【折衝】と【交渉】と【調整】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「折衝」(読み方:せっしょう)と「交渉」(読み方:こうしょう)と「調整」(読み方:ちょうせい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「折衝」と「交渉」と「調整」という言葉は、つり合いの取れた状態にするという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




折衝と交渉と調整の違い

折衝と交渉と調整の意味の違い

折衝と交渉と調整の違いを分かりやすく言うと、折衝は利害が一致しない時に使い、交渉は利害が一致する時にも使い、調整は基準に合わせる時に使うという違いです。

折衝と交渉と調整の使い分け方

折衝という言葉は、「隣国との折衝に時間が掛かっている」「海外企業に対する折衝は苦手だ」などの使い方で、利害が一致しない相手との間で問題を解決するために話し合うことを意味する言葉です。

交渉という言葉は、「価格交渉を行う」「交渉材料を手に入れる」などの使い方で、何かの問題に関して相手と話し合うことを意味します。この場合、交渉される側の希望が交渉する側の希望と同じか否かは問いません。

調整という言葉は、「設定を調整する」「日程の調整を行う」などの使い方で、一つの基準に従って整えることを意味します。調整される対象は例文のように物に対して使うことがほとんどです。

このことから、折衝は対象とその相手の利害が一致しない場合に使い、交渉は利害の一致は関係なく使い、調整は対象と相手ではなく別の基準に合わせて整える場合に使います。

また、折衝は国家対国家などの公的な場面で使われ、交渉は個人対個人から、国家対国家まで公私広く使うことが出来ます。これらが、折衝、交渉、調整の明確な違いです。

折衝の意味

折衝とは

折衝とは、利害関係が一致しない相手と問題を解決するために駆け引きをすることを意味しています。

表現方法は「折衝する」「折衝力」「折衝能力」

「折衝する」「折衝力」「折衝能力」などが、折衝を使った一般的な言い回しです。

折衝の使い方

折衝を使った分かりやすい例としては、「敵対的な態度をとってくるライバル会社と折衝する」「今回の研修ではビジネスシーンで使える折衝力の基礎を学ぶことが出来ます」「対人折衝能力がない人は物事をうまく運ぶことができない」などがあります。

折衝を使った言葉として、「樽俎折衝」「折衝経験」があります。

「樽俎折衝」の意味

一つ目の「樽俎折衝」(読み方:そんそせっしょう)とは、お酒の席でなごやかな談笑の中で話し合いを進めて、交渉を有利に展開することを意味する四字熟語です。中国春秋時代が描かれた『晏子春秋』(読み方:あんししゅんじゅう)に載る故事成語です。

「折衝経験」の意味

二つ目の「折衝経験」とは、対外的な駆け引きの役割経験を指す言葉です。具体的には、資材や原材料の仕入れ時の値段を決める打ち合わせ、顧客などからのクレーム対応など、営業での交渉に留まらない対外的な業務を指し、「折衝業務」とも言われます。

折衝の類語

折衝の類語・類義語としては、集まって相談することを意味する「協議」、向かい合って話し合うことを意味する「対話」、互いに利益を得られるよう交渉することを意味する「取引」、会合して相談することを意味する「会商」などがあります。

折衝の衝の字を使った別の言葉としては、意外な出来事などによって強く心を揺り動かされることを意味する「衝撃」、外から強い力や刺激を受けて心を動かすことを意味する「衝動」、衝突などを和らげることを意味する「緩衝」などがあります。

交渉の意味

交渉とは

交渉とは、特定の問題について相手と話し合うことを意味しています。

表現方法は「交渉術」「交渉力」「交渉の余地」

「交渉術」「交渉力」「交渉の余地」などが、交渉を使った一般的な言い回しです。

交渉の使い方

交渉を使った分かりやすい例としては、「彼がお金持ちになれた理由は他の人よりも交渉術があったからだ」「交渉力は言い換えればコミニュケーション能力である」「先ほどの交渉でまだまだ交渉の余地があることが分かった」などがあります。

上記以外の交渉を使った言葉として、「団体交渉」「独占交渉権」があります。

「団体交渉」の意味

一つ目の「団体交渉」とは、労働者の団体が雇用している側またはその団体と労働時間、賃金、その他の労働条件に関して交渉を行うことを意味する言葉です。労働者が加入した労働組合が雇用者と話し合いを行います。憲法に定められた権利の一つでもあります。

「独占交渉権」の意味

二つ目の「独占交渉権」とは、2つ以上の企業が1つの企業に統合されることを合併と買収の英単語から頭文字を取ってM&Aと言いますが、この交渉において一定期間他の買い手候補企業を排除する権利を意味する言葉です。

交渉の類語

交渉の類語・類義語としては、互いに行き来することを意味する「交流」、事件やもめごとに決着をつけるため相手方と話し合うことを意味する「談判」、利益をあげる目的で物を売り買いすることを意味する「商売」、行き来を意味する「往来」などがあります。

交渉の渉の字を使った別の言葉としては、外部と連絡や交渉をすることを意味する「渉外」、他人のことに立ち入って自分の意思に従わせようとすることを意味する「干渉」、広くあちこち歩きまわって探し求めることを意味する「渉猟」などがあります。

調整の意味

調整とは

調整とは、ある基準に合わせて正しく整えることを意味しています。

表現方法は「調整する」「調整できない」「調整中」

「調整する」「調整できない」「調整中」などが、調整を使った一般的な言い回しです。

調整の使い方

調整を使った分かりやすい例としては、「スケジュールを調整するので少々お待ちください」「新しいパソコンの明るさが調整できない」「調整中ですので追ってご案内申し上げます」などがあります。

上記以外の調整を使った言葉として、「調整池」「調整手当」があります。

「調整池」の意味

一つ目の「調整池」とは、水力発電所や浄水場において水量を調整するための貯水池を指す言葉です。一般的には調節池とも呼ばれています。集中豪雨などで川の流れる力が通常よりも高くなる可能性のある場合に一時的に洪水を溜める池として使われます。

「調整手当」の意味

二つ目の「調整手当」とは、基本給与やその他の手当を合算してもその人にふさわしい給与金額に届かない場合や、転勤して間もないために社内の給与規定とその人の給与が能力に比べて安くなってしまう場合などに加算される手当です。

調整の類語

調整の類語・類義語としては、ずれや矛盾がなく前後上下などがそろうことを意味する「整合」、楽器の音の高さを基準に合うように整えることを意味する「調律」、混乱をおさめ状態を整えることを意味する「収拾」などがあります。

調整の整の字を使った別の言葉としては、秩序正しく整っている様子を意味する「整然」、すぐ役立つように準備したり整えたりすることを意味する「整備」、乱れた状態にあるものを整えることを意味する「整理」などがあります。

折衝の例文

1.先輩と取引先に行ってわかったことは、先輩の折衝力が非常に高いことである。
2.その役職に復活するために折衝を繰り返し、妥協するポイントを見つけた国王がいた。
3.折衝から逃げることなく、納得のいく結果を求める努力をするためのロールプレイングゲームを研修に取り入れた。

この言葉がよく使われる場面としては、利害の一致しない相手との話し合いを意味する時などが挙げられます。

例文1の「折衝力」とは、意見などが一致しない相手と円滑な議論を進める力を意味する言葉です。「折衝力が高い」という表現であれば、最終的に折り合いをつける駆け引きが上手いということになります。

交渉の例文

1.世間と没交渉であると言っても過言ではない程外出をしていない。
2.場をリードするための交渉力を身に付けるために関連する知識はしっかり頭に入れておこうと思う。
3.値引き交渉で他店を引き合いに出された場合は、ポイントで補填するなどの対応をしてでも購入してもらう。

この言葉がよく使われる場面としては、ある問題について相手と話し合ったり掛け合ったりすることを意味する時などが挙げられます。

例文1の「没交渉」とは、交渉がないことや関わりを持たないことを意味する言葉です。無関係という言葉に置き換えることが出来ます。

調整の例文

1.会議の日程を調整するために、手帳を持ってくるように言われた。
2.一度計画したものをもらった意見をもとに調整しなければならない。
3.パソコンを使う時腕や背中が痛むため、椅子やパソコンを乗せている台の角度を調整した。

この言葉がよく使われる場面としては、基準に合わせて整えることを意味する時などが挙げられます。

調整は対象とその相手が必要な言葉ですが、例文2や例文3のようにどちらか一方が物であっても使える言葉です。そのため、折衝や交渉を置き換えて使うことはできません。

折衝と交渉と調整どれを使うか迷った場合は、利害が一致しない相手との話し合いを表す場合は「折衝」を、利害関係なしに問題の話し合いを表す場合は「交渉」を、ある基準に合わせて整えることを表す場合は「調整」を使うと覚えておけば間違いありません。

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