似た意味を持つ「効能」(読み方:こうのう)と「効果」(読み方:こうか)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「効能」と「効果」という言葉は、どちらも物事の効き目について表現しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
効能と効果の違い
効能と効果の意味の違い
効能と効果の違いを分かりやすく言うと、良い結果をもたらすための働きのことか、実際に良い結果に繋がった事実のことかの違いです。
効能という言葉を使った場合には、その物が実際に効くかどうかはわかりません。しかし、効果という言葉を使った場合には、それは良い結果を得たということになります。
「効能」というのは、その物事の持っている成分や働きかけのことを意味しています。対する「効果」というのは、実際に効いた結果が良い方向に進んだことを意味しています。成分や働きではなく、結果に重点を置いている言葉が「効果」です。
「効能」と「効果」の両方の言葉に入っている「効」という字は、効き目がある、力を発揮する、力を尽くすという意味を持つ漢字です。この言葉に働きかけるという意味を持つ「能」をつけると「効能」になり、結果の「果」をつけると「効果」になります。
効能と効果の使い分け方
効能という言葉は、ほとんどが薬や温泉の成分などについて表現する際に使用される言葉です。医薬品のように、服用したり塗布したりすることで、症状が緩和したりすることを「効能があった」と表現します。
一方の効果という言葉は、効能よりも多くの場面で使用される言葉であると言えます。効果という言葉は、医薬品などに対してだけではなく、好ましい結果に繋がる物事全般について表現することの出来る言葉です。
例えば、映画や舞台で、作品に臨場感を持たせるために効果音や照明効果を使ったりします。また、何かの商品を売りたい場合にも、大きく宣伝をすることで「宣伝効果」を得られる場合などがあります。どちらも良い結果を得るという意味を持つ言葉です。
このように、効能と効果という言葉は、どちらも基本的に良い意味で使われる言葉です。良い作用を導き出すための「能力」を重視している場合には「効能」、「結果」を重視している場合には「効果」と使うのだと覚えておくようにしましょう。
効能の意味
効能とは
効能とは、良い結果をもたらすための働きや効き目のことを意味しています。ただし、効能というのは、あくまでも良い結果を出すために働きかけるという行為そのもののことを意味しているため、実際に作用するかどうかを保証する言葉ではありません。
効能というのは、薬箱の裏側に書いてある効き目であったり、温泉などで記載してある成分表のようなものです。効能というのは「こういう風に作用するはずです」「このような作用がある物質を含みます」というような意味の言葉です。
例えば、腰痛に効くとされる成分が入っている温泉に入ったとします。この温泉には効能として「腰痛の改善」と記されています。しかし、実際にその温泉に入ってみても、人によっては腰痛が改善されない場合もあります。
けれど、事実として、その温泉には腰痛に効くとされる成分が含まれているので、それは「腰痛を改善する効能がある」と表現することが出来るものです。
このように、効能というのは、あくまでも働きかけのことであって、必ずしも良い結果を約束するものではありません。
何かを良い方向に導くための成分が含まれていて、良い結果や効き目が期待できるという物事について「効能」という言葉を使うのだと覚えておくようにしましょう。
効能の語源
効能の「能」という字は、物事に対する働きや、物事を成し遂げる力を意味する漢字です。つまり効能というのは、漢字の意味でだけ考えると「物事を成し遂げる力を発揮する」という意味の言葉であるとわかります。
また、効能という言葉は「功能」と書かれることもあります。功能の「功」という字は、優れた働きや効き目、手柄などを意味する漢字です。辞書で調べると「こうのう」の項目に「効能/功能」と書かれているので、どちらを使っても間違いではありません。
表現方法は「効能がある」「効能が高い」「効能があらわれる」
「効能がある」「効能が高い」「効能があらわれる」などが、効能を使った一般的な言い回しです。
効能の使い方
効能を使った分かりやすい例としては、「効能があるかどうかを口コミだけで判断するのは難しい」「この温泉は腰痛に対する効能が高い」「効能があらわれるまで時間が掛かるので継続して使う必要がある」などがあります。
効能の類語
効能の類語・類義語としては、ある作用によって現れる結果を意味する「効き目」、効果を出すことができる能力を意味する「効力」、他のものに影響を与えることを意味する「作用」などがあります。
効能の「能」という字を使った単語としては、物事を巧みになしうる生まれつきの能力を意味する「才能」、物事を理解したり判断したりする力を意味する「知能」、すべてに効力があることを意味する「万能」などがあります。
効果の意味
効果とは
効果とは、何かの行為や行動を起こしたことによって、物事が良い結果に繋がったことを意味しています。効果というのは、「結果」に重点を置いている言葉です。確実に良い方向に進んだと確定してはじめて「効果があった」と表現することが出来ます。
効果というのは、何かを行ったことによって、目的にかなった結果が得られた時に「効果があった」という表現で使われることの多い言葉です。薬などを飲んだ時に、症状が改善した状態で「薬の効果があった」と表現します。
また、効果というのは、薬などの効き目だけに限らず、様々な場面で使用される言葉です。映画や舞台などで物語に音を付けたり、照明を当てたりすることを、効果音であったり、照明効果と呼んだりすることもあります。
表現方法は「心理効果」「効果てきめん」「効果的」「逆効果」
基本的には事態が良い方向に進んでいる状態で「効果」という言葉を使うものですが、例えば「温室効果」「視角効果」「心理効果」などのように、結果が良いか悪いかの判断をする必要のない場合にも「効果」という言葉が使われる場合もあります。
その他にも、慣用句として「効果てきめん」「効果的」というような言葉はよく耳にするものです。これらも何事かが作用して良い方向に進んでいるという意味を持ちます。反対に、良くない方向に進むことを「逆効果」と表現したりすることもあります。
このように、効果という言葉は様々な場面で使用される言葉です。効果は結果に重点を置いている言葉であり、そのほとんどが物事が今までよりも良い方向に進んだという意味を持つものだと覚えておくようにしましょう。
効果の使い方
効果を使った分かりやすい例としては、「色による心理効果を考慮し職場に緑の植物を置くことにした」「部下の仕事の配置を変えたことが効果てきめんで大きな成果が出た」「この商品の宣伝はSNSを使ったマーケティングが効果的です」などがあります。
効果の英語表記
効果という言葉は、英語で表現するところの「Effect」(エフェクト)という言い方でも、よく使用される言葉であると言えます。
効果の語源
効果の「果」という字は、果たす、成し遂げる、予想通りというような意味を持つ漢字です。つまり効果というのは、漢字の意味でだけ考えると「力を発揮して成し遂げる」という意味の言葉であるとわかります。
効果の類語
効果の類語・類義語としては、効力をもっていることを意味する「有効性」があります。
効果の「果」という字を使った単語としては、原因と結果やその関係性を意味する「因果」、あることをして得られたよい結果を意味する「成果」、よい運を授かって幸福なことを意味する「果報」などがあります。
効能の例文
この言葉がよく使われる場面としては、医薬品や温泉などの成分や働きについて表現したい時などが挙げられます。ただし、効能という言葉はあくまでも「働きかけ」という意味の言葉なので、確実に良い結果が得られるというわけではありません。
例文1や3,4のように薬や温泉、ハーブなどに含まれる体に良い成分について、その成分がどのように体に働きかけるのか、その作用を「効能」と表現します。市販の薬の外装に書かれている「効き目」というのが「効能」であると言えます。
効能という言葉は、「功能」という字でも書かれるものです。辞書で調べた場合にも「効能/功能」と書かれているものが多くあります。どちらを使っても同じ意味であり、間違いではありません。しかし、一般的には「効能」と書かれることの方が多いです。
効果の例文
この言葉がよく使われる場面としては、何かの行動を起こしたことによって、良い結果に繋がったことを表現したい時などが挙げられます。効果という言葉は何かを行った後の「結果」に重点を置いている表現です。
効果という言葉は例文1や2のように視覚的な効果や照明の効果という意味でもよく使われます。また、例文3や5のように「効果てきめん」や「逆効果」などの慣用句もよく使われるものです。
効果という言葉は、効能とは違い、医薬品などとは関係のない場面でも使用される言葉であると覚えておくようにしましょう。