【真摯】と【真剣】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「真摯」(読み方:しんし)と「真剣」(読み方:しんけん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「真摯」と「真剣」という言葉は、どちらも真面目に物事に取り組むという意味を持つ共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




真摯と真剣の違い

真摯と真剣の意味の違い

真摯と真剣の違いを分かりやすく言うと、真面目で熱心であることを表す言葉か、いい加減でなく本気を出すことを表す言葉かの違いです。

また、真摯というのは、その人の性質を表す言葉で「継続的」なものであるのに対し、真剣というのは、何かの出来事があった時に「瞬間的」に湧き上がる態度や状態であると言うことも出来ます。

真摯と真剣の使い分け方

真摯とは、真面目で熱心であり、ひたむきな様子を示す言葉です。この言葉の使われ方としては「真摯に対応します」「真摯に取り組みます」などのように使用されます。なにか失敗をした際などには「真摯に受け止めます」という風にも使用される言葉です。

真摯というのは、その人自身の持っている性質を意味している言葉です。真摯に対応するのも、真摯に取り組むのも、自分の中に真面目さや熱心な気持ちを持っていることが前提になっています。

反省を意味する「真摯に受け止めます」というような言葉を使う際にも、自分の中の誠実な心でしっかりと受け止めますというような意味になり、元からその人の性質が真面目であることを意味しています。

一方、真剣という言葉は、遊びではなく、本気で物事に取り組む様子を意味する言葉です。この言葉は、自分を本気にする、いい加減な態度をやめて真面目に対応するようにする、という意味を持ちます。

真剣という言葉を使う時、その人が通常の生活時に真面目な性格でなくても問題はありません。何かの物事に対応したり、その物事を行っている間だけ、いい加減な態度をやめれば良いのです。

言葉を変えれば「本気を出す」というような表現に近いのが真剣です。真摯という言葉が、継続的に持たれるべき性質であるのに対し、真剣というのは、なにかの出来事が起こった際に、瞬間的に湧き上がらせる感覚であると言えます。

真剣という言葉は、本来、本物の刀同士で戦う勝負について「真剣勝負」と表現したことが由来となっている言葉です。刀同士で戦っているため、真面目に本気で取り組まなくては命の危険がありました。

このように、勝負をしている間だけ気合を入れて本気を出すのが「真剣」という言葉の意味であると言えます。

「真摯」と「真剣」の使い方で迷った場合には、継続的な感覚のことを表現したいのか、単発的な感覚のことを表現したいのかを考えてみると分かりやすいでしょう。

真摯の意味

真摯とは

真摯とは、真面目で熱心なことや、ひたむきなことを意味しています。何かの物事に懸命に取り組むことや、その様子を示す言葉であると言うことも出来ます。真摯とは、人間の物事や他者に対する態度を表す言葉です。

真摯の由来

真摯という言葉は、本来は「深く真面目に考える人」という意味を持つものでした。そこから転じて、真面目な様子やひたむきな姿勢を指して「真摯」と表現するようになったものです。

「真摯に取り組む」の意味

真摯という言葉は、良い出来事に対しても、悪い出来事に対しても使える言葉です。例えば、ビジネスシーンなどで「真摯に取り組みます」「真摯に対応いたします」という表現を使った場合には、真面目にしっかり取り組みますという良い意味になります。

「真摯に受け止める」の意味

しかし、何か問題が起こった場合や失敗をしてしまった時などに「真摯に受け止めます」「より一層真摯に対応してまいります」などと使った場合、これは深い反省を意味していて、マイナスな物事に対応した表現となります。

この「真摯に受け止める」という表現は、悪い事が起こった時にしか使用しないものです。例えば、良い行いをして褒められた時などに、賞賛の言葉を「真摯に受け止める」と使うのは間違っています。深く受け止めるのは反省の意味の時だけです。

表現方法は「真摯な態度」「真摯な姿勢」「真摯に向き合う」

「真摯に取り組む」「真摯に受け止める」「真摯に対応する」のほかには、「真摯な態度」「真摯な姿勢」「真摯に向き合う」などが、真摯を使った一般的な言い回しです。

真摯の使い方

真摯を使った分かりやすい例としては、「この会社には真摯な態度で仕事に臨む社員が多い」「残念ながら真摯な姿勢を見せるだけでは出世することはできない」「別れが決まった人といかに真摯に向き合うかでその人の人柄がわかる」などがあります。

真摯の語源

真摯の「真」という字は「本当の」「自然体の」「そのままの」という意味があります。これは、嘘などがなく、本当の姿であることを意味しています。

真摯の「摯」という字は「真面目である様子」「手厚い様子」という意味を持っている漢字です。真摯の「摯」という字を使った単語としては、心がこもり真面目な様子を意味する「摯実」などがあります。

真摯の「摯」という字は、日常生活の中では、ほとんど「真摯」という言葉にしか使われない漢字です。攻撃の「撃」という字とよく似ているので、間違えないように注意しましょう。「摯」と「撃」では漢字の意味が全く違います。

真摯の類語

真摯と同じような意味を持つ類語・類義語としては、私利私欲を交えないで、人や物事に対することを意味する「誠実」や、真心を込めて人や物事に対することを意味する「忠実」などがあります。

真剣の意味

真剣とは

真剣とは、木刀や竹刀ではない本物の刀のこと、または人間に対して使う時には、いい加減ではなく本気な様子を意味しています。日常生活において、真剣という言葉を使う際には、人間の性質について表現する用法で使われることの多いものです。

真剣というのは、人間の性質について表現する際には「真実であること」「嘘や偽りがないこと」「本気で真面目であること」などを意味する言葉です。

真剣の語源は真剣勝負

しかし、本来は「本物の刀」という意味しか持っていない言葉でした。

真剣の「真」という字は、前述した通り「本物の」という意味の言葉です。真剣の「剣」という字は、字のまま、刀のことを意味しています。刀の中でも、特に刀身の両側が刃になっている両刃のものを剣と呼びます。

この言葉が人間に対して使われるようになったのは、本物の刀を使った勝負を「真剣勝負」と呼ぶようになってからです。この真剣勝負というのは、木刀や竹刀を使った勝負のことではなく、本物の刀である真剣を使った勝負のことです。

真剣勝負というのは、真面目に取り組まなければ、命に関わるような勝負であることが想像できます。お互いが本物の刀を持っている状態であることから、かなり緊張感のある勝負であることが想像できます。

しかし、時代が移り変わっていくと、刀を所持することは一般的なことではなくなっていき、真剣勝負というものは行われなくなっていきます。そこで、真剣勝負の「真剣」の部分だけが言葉として残るようになりました。

現在では、真剣という言葉は、本物の刀と刀で勝負する時のように、遊び半分ではなく、真面目に物事に取り組む様子を意味する言葉として定着しています。

真剣という言葉がどういった意味であったか混乱した時は、真剣というのが本物の刀を示す言葉であったことを思い出すようにすると分かりやすいでしょう。

表現方法は「真剣にやる」「真剣に考える」「真剣に取り組む」

「真剣にやる」「真剣に考える」「真剣に取り組む」「真剣になる」などが、真剣を使った一般的な言い回しです。

真剣の使い方

真剣を使った分かりやすい例としては、「遊びも仕事も真剣にやるスタイルです」「どの業種で働くのかは真剣に考える必要がある」「後輩が真剣に取り組む姿を見て安心した」「うちの息子はいつも真剣な眼差しで折り紙をやっている」などがあります。

真剣の対義語

真剣の対義語・反対語としては、不真面目であることを意味する「遊び」があります。

真剣の類語

真剣の類語・類義語としては、物事に深く打ち込むことを意味する「熱心」、命がけで頑張ることを意味する「一生懸命」、一途に物事に取り組むことを意味する「ひたむき」、嘘やいい加減さがなく物事に取り組むことを意味する「真面目」などがあります。

真剣の「剣」という字を使った単語としては、危険な感じがする様子や不安を覚える様子を意味する「剣呑」、木で刀剣の形を作ったものを意味する「木剣」などがあります。

真摯の例文

1.彼はいつも真摯な態度で研究に向き合っていると思います。
2.真摯な対応を心掛けることで、相手に伝わる気持ちもあります。
3.この度の失敗を真摯に受け止め、再発防止に努めて参ります。
4.今回の昇給は、彼女の仕事への真摯な姿勢が評価されたのだろう。
5.いつでもお客様に対して真摯な対応をすることが、私のポリシーです。
6.先日行った不動産屋の人はこちらのどんな質問にも丁寧に真摯に答えてくれて掘り出し物ともいえるいいアパートを紹介してくれた。
7.私の出来ることは目の前の仕事に真摯に取り組んで、評価を得ていく事を積み重ねるしかないと思うんだよね。
8.このトラブルについては真摯に対応するつもりだが、万が一のことも考えて経験豊富な彼にも加わってもらうことにしました。
9.弊社では迅速な配送ができていない現状について真摯に受け止め、今後の改善につなげてまいります。
10.他の社員がやっつけで仕事をしているなかで、彼だけが真摯に取り組んでいて、私は胸を打たれました。

この言葉がよく使われる場面としては、仕事などに対して真面目にしっかりと取り組む姿勢を見せたい時や、深く反省していることを示したい時などが挙げられます。真摯という言葉は、プラスの意味でもマイナスの意味でも使える言葉です。

真摯という言葉は、真面目でひたむきな様子を表す言葉です。ビジネスシーンなどで「真摯に対応する」などという言葉で良く使用されるものです。自分よりも立場が上の人であったり、お客様を相手にした時に使われることの多い言葉です。

真摯とは、誠実で忠実であるという意味を持つ言葉です。自分自身の誠意を見せたい時や、責任を持ってやり抜くことを伝えたい時などに使う言葉であると覚えておくようにしましょう。

真剣の例文

1.私は真剣に言ったつもりだったのだが、あまり伝わらなかったようだ。
2.彼女の真剣な眼差しに、僕は心を奪われた。
3.こんなに真剣に勉強をするのは、大学受験以来かもしれない。
4.これは真剣勝負なんだから、ズルをするのは許さないよ。
5.彼の口調があまりにも真剣だったから、私たちの間に緊張が走った。
6.あいつ彼氏いるのかなと仲良しの女子のことをさらっと聞かれたが、いつもと違う真剣な表情だったのでこれは本気なんだなと悟った。
7.息子はいつになく真剣な眼差しで針の穴に糸を通そうとしていて、その姿がおかしくて仕方ありませんでした。
8.このまま今の職場で働いていても給料が上る見込みはないので、転職について真剣に考えなくてはならないな。
9.私は今まで英語の勉強を真剣に取り組んだことがなかったが、いよいよ仕事で使うことになりそうだから、本腰を入れなければならない。
10.これはあくまでレクリエーションなので、あまり真剣にならずに気楽に行きましょう。

この言葉がよく使われる場面としては、遊び半分ではなく真面目に物事に取り組む様子などを表したい時などが挙げられます。

真剣というのは、本物の刀という意味を持つ言葉であり、本物の刀を使っている時のような真面目な態度のことを示す言葉であると言えます。

真剣勝負という言葉は、今でも使われるものです。これは、本物の刀同士の勝負に限らず、本気を出して勝負をすること全般について使われるものです。いい加減ではなく、本気で相手と勝負をする際には「真剣」という言葉を使うようにしましょう。

言葉の使い方の例文
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