似た意味を持つ「分不相応」(読み方:ぶんふそうおう)と「不相応」(読み方:ふそうおう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「分不相応」と「不相応」という言葉は、どちらも「ふさわしくないこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
分不相応と不相応の違い
分不相応と不相応の意味の違い
分不相応と不相応の違いを分かりやすく言うと、分不相応とは身分や能力がふさわしくないことを意味し、不相応とは身分や能力に限らずふさわしくないことを意味するという違いです。
分不相応と不相応の使い方の違い
一つ目の分不相応を使った分かりやすい例としては、「借金しながら分不相応に暮らす」「分不相応な家を購入した」「分不相応な高望みだと分かっている」「分不相応な人を好きになってしまった」などがあります。
二つ目の不相応を使った分かりやすい例としては、「自己愛が強く不相応の称賛を求める」「年齢不相応な振る舞いはやめよう」「彼は不相応な理想を持つ男だ」「菩薩の不相応の教を信ずる」などがあります。
分不相応と不相応の使い分け方
分不相応と不相応に共通する「相応」とは、つりあいがとれていることや、ふさわしいことであり、不相応はつりあいがとれていないことや、ふさわしくないことを意味します。分不相応の「分」とは身分や性質を表し、分不相応は身分や地位にふさわしくないことを意味する言葉です。
つまり、分不相応は身分や能力がふさわしくないことを特化して表す言葉であり、不相応はあらゆる事柄に関してふさわしくないことを表す言葉です。例えば、年齢にふさわしくないことを表す時に不相応という言葉が使えますが、分不相応という言葉は使えません。
分不相応と不相応を比べると、不相応の方が広い意味を持つ言葉と言えるでしょう。
分不相応と不相応の英語表記の違い
分不相応を英語にすると「beyond one’s means」「beyond one’s position」となり、例えば上記の「分不相応に暮らす」を英語にすると「live beyond one’s means」となります。
一方、不相応を英語にすると「unsuited」「inappropriate」「undeserved」となり、例えば上記の「不相応な称賛」を英語にすると「undeserved praise」となります。
分不相応の意味
分不相応とは
分不相応とは、その人の身分や能力にふさわしくないことを意味しています。
表現方法は「分不相応な望み」「分不相応な生活」「分不相応な家」
「分不相応な望み」「分不相応な生活」「分不相応な家」などが、分不相応を使った一般的な言い回しです。
分不相応の使い方
分不相応を使った分かりやすい例としては、「分不相応な住宅ローンに苦しむ」「就職した企業が分不相応だと気後れしている」「分不相応な相手との結婚に迷う」「求める条件は分不相応だと気づいていない」「分不相応な生活を望む」などがあります。
その他にも、「部下が分不相応なことを申し上げてすみません」「分不相応なことを言って申し訳ありません」「このパーティーは分不相応な気がしてならない」「それは分不相応な望みではないか」などがあります。
分不相応の読み方
分不相応は「ぶんふそうおう」と読みます。分不相応は「分」と「不相応」が組み合わさり出来た言葉です。「分」は人が置かれた立場や身分、人が備えている能力の程度のことであり、分不相応という言葉は、その人の身分や能力にふさわしくないことを意味し、身の丈に合わないさまを表します。
「分不相応な住宅ローン」の意味
上記の例の「分不相応な住宅ローン」とは、その人の資金にふさわしくない、返済能力を超えている住宅ローンを意味しています。
「分不相応な望み」の意味
「分不相応な望み」とは、その人が置かれている立場や身分につりあわない、身の程をわきまえない高い望みを意味します。
分不相応の対義語
分不相応の対義語・反対語としては、その人の身分や能力にふさわしいことを意味する「分相応」、身分や能力にふさわしいことを意味する「応分」などがあります。
分不相応の類語
分不相応の類語・類義語としては、処遇が自分の身分や業績を超えてよすぎることを意味する「身に余る」、分に過ぎた扱いを受けることを意味する「過分」、身分や能力以上の高い望みをもつことを意味する「高望み」などがあります。
分不相応の分の字を使った別の言葉としては、身分や地位の程度を意味する「分際」、持っている身分や才能などの程度を意味する「分限」、ある集団における人の地位や資格を意味する「身分」などがあります。
不相応の意味
不相応とは
不相応とは、つりあいがとれていないこと、ふさわしくないことを意味しています。
表現方法は「不相応な評価」「身分不相応」「年齢不相応」
「不相応な評価」「身分不相応」「年齢不相応」などが、不相応を使った一般的な言い回しです。
不相応の使い方
不相応を使った分かりやすい例としては、「成果に対して不相応な評価ではないか」「私には不相応なもったいない話です」「年齢不相応の言葉遣いを注意する」「身分不相応なぜいたく品を買う」などがあります。
その他にも、「不相応な会社に入ってしまった」「身分不相応な恋に憧れる」「給料に不相応な暮らしぶりだ」「働きに対して不相応な高い時給だ」「彼の家柄は自分には不相応だろう」「今のご時勢に不相応なイベントだ」などがあります。
不相応という言葉は、つりあいがとれていないこと、ふさわしくないことを意味します。分不相応のように身分や能力に関してだけでなく、年齢や働き、あるいは容姿など、あらゆる事柄に関してつりあいがとれていないことを表します。
不相応の読み方
不相応は「ふそうおう」と読みます。「ぶそうおう」ではないので注意しましょう。
不相応を意味することわざ
不相応を意味することわざに「大黒柱を蟻がせせる」があり、非力な者が不相応な大仕事に取り組むことのたとえに用いられます。大黒柱を蟻が噛む意で、びくともしないことや、力の及ばないことを表現したことわざです。
不相応の対義語
不相応の対義語・反対語としては、つりあいがとれていることを意味する「相応」、その場や物事にふさわしいことを意味する「適切」、順序や道理のうえからみて適当であることを意味する「順当」などがあります。
不相応の類語
不相応の類語・類義語としては、好みや性質に合わないことを意味する「不向き」、つりあいが保たれていないことを意味する「不均衡」、さしさわりがあって適当でないことを意味する「不穏当」などがあります。
不相応の応の字を使った別の言葉としては、ある働きかけに応じて起こる物事の動きを意味する「反応」、外界からの刺激によって心が深く感じ動くことを意味する「感応」、相手になって受け答えすることを意味する「応対」などがあります。
分不相応の例文
この言葉がよく使われる場面としては、その人の身分や能力にふさわしくないことを表現したい時などが挙げられます。
例文にある「分不相応」とは、その人の返済能力にふさわしくないことを意味します。「人生詰んだ」というのは「人生終わった」という意味であり、ネットから広まった言葉です。例文4にある「分不相応」とは、その人の能力や力量にふさわしくないことを意味しています。
不相応の例文
この言葉がよく使われる場面としては、つりあいがとれていないこと、ふさわしくないことを表現したい時などが挙げられます。
例文1では年齢にふさわしくないことを、例文4では実力に釣り合わないことを不相応という言葉で表しています。例文3にあるように、不相応の意味を持つことわざは数多くあり、つりあいがとれないことや身の丈に合わないことを表す時に用いられます。
分不相応と不相応という言葉は、ふさわしくないことを表す言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、身分や能力がふさわしくないことを表現したい時は「分不相応」を、身分や能力に限らずふさわしくないことを表現したい時は「不相応」を使うようにしましょう。