似た意味を持つ「架空」(読み方:かくう)と「空想」(読み方:くうそう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「架空」と「空想」という言葉は、どちらも「現実ではないこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
架空と空想の違い
架空と空想の違いを分かりやすく言うと、架空とは実在しない作り上げられたもの、空想とは現実離れしたことを頭の中で想像することという違いです。
一つ目の架空を使った分かりやすい例としては、「振込先は架空口座であることが判明した」「捜査員が架空の身分証を使って闇バイトに応募する」「映画に出てくる団体名等は全て架空のものです」などがあります。
二つ目の空想を使った分かりやすい例としては、「絵本の世界に入り込んで空想にふける」「遠い未来を空想することが好きです」「空想癖があって勉強に集中できません」「空想が止まらない時の対処法を教えてもらいました」などがあります。
架空と空想という言葉は、どちらも現実には存在しないものを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
架空とは、事実や根拠がなく想像によって作り上げることを意味します。実在しないというニュアンスが強い言葉であり、「架空口座」とは、偽造した証明書をもとに実在しない人物の名義で開設した銀行口座を指します。
空想とは、現実にはあり得ないようなことなどを頭の中で思い描くことを意味します。頭の中で思いめぐらすというニュアンスが強い言葉であり、「空想癖」とは、現実離れしたことを頭の中で日常的に思い描いて浸る傾向を言います。
つまり、架空とは実在しない作り上げられたものを表し、空想とは現実離れしたことを思い描くことを表します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
架空を英語にすると「fictitious」「imaginary」となり、例えば上記の「架空口座」を英語にすると「a fictitious bank account」となります。
一方、空想を英語にすると「fantasy」「fancy」「daydream」となり、例えば上記の「空想にふける」を英語にすると「indulge in fantasies」となります。
架空の意味
架空とは、空中に架け渡すことを意味しています。
その他にも、「根拠のないこと、また、事実に基づかず、想像によってつくりあげること」の意味も持っています。
「架空地線の内部に光ファイバーが入っています」「架空ケーブルの種類と用途について説明を受けました」「架空配線は台風の影響などで断線することがあります」などの文中で使われている架空は、「空中に架け渡すこと」の意味で使われています。
一方、「架空請求に関する相談は年々増加しています」「生成AIなら架空のアニメを簡単に作れます」「架空の名前を作るときに便利なツールがあります」などの文中で使われている架空は、「根拠のないこと、想像によってつくりあげること」の意味で使われています。
架空の読み方は「かくう」です。送電線関連の現場では「がくう」と読むことがありますが、一般的には「かくう」と読まれています。
架空とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を判断する必要があります。架空の「架」は訓読みで「かける」と読み、上にかけ渡すこと、「空」は頭上はるかに高く広がる空間や根拠がないことを表します。
架空を用いた日本語には「架空線」があります。架空線とは、「架線」とも言い、コンクリート柱や鉄塔などによって空中に張り渡した電線を意味します。主に送電線や通信線として利用され、インフラの根幹として広く普及しています。
架空の対義語・反対語としては、実際に存在することや現実にあることを意味する「実在」などがあります。
架空の類語・類義語としては、自分でかってに推測することを意味する「憶測」、実際にはない事物を仮にあるものとして考えてみることを意味する「仮想」、捏造を意味する「でっちあげ」、想像力を意味する「イマジネーション」などがあります。
空想の意味
空想とは、現実にはあり得ないような事柄を想像することを意味しています。
空想を使った分かりやすい例としては、「いつの間にか空想の世界に浸ってしまう」「雨の音を聴きながら空想にふける」「空想の世界では英語がペラペラと話せます」「子どもの頃に思い描いた空想の鉄道をイラストにしました」などがあります。
その他にも、「どうやら彼は空想癖があるようだ」「彼女は夢見がちな空想家です」「子どもの想像力や空想力を育みたい」「空想上の果実をイメージして作られたグミです」「空想の世界に入ってしまうと周りが見えなくなります」などがあります。
空想の「空」は訓読みで「から」と読み、中身や根拠がないことを表す漢字です。心に思い浮かべる考えを表す「想」と結び付き、空想とは、現実ではない虚構の世界をあれこれ思いめぐらすことを意味します。
空想を用いた日本語には「空想的社会主義」があります。空想的社会主義とは、オーエン・サン=シモン・フーリエらの社会主義に、エンゲルスが与えた名称です。科学的社会主義としてのマルクス主義に対するもので、実現の方法を欠く未来社会の理想像を描いたものです。
空想の対義語・反対語としては、事実として目の前にあらわれている物事を意味する「現実」などがあります。
空想の類語・類義語としては、根拠もなくあれこれと想像することを意味する「妄想」、現実にはないことをあるかのように心に思い描くことを意味する「幻想」、大げさで現実にはあり得ないことを意味する「絵空事」、空想や幻想を意味する「ファンタジー」などがあります。
架空の例文
この言葉がよく使われる場面としては、空中にかけ渡すこと、事実ではなく想像によることを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「架空料金請求詐欺」とは、未払いの料金があるなど、架空の請求で金銭をだまし取ろうとする詐欺のことです。
空想の例文
この言葉がよく使われる場面としては、実現しそうもないことなどをあれこれ想像することを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、空想の慣用的な言い回しには「空想する」「空想の世界」「空想にふける」などがあります。「空想にふける」とは、現実には起こり得ないようなことを思いめぐらしている状態を言います。
架空と空想という言葉は、どちらも「現実ではないこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、現実ではない作り上げられたものを表現したい時は「架空」を、現実ではないことを頭の中で想像することを表現したい時は「空想」を使うようにしましょう。