を意味する「片寄り」などがあります。
「一点張り」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他の事を顧みずその事だけを押し通すことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「一点張り」は個人の固執を表す時に使う言葉です。
「一辺倒」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、一つの方面にだけ熱中することを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「一辺倒」は全体の偏りや傾向を表す時に使う言葉です。
「一点張り」と「一辺倒」はどちらも一つの方向に偏った状態のことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、個人の固執を表すのが「一点張り」、全体の偏りや傾向を表すのが「一辺倒」と覚えておきましょう。