似た意味を持つ「辟易」(読み方:へきえき)と「閉口」(読み方:へいこう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「辟易」と「閉口」という言葉は、どちらも嫌気がさすことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
辟易と閉口の違い
辟易と閉口の意味の違い
辟易と閉口の違いを分かりやすく言うと、辟易はしりごみすることも意味し、閉口は言葉に詰まることも意味するという違いです。
辟易と閉口の使い方の違い
一つ目の辟易を使った分かりやすい例としては、「無意味な作業に辟易とする」「科学者を辟易させる迷信だ」「相手の剣幕に辟易する」「毎日同じニュースに辟易する」「傲慢な態度には辟易させられる」「レジ待ちの長蛇の列に辟易する」などがあります。
二つ目の閉口を使った分かりやすい例としては、「この問題には閉口した」「予想外の展開に閉口させられた」「彼のいたずらには閉口気味だ」「膨大な仕事を押し付けられ閉口する」「急にキレられて閉口した」などがあります。
辟易と閉口いう言葉は、マイナスのイメージがあり、日常生活で使ったり聞いたりする言葉なはずです。二つの言葉には、「うんざりする、嫌気がさす」という共通する意味があります。
この共通する意味で使われる場合、辟易と閉口は置き換えることができます。上記の例の「作業に辟易する」は「作業に閉口する」に、「閉口気味」は「辟易気味」に置き換えることができます。
辟易と閉口いう言葉は、前述の共通する意味以外にも、それぞれ別の意味を持っています。辟易は勢いに圧倒されてしりごみすること、閉口は言い返せずに言葉に詰まることの意味も持っています。この場合、辟易と閉口を置き換えることができないことに注意しましょう。
辟易と閉口の英語表記の違い
辟易も閉口も英語にすると「be bored」「beat」となり、例えば上記の「この問題には閉口した」を英語にすると「The problem beats me」となります。
辟易の意味
辟易とは
辟易とは、ひどく迷惑して、うんざりすることを意味しています。
その他にも、相手の勢いに圧倒されてしりごみすることの意味も持っています。
表現方法は「辟易とする」「自分に辟易する」
「辟易とする」「自分に辟易する」などが、辟易を使った一般的な表現方法です。
辟易の使い方
「効率の悪さに辟易とする」「彼の思い込みに辟易させられらた」「膨大な量の課題に辟易している」「正直この生活に辟易しつつある」「彼女の自慢話は周囲を辟易させた」などの文中で使われている辟易は、「ひどく迷惑して嫌になること」の意味で使われています。
一方、「その怒鳴り声に周囲は辟易した」「誰もが辟易するような計画が発表された」「強盗のナイフに思わず辟易した」などの文中で使われている辟易は、「圧倒されてしりごみすること」の意味で使われています。
辟易の読み方
「辟易」は「へきえき」と読みます。「はくえき」や「ひえき」ではないので注意しましょう。
辟易の由来
辟易とは、中国の書物に出てくる表現で、「辟」は避けるの意、「易」は変えるの意を表し、「辟易」の形で「道を避けて場所をかえる」が本来の意味です。この意味が転じて、「相手を避ける」「避けたいほど嫌になる、うんざりする」という意味でも使われるようになりました。
四字熟語「百邪辟易」の意味
辟易という言葉を用いた四字熟語には「百邪辟易」(読み方:ひゃくじゃへきえき)があり、多くの魔物がしりごみして退くことを意味します。ここでの辟易は、相手を恐れ逃げることを表しています。例えば「百邪辟易の志」とは、魔物や邪気を寄せ付けない気高い志を表現しています。
辟易の類語
辟易の類語・類義語としては、 おじけて後退りすることを意味する「尻込」(読み方:しりごみ)、気後れすることを意味する「ひるむ」、勢いに圧倒されてひるむことを意味する「たじろぐ」などがあります。
辟易の辟の字を使った別の言葉としては、人の意に迎合してこびへつらうことを意味する「便辟」(読み方:べんぺき)、重い刑罰を意味する「大辟」(読み方:たいへき)などがあります。
閉口の意味
閉口とは
閉口とは、手に負えなくて困ることを意味しています。
その他にも、言い負かされたり圧倒されたりして言葉に詰まることの意味も持っています。
表現方法は「閉口する」「閉口した」「閉口させる」
「閉口する」「閉口した」「閉口させる」などが、閉口を使った一般的な表現方法です。
閉口の使い方
「客のマナーの悪さに閉口することがある」「友人の気の短さに閉口する」「わんぱく少年の言動に閉口する」「テンションの高さに閉口してしまう」などの文中で使われている閉口は、「手に負えなくて困ることや嫌気がさすこと」の意味で使われています。
一方、「彼女の言い訳には閉口した」「あまりの無茶ぶりに閉口する」「部屋の散らかりように閉口する」「トップの責任逃れに閉口した」「香水にも閉口するほどの臭覚過敏である」などの文中で使われている閉口は、「言葉に詰まること」の意味で使われています。
閉口の語源
閉口という言葉は、「口を閉ざす」と書き、言い負かされたり圧倒されて言葉に詰まることを意味します。また、手に負えなくて困ることや嫌気がさすことの意味もあり、辟易と共通する意味を持ちます。
四字熟語「閉口頓首」の意味
閉口という言葉を用いた四字熟語には「閉口頓首」(読み方:へいこうとんしゅ)があり、どうしようもなく困り果てることや、やり込められて返答のしようのないさまを意味します。
閉口の対義語
閉口の対義語・反対語としては、ものを言い始めることを意味する「開口」などがあります。
閉口の類語
閉口の類語・類義語としては、手に負えずに投げ出すことを意味する「降参」、どうしてよいか迷うことこと意味する「迷惑」などがあります。
閉口の閉の字を使った別の言葉としては、出入り口などを閉ざすことを意味する「閉鎖」、先行きが見えないことを意味する「閉塞」(読み方:へいそく)、ある場所に閉じこめることを意味する「幽閉」(読み方:ゆうへい)などがあります。
辟易の例文
この言葉がよく使われる場面としては、嫌気がさすことや尻込みすることを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3で使われる辟易は、ひどく迷惑して嫌気がさしたり、うんざりすることを意味します。例文4や5で使われる辟易は、相手の勢いに圧倒されてしりごみすることを意味します。
閉口の例文
この言葉がよく使われる場面としては、困ることや言葉に詰まることを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2で使われる閉口は、手に負えなくて困ることや嫌気が指すことを意味します。この閉口は辟易に置き換えることができます。例文3から例文5で使われる閉口は、言い負かされたり圧倒されたりして言葉に詰まることを意味します。
辟易や閉口という言葉はどちらも人生の中ので数えきれないほど、使ったり聞いたりする言葉なはずです。どちらも、「うんざりする、嫌気がさす」という共通する意味がある一方、辟易は「しりごみすること」、閉口は「言葉に詰まること」の意味も持つことを覚えておきましょう。