似た意味を持つ「諸々」(読み方:もろもろ)と「様々」(読み方:さまざま)と「色々」(読み方:いろいろ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「諸々」と「様々」と「色々」という言葉は、多くのものという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
諸々と様々と色々の違い
諸々と様々と色々の意味の違い
諸々と様々と色々の違いを分かりやすく言うと、諸々は目上の人に対して多くあることを表現する時に使い、様々は異なっているものが多くあることを表現する時に使い、色々は同じものでも多くあることを表現する時に使うという違いです。
諸々と様々と色々の語源の違い
諸々の諸という漢字には、多くの、いろいろなといった意味があります。
様々の様という漢字には、図柄や飾り、ありさまや形といった意味があります。
色々という言葉が平安時代に指し示していたものは、花や木の葉、織物、糸、紙、玉などでした。そのため、それぞれの色とりどりの様子を多く意味し、鎌倉時代でも「さまざまの色」という意味で使われていました。
室町時代後半になると、「色々」という言葉は今日における「様々」に近い意味合いになり、江戸時代には「いろんな」という言葉の形も出現するようになりました。
同じ花であっても、赤いバラがあれば白いバラも存在するように様々な種類の色をまとう花もあります。そこから、「色々」という言葉は同じ種類であっても多くのものが存在するという意味が含まれるようになりました。
諸々と様々と色々の使い分け方
「諸々」は文語表現や敬語で使い、「色々」は口語表現で使うのがこの二つの言葉の違いですが、種類が多く一つ一つが異なっている場合は「様々」を使い、同じものでも多くある場合は「色々」を使うようにしましょう。
また、「諸々」は名詞として、「様々」は名詞や形容動詞として、「色々」は名詞や形容動詞、副詞として使われることもこれら三つの言葉の明確な違いです。
諸々の意味
諸々とは
諸々とは、多くのもの、さまざまのものを意味しています。
諸々の読み方
諸々という言葉は「もろもろ」という読み方をしますが、「諸」の一字でも「もろもろ」と読むことが出来ます。
ただし、まだらになる様子や柔らかく崩れやすい様子を表す際に使う副詞としての「もろもろ」が他に存在するため、ひらがなのまま使う場合は注意が必要です。
表現方法は「諸々ありがとうございます」「諸々の事情により」
「諸々ありがとうございます」「諸々の事情により」「諸々の用事」「諸々ご迷惑を」などが、諸々を使った一般的な表現方法です。
諸々の意味を持つ四字熟語
諸々の意味を含んだ言葉として、「諸事万端」「諸説紛々」があります。
一つ目の「諸事万端」(読み方:しょじばんたん)とは、様々な事柄全てを意味する四字熟語です。万端には、その事柄の全てという意味があります。
二つ目の「諸説紛々」(読み方:しょせつふんぷん)とは、様々な意見や説が入り乱れていてまとまらないことや、根拠のない説が入り乱れていて正しいことがわからないことを意味する四字熟語です。「諸説紛紛」という表記もされます。
諸々の類語
諸々の類語・類義語としては、いろいろの種類を意味する「諸種」、それぞれに違った様子であることを意味する「各様」(読み方:かくよう)、いろいろやさまざまを意味する「各般」(読み方:かくはん)、いろいろの事柄を意味する「諸般」などがあります。
諸々の諸の字を使った別の言葉としては、対等かそれ以下の多数の相手に対して親しみを込めていう皆さんを意味する「諸君」、いろいろな党派や分派を意味する「諸派」、いろいろの事柄を意味する「諸般」、多くの国々を意味する「諸国」などがあります。
様々の意味
様々とは
様々とは、物事がそれぞれ違っていることやその様子を意味しています。
様々の読み方
様々は本来「さまざま」と読む言葉ですが、音読みにして「ようよう」と読むこともでき、その場合でも同じ「いろいろであること」を意味する言葉になります。音読みは古典文学での読み方であるため、日常生活では「さまざま」と読むのが一般的で好ましいでしょう。
また、様々という言葉は、漢字表記をする場合とひらがな表記をする場合があります。公用文における漢字使用などに関しては文科省によって用字用語例などとしてまとめられ、「さまざま」はひらがなで書くよう記載されています。
一般的に「さまざま」とひらがな表記をする場合には、漢字が少ない文章のほうが優しい印象を与えることもあるというだけで意味に変わりはないため、読む相手の年齢などを考慮して使い分けるだけで問題ありません。
表現方法は「様々な方」「様々なこと」「様々な人」
「様々な方」「様々なこと」「様々な人」などが、様々を使った一般的な表現方法です。
様々の類語
様々の類語・類義語としては、意見などがそれぞれ異なっていることを意味する「区々」(読み方:まちまち)、人や物によってそれぞれに違っていることを意味する「取り取り」、いろいろと種類の違ったものがあることを意味する「多様」などがあります。
様々の様の字を使った別の言葉としては、横向きや道理に合わないことを意味する「横様」(読み方:よこさま)、物事の上下や左右などの関係が本来の状態とは反対になっていることを意味する「逆様」(読み方:さかさま)などがあります。
色々の意味
色々とは
色々とは、異なる事物や状態が数多いことやその様子を意味しています。その他にも、副詞として使うことで、あれこれという意味も持ちます。
色々の読み方
色々は「いろいろ」とひらがな表記をすることもありますが、公用文ではひらがな表記をするよう取り決められており、一般的には優しい印象を与えるためにひらがなが使われているため、言葉の意味や使い方に違いはありません。
表現方法は「色々な意味で」「色々な人」「色々なこと」
「色々な意味で」「色々な人」「色々なこと」などが、色々を使った一般的な表現方法です。
色々の意味を持つ四字熟語
色々の意味を含んだ言葉として、「種々雑多」「参差錯落」があります。
一つ目の「種々雑多」(読み方:しゅじゅざった)とは、種類や大きさなど色々なものが入り混じってたくさんあることや、多くのものが関連もなく雑然とあることを意味する四字熟語です。「種々」を「しゅしゅ」と読むのは誤りです。
二つ目の「参差錯落」(読み方:しんしさくらく)とは、色々と不ぞろいのものが入り混じっている様子を表す四字熟語です。参差とは長短高低が入り混じっていて不揃いな様子を意味する言葉で、桜区はたくさんのものが入り混じる様子を表す言葉です。
色々の対義語
色々の対義語・反対語としては、個々の事情や個性を考慮に入れないで全てを同じようにそろえることを意味する「画一」(読み方:かくいつ)があります。
色々の類語
色々の類語・類義語としては、いろいろなものが入り混じっていることを意味する「雑多」、変化や種類が多くにぎやかなことを意味する「多彩」、いくつかの方面にわたる様子を意味する「多角的」などがあります。
色々の色の字を使った別の言葉としては、混ぜ合わせて種々の色を作るもとになる色を意味する「原色」、2つ以上の色を組み合わせて使うことを意味する「配色」、色を出すことを意味する「発色」、他より目立ち優れていることを意味する「出色」などがあります。
諸々の例文
この言葉がよく使われる場面としては、敬語表現で様々なことを意味する時などが挙げられます。
例文1の「諸々承知いたしました」は、ビジネス間などで使われる敬語表現です。届いたメールにいくつかの事項があり、それを全て確認したことを表します。「諸々ありがとうございます」「諸々の件、かしこまりました」といった返し方もすることができます。
例文3の「諸々の事情により」という表現は、「諸般の事情により」「諸般の事情を鑑み」といった表現に変えることもできます。
様々の例文
この言葉がよく使われる場面としては、書き言葉で多くのものが存在することを意味する時などが挙げられます。
話し言葉として「様々」を使うことは間違いではないですが、固い印象を与えてしまうため、書き言葉としてやスピーチ、プレゼン、答弁といった畏まった場面で使うのが好ましいでしょう。
色々の例文
この言葉がよく使われる場面としては、話し言葉で多く存在することを意味する時などが挙げられます。
例文2の「色々ある」という表現は、「色々と事情がある」「何か問題を抱えている」ということを意味する表現です。
例文3は相手にお礼を言う際に使う言葉ですが、ビジネス上だけでなく目上の人に使う敬語であれば、話し言葉である「色々」をメールなどで使うのは好ましくないため、「諸々」や「様々」といった言葉を使うようにしましょう。
諸々と様々と色々どれを使うか迷った場合は、敬語表現として多く存在することを表す場合には「諸々」を、異なる種類のものが多く存在することを表す場合は「様々」を、同じ種類でも多く存在することを表す場合は「色々」を使うと覚えておけば間違いありません。