【俯瞰】と【鳥瞰】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「俯瞰」(読み方:ふかん)と「鳥瞰」(読み方:ちょうかん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「俯瞰」と「鳥瞰」という言葉は、どちらも上から見下ろして物事を見るという意味を表す共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




俯瞰と鳥瞰の違い

俯瞰と鳥瞰の意味の違い

俯瞰と鳥瞰の違いを分かりやすく言うと、俯瞰は高いところから人が俯いて見つめている範囲を示していて、鳥瞰は鳥が空から見下ろすような広い範囲を示しているという違いです。

俯瞰と鳥瞰の使い分け方

俯瞰という言葉で示される範囲は明確ではありませんが、鳥瞰の場合は鳥の視点なので、かなり広い範囲であると言えます。俯瞰というのは、人が高い場所に立って、そこから俯いた状態で物事を見下ろしていることを示す言葉です。

この高い所というのが、どの程度の高さであるのかに明確な決まりはなく、背伸びをしている状態から見下ろしているだけである場合もあります。反対に、登山などをして、山の頂上から見下ろしている場合などにも「俯瞰」という言葉を使うことが出来ます。

どの程度の高さから見下ろしているのかは、前後の文脈によって異なるものなので、そこから読み取って考えるようにしましょう。

また、風景を見るだけでなく「物事を俯瞰で考える」というような表現で使用されることもあります。この場合は、物事を狭い視点ではなく、広い視野で見つめるという意味になりますが、やはりどの程度の高さから見下ろすものかの定義はありません。

問題の大きさにもよりますが、俯瞰で考えるというのは、その物事を広い視野で見つめて考えるという意味であると認識して、全体像を捉えるようにすると良いでしょう。

一方の鳥瞰というのは、鳥が空から見下ろすような視点で物事を見るという意味を持つ言葉です。これは俯瞰よりも明確に広い視野を持って物事を考えることを意味しています。

全体を大きく見渡すことであり、物事についてその情勢まで見極めるという意味も持ちます。全体を見通すことを強調したい時には、俯瞰ではなく鳥瞰という言葉を使うと良いでしょう。

俯瞰よりも鳥瞰を使う方が、視点の位置がはっきりと相手に伝わります。ビジネスシーンなどでも鳥瞰と使うと、物事を広く見るだけでなく、その成り行きなどを見極めるという意味を含むことが出来ます。

また、鳥瞰という言葉は、地図などでも使用される言葉です。テーマパークやショッピングモールなどの広い施設で現在地を知るための地図などを鳥瞰図と表現したりすることがあります。

また、芸術の分野でも鳥の目で見たような視点で描かれた作品については「鳥瞰図」と表現されます。

日本では、江戸時代の浮世絵などにもこの手法が使用されており、鳥瞰図というタイトルの付いている絵が残っていたりします。海外の歴史的な鳥瞰図としては、レオナルドダヴィンチの作品なども残されています。

俯瞰の意味

俯瞰とは

俯瞰とは、物事や風景を高いところから見下ろして眺めることを意味しています。広い視野を持って物事を見つめなくてはいけない時や、高いところから街並みを見下ろす時などに使われる表現で、類語としては「パノラマ」などがあります。

俯瞰の語源

この「俯瞰」という漢字表現は、どちらの字も常用漢字ではない漢字です。俯瞰という表現以外では、あまり使われることのない字です。俯瞰の「俯」は、「うつむく」「ふせる」という意味を持つ字であり、「瞰」は「見下ろす」という意味を持つ字です。

つまり、俯瞰というのは、人が高い所に立っている状態で、うつむいたり、目をふせたりした状態で、見える景色のことを意味しています。この表現では、その人間がどの程度の高さから見下ろしているのかは、定かではありません。

階段の一段上から見下ろしているのかもしれませんし、脚立の上かもしれません。または登山などをして、山の上から見下ろしている場合もあります。このように、俯瞰という表現では、その視野の広さについては詳しくわからないものです。

ただ、物事や風景を上から見下ろしているということだけは確かであり、集中して細かい部分を見つめるということではなく、全体を広々と見ている状態であると考えるとその意味が分かりやすくなります。

俯瞰の使い方

ビジネスシーンなどで、この「俯瞰」という言葉が使われる場合には、物事を大きく見つめる、全体像を把握するという意味で使用されることの多いものです。

表現方法は「俯瞰的に考える」「俯瞰できる」「俯瞰の目」

細かい部分ではなく、大枠を理解するべき時に「俯瞰的に考える」と使用されるものです。その他にも「俯瞰できる」「俯瞰の目」「俯瞰的視点」などが、俯瞰を使った一般的な言い回しです。

俯瞰の対義語

俯瞰の対義語・反対語としては、仰ぎ望むことを意味する「仰望」(読み方:ぎょうぼう)、地上から仰ぎ見ることを意味する「仰視」などがあります。

俯瞰の類語

俯瞰の「俯」という字を使った別の単語としては、物を見下ろしたときの視線の方向と目の高さの水平面とのなす角を意味する「俯角」、うつむくことと仰ぎ見ることや見回すことを意味する「俯仰」などがあります。

鳥瞰の意味

鳥瞰とは

鳥瞰とは、鳥が空から見下ろすように、高い所から全体的な広い範囲を見ることを意味しています。全体を大きく見渡す際などの他にも、そのような広い視点を持たなければいけない時などに、この鳥瞰という言葉は使われます。

鳥瞰の使い方

鳥瞰というのは、実際に鳥が空から風景を見下ろすほどの高さから、物事の全体を広く見つめることを表現する他にも、大局的に物事を見つめる際に使用される言葉です。この鳥瞰というのは、俯瞰よりもより高い所から物事を見ていることを表現します。

ビジネスシーンなどでも、全体を見通すことや、広く物事の成り行きや情勢などを見極める際などに使用される言葉で「鳥瞰的な視点を持っている人」というような言葉で表現されたりします。

世の中の流れについて、その大枠を理解する際にも「鳥瞰」という言葉を使用したりします。例えば、「経済の流れを鳥瞰する」などのように表現することがあります。これは、世界的な情勢を理解した上で、今後の経済の流れを見極めるという意味です。

その他にも、物事を考える時には「鳥の目」「虫の目」が必要であると言われることがあります。

これは、物事を考える際には、鳥の視点、つまり鳥瞰的な広い視野を持つことと、虫の視点、つまり細かく物事を見つめる視野を持つことの両方が必要であることを示しています。

近年では、これに加えて「魚の目」、潮の流れを読むように、空気の流れを読む視点の三つの視点を持ち、多角的に物事を見ることが大切であるとされています。

このように、鳥瞰というのは、俯瞰よりもより高い視点から、物事の大きな流れを見つめることを表現する際に使用される言葉であると覚えておくようにしましょう。

表現方法は「鳥瞰する」「鳥瞰的に見る」「鳥瞰写真」

「鳥瞰する」「鳥瞰的に見る」「鳥瞰写真」などが、鳥瞰を使った一般的な言い回しです。

「鳥瞰図」の意味

物理的に、鳥の視点から風景を見つめるという意味で「鳥瞰図」というものも存在します。これは、上空から見た風景を地図のように描いたものであったり、鳥の視点から見つめたような構図を持った絵画であったりします。

ショッピングモールなどの広い施設の地図などを「鳥瞰図」と表現したり、浮世絵などにも「鳥瞰図」という題名の付いた絵があったりします。

鳥瞰するという表現を使用する際には、俯瞰よりも見下ろしている場所が明確でわかりやすく、飛んでいる鳥の視点という広い範囲を指すものであると考えるようにするとその意味が分かりやすいでしょう。

鳥瞰の類語

鳥瞰の類語・類義語としては、物事の全体を見渡すことを意味する「大局的」、個々の物事を一つにまとめることを意味する「総合的」などがあります。

鳥瞰の「瞰」という字を使った別の単語としては、見おろすことや見おろす先を意味する「瞰下」、鳥瞰と同じように見下ろすことを意味する「瞰視」などがあります。

俯瞰の例文

1.熱中すると、つい狭い考えに陥りがちだけれど、もっと俯瞰的な視点を大事にしなくてはいけない。
2.フリーマーケットに出品するために、商品を俯瞰で撮影する。
3.明日から行われる大型イベントの動線に問題がないか、俯瞰で確認する。
4.引っ越してきた初日、僕は屋上から町を俯瞰してみた。
5.集団行動の時には自分のことだけでなく、もっと俯瞰的な考えを持たないとダメだよ。
6.平静を保つためには自分自身を俯瞰することが大切である。
7.わたしは、具象ばかりに気を取られがちだが、上司から仕事は時に抽象的に捉えられるようにしなければならないとして、俯瞰の目をもつ癖をつけなさいと言われた。
8.歴史家は仕事柄、何千年の歴史を俯瞰することがくせになっているので、目先のちょっとした社会現象には少々疎くなりがちだしどうでもいいとさえ思ってしまうものだ。
9.何事も事の真っ只中にいるだけでは何も見えないことが経験則としてわかっていたので、あたふたする己を突き放して俯瞰的に考えるようにしている。
10.ピーター・ドラッカーは経営の神様という人もいるが、わたしとしては社会生態学者として、もっといえば俯瞰の人としての視点がすばらしいと思っている。
11.わたしはあの時、各所から伝わってくる無線通信を傍受して敵の動きを頭の中で俯瞰できたので作戦計画を柔軟に変更して適切に実行できたと自負している。

この言葉がよく使われる場面としては、物事や風景などを高いところから見下ろして、広い視野で見つめることを表現したい時などが挙げられます。例文にあるように「俯瞰的な視点」や「俯瞰的な考え」などのように使用される言葉です。

俯瞰というのは、人間が「うつむいて」「見下ろす」という意味を持つ漢字で成り立っています。つまり、高いところに立っている人が俯いた時に、見える景色というのが、俯瞰的な視点ということになります。

しかし、その人がどの程度の高さの所に立っているかは、明確にされていません。俯瞰という言葉を使う時には、前後の文脈から考えられる範囲で、広い視野を持ち、物事を見つめることであると覚えておくようにしましょう。

鳥瞰の例文

1.リポーターがヘリコプターから町を鳥瞰して報道をしている。
2.祖父は日本経済を鳥瞰する人材として重宝されていたらしい。
3.会社で上の立場にある人は、全部門に対する鳥瞰的な知識を持つ必要がある。
4.昔描かれた浮世絵の中にも鳥瞰図というものが存在していた。
5.自分の現在地を会場の鳥瞰図で確認する。
6.この山の頂上には市内を鳥瞰出来る素晴らしい展望台がある。
7.彼は研究者として、複雑な事象を単に羅列するだとか単純化するだとかに終始することなく、読者に一気に鳥瞰してみせるこの文章力には圧倒させられるね。
8.わたしは片手で頼りない地図をみてトボトボ歩きながら、まるでグーグルマップのように鳥瞰して自分の立ち位置を把握しようと努めたのだった。
9.博物館で江戸時代の鳥瞰図をみて感銘を受けたのをきっかけに、今では古本屋街で江戸時代の観光ガイドを見かけたらかならず買い求めてしまうまでになった。
10.わたしは今流行りのインテリジェンスの技法の本を買って世界の流れを鳥瞰する技術を学んでいるが、読めば読むほどビジネスも国家戦略も合い通ずるものがあると合点がいった。
11.わたしは経営者として様々な試行錯誤してきたが、その中で世の中の経済を鳥瞰する視点と魚の眼のごとく世の中の流れをつかむ感覚を鍛えていたといえるだろう。

この言葉がよく使われる場面としては、鳥が空から見下ろしているような高い視点から物事や風景を見下ろしていることを表現したい時などが挙げられます。鳥瞰は、俯瞰という表現よりも、見下ろす立ち位置がはっきりしています。

鳥瞰というのは、鳥の視点で物事を見ることを表現している言葉です。風景などを見下ろす際だけでなく、ビジネスシーンなどで問題の大局を見極めなければならない場面などでよく使用される言葉です。

集中して細かい所を見つめるのではなく、広く全体を見渡し、物事の成り行きや情勢を見極めるとうような意味も持つ言葉であると覚えておくようにしましょう。

言葉の使い方の例文
編集者
株式会社セラーバンク/例文買取センター運営
例文買取センター