似た意味を持つ「金輪際」(読み方:こんりんざい)と「二度と」(読み方:にどと)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「金輪際」と「二度と」という言葉は、どちらも「~ない」という否定の言葉とセットで使われる共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
金輪際と二度との違い
金輪際と二度との意味の違い
金輪際と二度との違いを分かりやすく言うと、物事に対する強い否定や拒絶を表現しているか、同じことは起こらないだろうと予測しているかの違いです。
金輪際と二度との使い方の違い
一つ目の金輪際を使った分かりやすい例としては、「もう金輪際やめようと心に誓った」「もう娘には金輪際関わるな」「あいつと関わるのは金輪際やめておけ」「価値観が違うから金輪際会わないだろう」「この夏を超える青春は金輪際無理だろう」などがあります。
二つ目の二度とを使った分かりやすい例としては、「二度と間違えるなよ」「毒親がいる家には二度と帰りません」「二度と会えない気がするから今色々話をしよう」「迷惑なユーザーは二度とアカウントを作れない」「二度とこのような悲劇を繰り返してはならない」などがあります。
金輪際と二度との使い分け方
「金輪際」という言葉は、本来は仏教用語であり「物事の極限」や「物事の行きつく先」を意味している言葉です。仏教では、大地の最下層のことを「金輪」と呼んでいて、その金輪の際(きわ)のことを「金輪際」と表現していました。
現在では、金輪際という言葉は、否定の「~ない」などの言葉と一緒に使われます。「金輪際~ない」という使い方をすることで、「極限まで、とことん、絶対に、ありえない」という強い決意を伴う否定の意味を持ちます。
金輪際とは、マイナスの意味を伴う場合にのみ使われる言葉で「もう一生涯~したくない」などの、強い拒否の意味を持っている表現です。日常的にはあまり使われる言葉ではなく、単なる否定に留まらず、拒絶を意味しているので使う際にも注意が必要です。
対する「二度と」という言葉は、その言葉通り、今と同じ状況が二度は起こらないであろうということを想定した様子を表しています。プラスの意味でもマイナスの意味でも使える言葉であり、マイナスの意味でも金輪際よりは柔らかい表現になります。
プラスの意味で使われる場合は「こんなチャンスは二度とないだろう」「こんな幸せなことは二度とないだろう」というような使われ方をします。今が幸せすぎて、こんなに良いことはもう起こらないだろうという想定をした表現です。
逆に、マイナスの意味で使われる場合は「もう二度と会いたくない」「もう二度と行きたくない」などのように使われます。これは、一度目は許したけれど、同じ状況にもう一度巡り合うことは想定しない、二度目はない、という意味を表しています。
金輪際と比べると優しい表現ですが、マイナスの意味で使う「二度と~ない」という言葉も、否定を意味しているものです。使う際には、無意味に相手を傷つけたりしないような配慮が必要です。
金輪際の意味
金輪際とは
金輪際とは、強い決意をもった拒絶を意味しています。金輪際とは「断じて」や「決して絶対に」「一生涯」などの言葉で言い換えることが出来る言葉です。
金輪際の由来
上記で述べた通り、金輪際という言葉は、元々は仏教用語で「物事の極限」を意味していました。物事の極限まで到達してしまうほどの拒絶であると考えるとわかりやすいでしょう。
表現方法は「金輪際やめる」「金輪際会わない」「金輪際ない」
「金輪際やめる」「金輪際会わない」「金輪際ない」などが、金輪際を使った一般的な表現方法です。
金輪際の使い方
金輪際という言葉は、否定の表現と一緒に使われます。「金輪際~ない」の他にも「金輪際ごめんだ」「金輪際承知しない」などと使われることが多いです。いずれの表現も、強い否定と拒絶を含んだ言葉です。
強い決意を持った言葉ですので、あまり軽々しく口に出すものではありません。使用する際には、この言葉が強い拒絶を含むものだと理解した上で、十分に注意をして使用するようにします。
金輪際の類語
「金輪際」と同じような意味を持つ言葉としては、「永久に~ない」や「永遠に~ない」という表現、または「天地神明にかけて~ない」などという言葉が挙げられます。
二度との意味
二度ととは
二度ととは、同じことは起こらないだろうと予測していることを意味しています。二度とという言葉は、プラスの意味でもマイナスの意味でも使われる言葉です。
「二度とはない」はプラスの意味
プラスの意味で使う場合には、「こんなチャンス二度とはない」「こんな幸運は二度とない」など、思いがけない幸せについて、その貴重さを際立たせるために「二度と」という言葉を使います。
「もう二度と」はマイナスの意味
マイナスの意味で使う場合には、「もう二度と手伝わない」「もう二度と会いたくない」など、今回だけは許したけれど次はない、という意味を含んだ言葉となります。二度めは想定しないので、今回限りです、という意味で使われています。
「二度と~ない」という言葉は、金輪際よりは柔らかい表現ですが、マイナスの意味で使う際には、やはり注意が必要です。不用意に相手を傷付けるようなことのないように、配慮して使うようにしましょう。
二度との類語
「二度と」と同じような意味を持つ言葉としては、プラスの意味では、「またとない~」「千載一遇の~」などの表現が挙げられます。マイナスの意味では「次は~ない」「今後は~ない」などの表現が挙げられます。
金輪際の例文
この言葉がよく使われる場面としては、強い決意を持って拒絶を表現したい時などが挙げられます。マイナスの意味で使われる言葉であり、極限の否定を示すような表現です。
強い気持ちを持ってなにかを否定したり、拒絶したりする場面で使われる言葉であり、日常生活の中では、あまり使われる言葉ではありません。
どうしても自分の強い気持ちを伝えたい時に限り、この言葉を使うようにしましょう。使う際には、相手を無意味に傷付けたりしない配慮が必要です。そこまで強い意識を持っていない場合は「金輪際」ではなく「二度と」とした方が柔らかい表現になります。
二度との例文
この言葉がよく使われる場面としては、特別な出来事が起こり、同じようなことが再び起こることはないだろうと考えられる時が挙げられます。
「二度と」という言葉は否定を伴って使った場合でも、プラスの意味、マイナスの意味、両方で使うことが出来ます。
「二度とない」というのは、プラスの意味で使った場合は、「こんなに幸せなことは二度とない」などのように、幸福の価値を高める言葉として使うことが出来ます。
対して、マイナスの意味で使った場合には「もう二度と行きたくない」などのように、一度目は許したけれど、もう一度同じことをするのは考えられないという否定の意味を持って使われます。
時には、例文5のように、自分の中で何かの誓いを立てるような状況でも使うことが出来ます。「再び~しない」という形で、自分の中で禁止事項を設ける際にも使える言葉です。
しかし、マイナスの意味で使う場合には、否定を伴う表現なので金輪際と同じように不用意に相手を傷つけないような配慮が必要です。