似た意味を持つ「不安」(読み方:ふあん)と「心配」(読み方:しんぱい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「不安」と「心配」という言葉は、どちらも「気がかりであるさま」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
不安と心配の違い
「不安」と「心配」の意味の違い
不安と心配の違いを分かりやすく言うと、不安とは気がかりの対象が漠然としていることを表し、心配とは気がかりの対象が明瞭であることを表すという違いです。
「不安」と「心配」の使い方の違い
一つ目の不安を使った分かりやすい例としては、「生活の中で不安に思うことはありませんか」「不安で押しつぶされそうな時がある」「不安で仕方ない時の対処法を紹介します」「銀行破綻が相次ぎ金融不安が広がっています」などがあります。
二つ目の心配を使った分かりやすい例としては、「暮らしの身近な心配事の相談に乗ります」「心配性を治す方法はありますか」「英語のテストがとても心配です」「病院で心配いらない血便だと言われました」などがあります。
「不安」と「心配」の使い分け方
不安と心配という言葉は、どちらも何か悪いことが起こらないかと心が落ち着かないことを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
不安とは、気がかりで落ち着かないことを意味し、対象がはっきりとしない何かに脅かされてひるんでいる感情を表します。漠然と悪いことが起こるのではないかと気になることを「不安」と表現します。
心配とは、もともと「あれこれ気を配ること」を意味しましたが、今では「これからどうなるか何か起こりはしないかなどと気にすること」の意味で用いられることが多い言葉です。気がかりである対象が、比較的はっきりしていることに対して使用されています。
つまり、不安とは気がかりである対象が漠然としていることに使用され、心配とは気がかりである対象が明瞭である場合に使用される言葉です。また、心配という言葉には「気を配ること、配慮」の意味もあることも、二つの言葉の違いになります。
「不安」と「心配」の英語表記の違い
不安も心配も英語にすると「anxiety」「worry」「fear」となり、例えば上記の「不安に思う」を英語にすると「feel anxious」となります。
不安の意味
「不安」とは
不安とは、気がかりで落ち着かないこと、心配なことを意味しています。
表現方法は「急に不安感に襲われる」「不安がある」「不安でたまらない」
「急に不安感に襲われる」「不安がある」「不安でたまらない」などが、「不安」を使った一般的な言い回しです。
「不安」の使い方
不安を使った分かりやすい例としては、「不安で眠れない夜があります」「自分の英語力に不安があります」「不安の種は何なのだろう」「新人看護師の看護計画に不安を覚える」「取引先の信用不安の兆候をつかむ」などがあります。
その他にも、「呼吸法で不安を解消しましょう」「不安を改善する漢方薬はありますか」「不安障害の診断テストを受けました」「不安神経症の治療法について説明します」「母は不安障害でいつもソワソワしています」などがあります。
不安の「安」は、安らかにすることや心を落ち着けることを表す漢字です。打ち消しの助字である「不」と結び付き、不安とは、安心できないことや、気がかりで落ち着かないことを意味します。心理学では、「不安」は明確な対象をもたない怖れの感情と定義されています。
「金融不安」の意味
不安を用いた日本語には「金融不安」があります。金融不安とは、景気の後退や金融機関の経営悪化などで、金融市場や金融機関に対する信用度が低下して、経済の先行きに不安を感じることを意味します。「信用不安」とも言い、金融機関の破綻や株価の下落を引き起こすことがあります。
「不安」の対義語
不安の対義語・反対語としては、気にかかることがなく心が落ち着いていることを意味する「安心」などがあります。
「不安」の類語
不安の類語・類義語としては、どうなるかと不安で心から離れないことを意味する「気がかり」、気にかかって不安に思うことを意味する「懸念」、心配することや思いわずらうことを意味する「憂慮」などがあります。
心配の意味
「心配」とは
心配とは、物事の先行きなどを気にして心を悩ますこと、気がかりを意味しています。
その他にも「気にかけて面倒をみること、世話をすること」の意味も持っています。
表現方法は「心配をする」「心配をかける」「心配になる」
「心配をする」「心配をかける」「心配になる」などが、「心配」を使った一般的な言い回しです。
「心配」の使い方
「行き過ぎた英語教育を心配する」「心配事の9割は起こらないとは本当ですか」「私のお父さんは心配性です」「女性は心配いらない血尿の場合もあります」などの文中で使われている心配は、「物事の先行きなどで心を悩ますこと」の意味で使われています。
一方、「近所の高齢者の心配をする」「食事の心配は母親の仕事でしょうか」「親は子供の心配をし過ぎてはいけません」などの文中で使われている心配は、「気にかけて面倒をみること」の意味で使われています。
心配とは、上記の例文にあるように二つの意味がありますが、多くは「気にかけて面倒をみること、世話をすること」の意味で用いられています。心配の「心」は精神を表し、「配」は注意を行き届かせることを表す漢字です。
「「心配性」の意味
心配を用いた日本語には「心配性」があります。心配性とは、些細なことまで気にかけて心配する性質を意味し、「父は心配性です」「心配性な男」などと表現します。誤って「心配症」と書かないように注意しましょう。
「心配」の対義語
心配の対義語・反対語としては、気がかりなことが除かれ安心することを意味する「安堵」などがあります。
「心配」の類語
心配の類語・類義語としては、予測される悪い事態に対する心配や気遣いを意味する「憂い」、あれこれと気を使って精神的に疲れることを意味する「気苦労」、心配して深く思い苦しむことを意味する「心痛」などがあります。
不安の例文
この言葉がよく使われる場面としては、安心できないこと、不明瞭な恐ろしいものに脅かされているさまを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、不安の慣用的な言い回しには「不安感に襲われる」「不安感がある」「不安になる」「不安でたまらない」などがあります。例文4の「全般性不安障害」とは、「不安神経症」とも言い、日常生活においける出来事について過剰な不安が長期間続く疾患のことです。
心配の例文
この言葉がよく使われる場面としては、何か起こりはしないかなどと気にすること、心を配ることや世話をすることを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4にある「心配」は、何か起こりはしないかなどと気にすることの意味で用いられています。一方、例文5の「心配」は、心を配ることや世話をすることを意味しています。
不安と心配という言葉は、どちらも「気がかりであること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、気がかりである対象が漠然としている時は「不安」を、気がかりである対象が明瞭である時は「心配」を使うようにしましょう。