似た意味を持つ「茶番」(読み方:ちゃばん)と「茶番劇」(読み方:ちゃばんげき)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「茶番」と「茶番劇」という言葉は、どちらも「ばかげた振る舞い」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
茶番と茶番劇の違い
茶番と茶番劇の意味の違い
茶番と茶番劇の違いを分かりやすく言うと、茶番は馬鹿げた振る舞いのほかにお茶を用意する人も表し、茶番劇は馬鹿げた振る舞いのみを表すという違いです。
茶番と茶番劇の使い方の違い
一つ目の茶番を使った分かりやすい例としては、「それはとんだ茶番だった」「国会答弁は茶番に過ぎなかった」「君の茶番に付き合っている暇はないよ」「政治家たちの茶番には飽き飽きだ」などがあります。
二つ目の茶番劇を使った分かりやすい例としては、「国会では与野党の茶番劇が繰り広げられている」が「茶番劇の動画作成にハマっている」「嘘をごまかそうと猿芝居をする彼に茶番劇アワードをあげたい」などがあります。
茶番と茶番劇という言葉は、ばかげた振る舞いという意味を持ち、マイナスイメージで使われる言葉です。ただし、茶番には「お茶を用意する人」の意味もあります。ばかげた振る舞いの意味では、どちらの言葉を使っても構いませんが、お茶を用意する人の意味では茶番しか使えません。
茶番と茶番劇の英語表記の違い
茶番も茶番劇も英語にすると「farce」「charade」「absurd」となり、例えば上記の「とんだ茶番」を英語にすると「an awful farce」となります。ただし、茶番の「お茶を用意する人」の意味では「person who serves tea」となります。
茶番の意味
茶番とは
茶番とは、底の見えすいた下手な芝居、ばかげた振る舞いを意味しています。
その他にも、客のために茶の用意や給仕をする者、こっけいな即興寸劇の意味も持っています。
表現方法は「とんだ茶番」「茶番に付き合う」「茶番を演じる」
「とんだ茶番」「茶番に付き合う」「茶番を演じる」などが、茶番を使った一般的な言い回しです。
茶番の使い方
「その一件は馬鹿げた茶番に過ぎなかった」「彼の茶番を見ていられない」「とんだ茶番に付き合わされた」「もう茶番は終わりだ」の文中で使われている茶番は、「見えすいた下手な芝居、ばかげた振る舞い」の意味で使われています。
一方、「今日の茶番は誰ですか」「私が茶番する日だ」などの文中で使われている茶番は「客のために茶の用意や給仕をする者」の意味で使われ、「街頭で茶番を演じ小銭を稼ぐ」「学芸会で茶番を演じる」などの文中で使われている茶番は「こっけいな即興寸劇」の意味で使われています。
茶番の由来
茶番という言葉は、もともと「お茶当番」のことでしたが、江戸時代に歌舞伎の楽屋でお茶の用意をしていた下っ端の役者たちが、うちわで楽しんでいた即興芝居を指すようになりました。そこから見えすいた芝居やばかばかしいことの意味で、茶番という言葉が使われるようになりました。
「口上茶番」「立茶番」の意味
茶番という言葉を用いた日本語には「口上茶番」と「立茶番」があります。「口上茶番」は座ったままでセリフだけで演じるこっけいな即興寸劇であり、これに対し「立茶番」は衣装をつけ、化粧をして芝居をもじったこっけいなしぐさをする素人演芸を意味します。
茶番の類語
茶番の類語・類義語としては、思わず笑いだすような滑稽な出来事を意味する「喜劇」、素人が宴席などで即興に演じたこっけいな寸劇を意味する「俄狂言」(読み方:ちゃばんげき)、始める前から結果が分かっている勝負を意味する「出来レース」などがります。
茶番の茶の字を使った別の言葉としては、やや堅い葉から作る緑茶を意味する「番茶」、他人の話に割り込んで言うひやかしや冗談を意味する「茶茶」、無邪気な子供っぽいいたずらをすることを意味する「茶目」などがあります。
茶番劇の意味
茶番劇とは
茶番劇とは、底の見えすいた下手な芝居、ばかげた振る舞いを意味しています。
表現方法は「とんだ茶番劇」「壮大な茶番劇」「大いなる茶番劇」
「とんだ茶番劇」「壮大な茶番劇」「大いなる茶番劇」などが、茶番劇を使った一般的な言い回しです。
茶番劇の使い方
茶番劇を使った分かりやすい例としては、「国会では相変わらずの茶番劇が繰り広げられている」「質疑応答があらかじめ決められた茶番劇のようだ」「とんだ茶番劇に呆れてものも言えない」などがあります。
その他にも、「就活は企業と学生が演じる茶番劇だと揶揄されている」「役員会議の茶番劇に飽き飽きだ」「2時間半の長い茶番劇と言われている映画だ」「この茶番劇の背景には何があるのだろう」などがあります。
茶番劇の由来
茶番劇とは、前述の茶番から派生した言葉であり、底の見えすいた、ふざけたふるまいや、馬鹿馬鹿しいできごとを意味します。ただし、茶番にある「お茶当番」や「即興寸劇」の意味はありません。
茶番劇の名言
茶番劇を用いた名言に「幕を引け、茶番劇は終わりだ」があります。これはルネサンス期の人文学者ラブレーが臨終の際に口にしたとされる言葉です。人生を茶番劇だと皮肉っているもので、人間の生涯は結局一幕の劇にすぎないことを意味します。茶番劇を喜劇と訳す場合もあります。
茶番劇の類語
茶番劇の類語・類義語としては、、へたな芝居をあざける語を意味する「猿芝居」、みっともない事柄を意味する「噴飯物」、もの笑いの種となるものを意味する「お笑い種」(読み方:おわらいぐさ)などがあります。
茶番劇の劇の字を使った別の言葉としては、人生や社会の痛ましい出来事を意味する「悲劇」、殺人などのむごたらしい出来事を意味する「惨劇」、緊張や感動をおぼえるさまを意味する「劇的」などがあります。
茶番の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ばかげた振る舞い、客のために茶の用意や給仕をする者、こっけいな即興寸劇を表現したい時などが挙げられます。
茶番には複数の意味がありますが、例文2から例文5のように、ばかばかしい行為や物事の意味で使われることが多い言葉です。例文5では、思わしくない試合展開を「茶番」と表し、その試合展開を止めて切り替えることを「茶番は終わりだ」と表現しています。
茶番劇の例文
この言葉がよく使われる場面としては、底の見えすいた下手な芝居、ばかげた振る舞いを表現したい時などが挙げられます。
例文1で使われている茶番劇は、下手な芝居の意味で使われています。似た意味の言葉に「猿芝居」や「三文芝居」があります。例文2にある「茶番劇場」とは、茶番を演じる場所の意味で使われています。
茶番と茶番劇という言葉は、どちらも底の見えすいた下手な芝居や、ばかげた振る舞いを表す言葉です。さらに茶番には、お茶を用意する人や、滑稽な即興寸劇の意味もあることを覚えておきましょう。