【きな臭い】と【胡散くさい】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「きな臭い」(読み方:きなくさい)と「胡散臭い」(読み方:うさんくさい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「きな臭い」と「胡散臭い」という言葉は、どちらも怪しいと思うことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




きな臭いと胡散臭いの違い

きな臭いと胡散臭いの意味の違い

きな臭いと胡散臭いの違いを分かりやすく言うと、きな臭いとは危ない怪しさのこと、胡散臭いはどことなく怪しいことという違いです。

きな臭いと胡散臭いの使い方の違い

一つ目のきな臭いを使った分かりやすい例としては、「隣の部屋がなんだかきな臭い」「中東の国境がなんだかきな臭い」「彼女の話はいつもきな臭い」「彼はきな臭い噂が多いので親しくしない方がいいだろう」などがあります。

二つ目の胡散臭いを使った分かりやすい例としては、「彼はとても胡散臭い」「アットホームな職場という広告ほど胡散臭い言葉はない」「あのお店は胡散臭い噂が多い」「彼女の発言はいつも胡散臭い」などがあります。

きな臭いの方がより緊迫した怪しさ

きな臭いと胡散臭いは怪しいという同じ意味を持つ言葉ですが、きな臭いの方がより緊迫した怪しさを表しているのが違いになります。

きな臭いは怪しいという意味だけではなく、紙や布などの焦げる匂いや、戦争や騒乱などが起こりそうという危ない意味も持っています。そのため、きな臭いを怪しいという意味で使うと、事件が起こりそうな危ない怪しさとなるわけです。

胡散臭いはインチキ臭いニュアンス

もう一方の胡散臭いは、どことなく怪しいという意味なため、インチキ臭いというニュアンスで使われることが多いです。

例えば上記の「彼はとても胡散臭い」を「彼はとてもきな臭い」のように置き換えて比較してみます。「彼はとても胡散臭い」とした場合は、彼はインチキしてそうななんどことなく怪しい人というニュアンスになります。

もう一方の「彼はとてもきな臭い」とした場合は、彼は何か事件を起こしそうな怪しさがあるという危ないニュアンスが強くなっています。

きな臭いと胡散臭いの英語表記の違い

きな臭いも胡散臭いも英語にすると「suspicious」「funny」「suspect」となり、例えば上記の「彼女の話はいつもきな臭い」を英語にすると「Her story is always suspicious」となります。

きな臭いの意味

きな臭いとは

きな臭いとは、紙や布などの焦げる匂いがすることを意味しています。その他にも、戦争や騒乱などが起こりそうな気配がすることや、なんとなく怪しいとことの意味も持っています。

表現方法は「きな臭い人」「きな臭い会社」「きな臭い世の中」

「きな臭い人」「きな臭い会社」「きな臭い世の中」などが、きな臭いを使った一般的な表現方法です。

きな臭いの使い方

「きな臭いと思ったら服が焦げていた」「朝鮮半島できな臭い噂が流れる」「一階の部屋がどうもきな臭い」などの文中で使われているきな臭いは、「紙や布などの焦げる匂いがすることや戦争や騒乱などが起こりそうな気配がすること」の意味で使われています。

一方、「あの女のする話はいつもきな臭い」「あそこにあるお店はきな臭いので有名です」「彼が起こした不祥事についてきな臭い噂が飛び交っている」などの文中で使われているきな臭いは、「なんとなく怪しいこと」の意味で使われています。

きな臭いの由来

きな臭いの由来は、「衣臭い」(読み方:きぬくさい)から来ています。紙や布などの本来燃えるはずでないものが焦げてて臭い場合に使われる言葉でした。そのため、肉や魚などの本来燃やすものが焦げても、きな臭いとは使いません。もし使うのであれば「焦げ臭い」でしょう。

紙や布が焦げるような匂いが火薬の匂いと似ているため、戦争や騒乱が起こりそうな場合にも使われるようになりました。また、それが転じて、なんとなく怪しいという意味で使われています。

きな臭いは事件が起こりそうな場面で使う

きな臭いは、戦争や騒乱が起こりそうな気配が転じた意味の怪しいなため、ただ怪しい場合に使うのではなく、事件などが起こりそうな場合で使う言葉です。

きな臭いの類語

きな臭いの類語・類義語としては、物事が不明であることを怪しく思うことを意味する「訝しい」(読み方:いぶかしい)、普通ではなく怪しいことを意味する「疑わしい」、不気味な感じがして気味が悪いことを意味する「怪しい」などがあります。

きな臭いの臭いの字を使った別の言葉としては、陰気な感じがすることを意味する「陰気臭い」、物が焦げたような匂いのことを意味する「焦げ臭い」、いかにも面倒にに感じられることを意味する「面倒臭い」、思うようにならないでイライラすることを意味する「辛気臭い」などがあります。

胡散臭いの意味

胡散臭いとは

胡散臭いとは、どことなく怪しいことを意味しています。

胡散臭いの使い方

胡散臭いを使った分かりやすい例としては、「彼女の話はとても胡散臭い」「自己啓発セミナーは何とも胡散臭い言葉だ」「胡散臭い宗教に勧誘された」「水素水はとても胡散臭い」「胡散臭いビジネスには騙されないようにしたい」などがあります。

表現方法は「胡散臭い宗教」「胡散臭いお店」

胡散臭いはどことなく怪しい場合に使う言葉です。怪しかったりインチキ臭く感じた場合にこの言葉を使うと覚えておきましょう。また、人だけではなく、インチキ臭く感じた物や団体に対しても使える言葉です。

そのため、怪しいことをしている宗教や、怪しい商品を売ってるお店に対して、「胡散臭い宗教」や「胡散臭いお店」などはよく使うフレーズでしょう。

胡散臭いの類語

胡散臭いの類語・類義語としては、疑わしく思うことを意味する「不審」、本当かどうか疑わしいことを意味する「如何わしい」、欲望や利害などが絡んでいることを意味する「生臭い」などがあります。

胡散臭いの胡散の字を使った別の言葉としては、怪しげであることを意味する「胡散らしい」、正体が怪しく疑わしいことを意味する「胡乱」(読み方:うろん)、怪しい人間のことを意味する「胡乱者」などがあります。

きな臭いの例文

1.きな臭いと思ったら毛布が燃えていたので、慌てて火を消した。
2.最近中東がきな臭いので、注意した方が良さそうだ。
3.あそこの国境はとてもきな臭いので近づかない方がいいだろう。
4.彼はとてもきな臭い話が多いので、信用するべきではない。
5.あの女はきな臭い感じがするので、あまり近づかない方がいいはずだ。
6.あまりにも利益が良すぎる話だと思っていたが、今になってだいぶきな臭くなってきた。
7.職場の同僚が最近株を始めたと言ってきた。聞いていくうちに投資金が確実に2倍になる儲け話があるなどと言い、その辺りから話がきな臭くなってきた。
8.きな臭いような気がして周りを見渡してみたところ、モバイルバッテリーが発火しておりリュックが燃えていたので慌てて消火器で消火したが、リュックは使い物にならなくなってしまった。
9.彼の雰囲気が何となくきな臭い感じがしたため連絡を取るのをやめ距離を保つようにしていたところ、彼はマルチ商法で色々な人に迷惑をかけているとのことだったのであの判断は正解だったようだ。
10.あの両国の関係はとてもきな臭いものだったが、大統領が変わって歩み寄りの姿勢を見せたため、現在は互いに相手国の建国記念式典に出席するほど友好化している。

この言葉がよく使われる場面としては、紙や布などの焦げる匂いがすることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、戦争や騒乱などが起こりそうな気配がすることや、なんとなく怪しいことを表現したい時にも使います。

例文1は、紙や布などの焦げる匂いがすることの意味で使われています。また、例文2と例文3は、戦争や騒乱などが起こりそうな気配がすること、例文4と例文5は、なんとなく怪しいことの意味で使っています。

胡散臭いの例文

1.彼女はいつも話を盛るので、周りから胡散臭い女と言われている。
2.彼の経歴になんとなく胡散臭いものを感じてしまう。
3.無料で差し上げますというフレーズほど、胡散臭い言葉はない。
4.友達にセミナーを一緒に参加しようと誘われたが、あまりにも胡散臭いので断った。
5.あのお店はとても胡散臭いので行かない方がいいだろう。
6.最近、副業で儲かるというネット情報をよく見かけるが、簡単に儲かるなどと書かれてあるものが多いので胡散臭い情報をしっかり見極めて騙されないようにしたい。
7.胡散臭い話には必ず何かあるので、鵜呑みにしてはいけない。
8.コンサルタントが胡散臭い職業だと言われるのは、その能力を明確にできる数値や指標がないからだろう。
9.胡散臭いの「胡散」には、疑わしくて怪しいことを意味する「胡乱」が元になっているという説や、摂取すると変性意識状態になるといわれる香辛料が元になっているという説などがある。
10.明らかにあのキャンペーンは胡散臭いもので個人情報収集を目的にしたようなものであったが、商品に釣られて多くの人がクレジットカード情報まで送信してしまったようだ。

この言葉がよく使われる場面としては、どことなく怪しいことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文のように、どことなく怪しい場合はインチキ臭く感じた場合に使う言葉になります。そのため、マイナスなイメージでしか使われません。

きな臭いと胡散臭いは同じ怪しいという意味を持つ言葉ですが、使い方が少し違っています。事件が起こりそうな緊迫した怪しさを感じたら「きな臭い」を、インチキ臭いなど軽めの怪しさを感じたら「胡散臭い」を使うようにしましょう。

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