同じ「もっとも」という読み方の「尤も」と「最も」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「尤も」と「最も」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
「尤も」と「最も」の違い
「尤も」と「最も」の意味の違い
「尤も」と「最も」の違いを分かりやすく言うと、「尤も」とは道理に適っていること、「最も」とは他のものと比べて一番のことという違いです。
「尤も」と「最も」の使い方の違い
一つ目の「尤も」を使った分かりやすい例としては、「彼女は尤もらしい言い訳をして会社を休んだ」「彼が言っていることが一番尤もな意見です」「このコーヒーは美味しい、尤も苦手な人もいるようです」「あなたの言うことは尤もだと思います」などがあります。
二つ目の「最も」を使った分かりやすい例としては、「彼はこの学校で最も足が速い」「期末テストで最も順位が低かったので頑張らなければならない」「学生時代最も打ち込んだものは部活動です」「最も印象的なのは大会で優勝したことです」などがあります。
「尤も」と「最も」は同じ読み方
「尤も」と「最も」は同じ読み方を持つ言葉ですが、意味が全く異なっていると覚えておいてください。
「尤も」は、きっとそうなることだったり、当然のことだという道理に適っている時に使う言葉に対して、「最も」は他のものと比べて一番である時に使う言葉になっています。
「尤も」と「最も」の英語表記の違い
「尤も」を英語にすると「well」「right」「correct」となり、例えば上記の「あなたの言うことは尤もだと思います」を英語にすると「We think what you say is right」となります。
一方、「最も」を英語にすると「most」となり、例えば上記の「最も印象的なのは大会で優勝したことです」を英語にすると「The most impressive thing is that I won the tournament」となります。
「尤も」の意味
「尤も」とは
「尤も」とは、道理に適っていることを意味しています。その他にも、接続詞として前の事柄を肯定しつつ、例外あるいは一部相反する内容を補足するという意味も持っています。
「尤も」の使い方
「尤も」を使った分かりやすい例としては、「学校に遅刻した尤もな理由を言いました」「いずれもご尤もな意見です」「彼は尤もらしい顔して授業を受けている」「この激辛ラーメンは美味しい、尤も苦手な人もいるようです」などがあります。
その他にも、「尤も至極な理由があるので休暇を取ることにしました」「彼女が怒るのも尤もだ」「ご尤もな意見をありがとうございます」などがあります。
表現方法は「尤もな理由」「尤もらしい嘘」「尤もな意見」
「尤も」はきっとそうなることだったり、当然のことだという意味で使われるのが一般的です。よくある表現方法としては、「尤もな理由」「尤もらしい嘘」「尤もな意見」「尤もな話」「尤もな考え方」などがあります。
「尤も至極」の意味
また、当然であるということをさらに強調したい場合は、「尤も至極」という言葉を使います。例えば「尤も至極な理由」とすると、とても道理にかなっていて頷ける理由となります。
「尤も」の接続詞としての意味
接続詞として「尤も」を使う場合は、「ただし」という意味で使います。上記の例を参考に挙げると「この激辛ラーメンは美味しい、尤も苦手な人もいるようです」となります。
「尤も」は平仮名書きが一般的
「尤も」は常用漢字表には載っていない言葉なので、「もっとも」と平仮名書きするのが一般的です。特に、新聞や法令などでは常用漢字表に載っていない言葉使えないため、必ず平仮名で「もっとも」と表現するようになっています。
「尤も」の類語
「尤も」の類語・類義語としては、そうあるべきことを意味する「当たり前」、論じる必要のないほどはっきりしていることを意味する「無論」、実情によく当てはまっていることを意味する「妥当」、適当で正しいことを意味する「適正」などがあります。
「尤も」の尤の字を使った別の言葉としては、統計学で尤もらしさを意味する「尤度」(読み方:ゆうど)、同類の中で特に優れた物のことを意味する「尤物」(読み方:ゆうぶつ)、全く道理にかなって頷けることを意味する「尤も至極」などがあります。
「最も」の意味
「最も」とは
「最も」とは、他のものと比べて一番であることを意味しています。
「最も」の使い方
「最も」を使った分かりやすい例としては、「学生時代最も苦労したことは部活動で部長を務めたことです」「スポーツをする上で最も大事なことは諦めないことです」「学生時代最も熱心に取り組んだのはボランティアです」などがあります。
その他にも、「彼はこの前のテストで最も高い点数を取りました」「最も話題になっている映画を観に行ったがとても面白かった」「我が国は新型ウイルスの感染者数が最も低い国である」などがあります。
表現方法は「最も高い山」「最も速い動物」「最も人口の多い国」
「最も」は比較対象の中で一番という意味を持っています。これ以上ない素晴らしいものに対して「最も」を使います。例えば、「最も高い山」「最も速い動物」「最も人口の多い国」「最も大きな都市」「最も勝っているチーム」などです。
「最大」「最高」「最多」「最速」に言い換え可能
また、「最も」は「最大」「最高」「最多」「最速」などに言い換えることもできます。上記の例を参考にすると「最高の山」「最速の動物」「最大の人口の国」「最大の都市」「最多チーム」となり、言い換えても意味が同じ言葉になります。
「最も」の類語
「最も」の類語・類義語としては、最も優れていることを意味する「一番」、一番優れていることを意味する「一等」、程度が甚だしいことを意味する「極めて」、かなり程度であることを意味する「余程」、立派であることを意味する「大層」などがあります。
「最も」の最の字を使った別の言葉としては、最も強いことを意味する「最強」、地位や高さなどが一番高いことを意味する「最高」、ある雰囲気や感情が最も高まった状態のことを意味する「最高潮」、最も古いことを意味する「最古」などがあります。
「尤も」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、道理に適っていることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、接続詞として前の事柄を肯定しつつ、例外あるいは一部相反する内容を補足したい時にも使います。
例文1や例文4は、道理に適っていることの意味で「尤も」を使っています。例文2は、接続詞として前の事柄を肯定しつつ、例外あるいは一部相反する内容を補足したい時の「ただし」という意味で使われています。
「最も」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他のものと比べて一番であることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、他のものと比べて勝っている場合に「最も」という言葉を使います。日常生活でもビジネスシーンでも使うことがあるため、馴染みのある人も多いはずです。
「尤も」と「最も」どちらを使うか迷った場合は、意味が全く異なる言葉だと覚えておいてください。
きっとそうなることだったり、当然のことだという道理に適っている時に使うのが「尤も」、他のものと比べて一番である時に使うのが「最も」になります。