似た意味を持つ「十二分」(読み方:じゅうにぶん)と「十分」(読み方:じゅうぶん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「十二分」と「十分」という言葉は、どちらも満足していることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
十二分と十分の違い
十二分と十分の意味の違い
十二分と十分の違いを分かりやすく言うと、十二分と十分はどちらも満足していることを意味しているのですが、十二分の方がさらに満足しているという違いです。
十二分と十分の使い方の違い
一つ目の十二分を使った分かりやすい例としては、「地面が凍っているので十二分に気を付けてください」「彼の説明を十二分に理解した」「今回の試験は勉強の成果を十二分に発揮することができました」「私は食料を十二分に用意していた」などがあります。
二つ目の十分を使った分かりやすい例としては、「十分な休養を取ってください」「今日のイベントは十分楽しみました」「この携帯はまだ十分に使える」「夜間外出する際は十分に注意してください」「あなたは十分な休憩を取る必要があります」などがあります。
十分は100%で十二分は120%
十二分と十分は満足しているという同じ意味を持つ言葉なのですが、十分より十二分の方が満足度が強い表現だと覚えておけば間違いありません。さらに言うならば、十分は100%なのに対して十二分は120%と覚えておくのが簡単でしょう。
「十二分に説明した」と「十分に説明した」の違い
十二分と十分の比較を「十二分に説明した」「十分に説明した」の例で解説します。
「十二分説明した」となると、十分よりもさらに説明したことを意味しているため、必要とされている事項だけではなく、分かっているであろう項目も念を入れて説明したという意味になっています。
一方、「十分に説明した」となると、必要とされている項目だけを全て説明したという意味になっています。
十二分と十分の英語表記の違い
十二分を英語にすると「completeness」「more than enough」となり、例えば上記の「私は食料を十二分に用意していた」を英語にすると「I had more than enough food」となります。
一方、十分を英語にすると「enough」「plenty of」「sufficient」となり、例えば上記の「あなたは十分な休憩を取る必要があります」を英語にすると「You need to take enough breaks」となります。
十二分の意味
十二分とは
十二分とは、十分すぎるほどたっぷりしていることを意味しています。
十二分の使い方
十二分を使った分かりやすい例としては、「持てる力を十二分に発揮して大会に挑もう」」「この先の道は狭くなっているので十二分に注意してください」「新型ウイルスの蔓延は十二分な対策をして乗り越えなければならない」などがあります。
十二分は十分よりもさらに満足しているという意味を持つ言葉です。十分を強めた表現と覚えておけば間違いありません。
十二分は基本的にはプラスのイメージで使う言葉なのですが、「そんな必要がなかった」というマイナスのイメージで使うこともあります。
表現方法は「十二分にある」「十二分に発揮する」「十二分に理解する」
十二分は「十二分にある」「十二分に発揮する」「十二分に理解する」「十二分に気を付ける」「十二分に注意する」などがよく使われる表現方法になります。
十二分の類語
十二分の類語・類義語としては、満足行くまですることを意味する「存分」、限度いっぱいであることを意味する「フル」、欠点が全くないことを意味する「完璧」、完全に備わっていることを意味する「全備」、欠点がなくて非の打ちどころが無いことを意味する「完全無欠」などがあります。
十二分の分の字を使った別の言葉としては、いい加減な気持ちで物事に取り組むことを意味する「遊び半分」、興味本位の気落ちがあって面白さに欠けることを意味する「面白半分」、不用な物を捨てることを意味する「処分」などがあります。
十分の意味
十分とは
十分とは、満ち足りていて不足が無いことを意味しています。その他にも、十等分すること、必要な分だけまたはそれ以上あることの意味も持っています。
十分の使い方
「優勝を狙えるメンバーが十分に揃いました」「今日のコンサートは十分に楽しみました」「十分な休息を取ったのでとても元気です」などの文中で使われている十分は、「満ち足りていて不足が無いこと」の意味で使われています。
一方、「キャンプするための十分な食料は確保しました」「貰ったピザは十分しました」「このテレビは十分に使えるがそろそろ新しい物を購入して良さそうだ」などの文中で使われている十分は、「十等分すること、必要な分だけまたはそれ以上あること」の意味で使われています。
十分は複数の意味を持つ言葉ですが、よく使われるのは、満ち足りていて不足が無いことと、必要な分だけまたはそれ以上あることの意味になります。
十分の語源
十分の語源は数字の十割から来ています。五分五分という言葉は半分の50%を意味しており、八分という言葉は80%を意味しています。それが十分となれば100%となり満タンということを意味しています。それが転じて、満ち足りて不足が無いことを十分というようになりました。
十分の対義語
十分の対義語・反対語としては、足りないところのあることを意味する「不十分」があります。
十分の類語
十分の類語・類義語としては、充実して完全であることを意味する「充分」、心が満ち足ることを意味する「満足」、程度などが程よいことを意味する「適当」、ふんだんにあることを意味する「豊富」、釣り合いが取れていることを意味する「相応」などがあります。
十分の十の字を使った別の言葉としては、得意な芸のことを意味する「十八番」(読み方:おはこ)、ある分野で優れている十人の人物のことを意味する「十傑」(読み方:じっけつ)、少しも欠けたところが無いことを意味する「十全」などがあります。
十二分の例文
この言葉がよく使われる場面としては、十分すぎるほどたっぷりしていることを表現したい時などが挙げられます。
十二分という言葉は十分をさらに強い表現したい時に使う言葉になります。簡単に言うと120%をイメージすると分かりやすいでしょう。また、日常生活とビジネスシーンの両方で使える言葉になります。
十分の例文
この言葉がよく使われる場面としては、満ち足りていて不足が無いことを表現したい時などが挙げられます。十等分すること、必要な分だけまたはそれ以上あることを表現したい時にも使います。
十分は日常生活とビジネスシーンの両方で使える言葉なので、とても馴染みがあるはずです。複数の意味を持っており、様々な使い方ができると覚えておきましょう。
例文2は満ち足りていて不足が無い事の意味で使っています。また、例文5は必要な分だけまたはそれ以上あることの意味で使われています。
十二分と十分はどちらも満足して不足がないという意味の言葉です。十二分と十分どちらを使うか迷った場合は、十分よりも更に満たされている状態の場合に、十二分を使うと覚えておいてください。