【箇所】と【個所】と【ヶ所】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

同じ「かしょ」という読み方の「箇所」と「個所」と「ヶ所」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「箇所」と「個所」と「ヶ所」という言葉は同音の言葉ですが、意味は若干異なりますのでご注意下さい。




箇所と個所とヶ所の違い

箇所と個所とヶ所の意味の違い

箇所と個所とヶ所の違いを分かりやすく言うと、箇所は物や場所を表現する時に使い、個所は一つのものを表現する時に使い、ヶ所は場所の数を表現する時に使うという違いです。

箇所と個所とヶ所の使い方の違い

箇所という言葉は、「危険箇所に関する情報提供のお願いをする」「この製品が役立つ箇所がいつか必ず来る」などの使い方で、問題になっている部分や場所を意味します。

個所という言葉は、「気に入った個所を何度も何度も読みなおした」「難解な個所を友人に見せて教えを乞う」などの使い方で、一つの特定の場所を意味します。

ヶ所という言葉は、「数ヶ所ほど行きたい場所がある」「何ヶ所も蚊に刺された」などの使い方で、場所を数える時に使います。そのため、数字やそれの準ずる言葉と共に使います。

箇所と個所とヶ所の使い分け方

基本的には、箇所と個所はどちらも同じ意味を持ち、物を数える時に使う助数詞として使われます。

箇所の箇は指示語のこれやあれといった意味を持ち、個所の個は全体に対してのひとつといった意味を持ちます。そのため、「危険箇所」は「危険個所」に、「個人」は「箇人」に漢字をそれぞれ置き換えて使うことはできません。

このことから、箇所はいくつか存在するものに対して使い、個所は一定の範囲の中でひとつしかないものに対して使うという違いが挙げることができます。

今日では、個所は常用漢字表には含まれていないため、一般的に使われるのは箇所で、数字を伴う場合にはヶ所も使われます。これが箇所、個所、ヶ所の明確な違いです。

箇所の意味

箇所とは

箇所とは、問題になっている場所や部分を意味しています。

表現方法は「1箇所」「2箇所」「3箇所」

「1箇所」「2箇所」「3箇所」などが、箇所を使った一般的な言い回しです。

「箇所別基本表」の意味

箇所を使った言葉として、「箇所別基本表」があります。これは、道路や道路交通の現況を調査した一般交通量調査結果を各地点別にまとめたもとを指す言葉です。

全国の道路や街路の交通情勢調査は、昭和55年度以降おおむね5年ごとに実施されている調査です。全国規模で行われ、今後の道路計画が決められたり、道路の維持や修繕を行うための資料となります。

「箇所書き」は「箇条書き」の誤り

また、箇所を使った誤った言葉として、「箇所書き」があります。本来は、「箇条書き」が正しい表記で、いくつかの項目をひとつひとつ分けて書き並べるという表現方法の一つです。単語だけを並べるのも、簡単な文章を並べるのも箇条書きにあたります。

書き方によっては、項目の先頭に丸を付けたり、記号を書いたり、数字やアルファベットなどで項目の数をわかりやすくしたりすることもあります。

箇所の類語

箇所の類語・類義語としては、何かが存在したり行われたりする所を意味する「場所」、地点や場所を意味する「スポット」、特に注目するべき箇所を意味する「点」、空間的な場所や人や物が存在する場所を意味する「所」などがあります。

個所の意味

個所とは

個所とは、特定の部分や場所を意味しています。

個所の読み方

個所は「かしょ」という読み方をしますが、「こしょ」という読み方はしません。

個所は公用文では使えない

個所は文化庁が定めた常用漢字表に含まれていません。そのため、新聞などの公用文で使うことは出来ません。

「個所付け」の意味

個所を使った言葉として、「個所付け」があります。これは、道路やダムといった公共事業に予算や補助金をどう配分するかを決めたものを指す言葉です。国会で予算が成立した後に、国土交通省や農林水産省などが個所付けを発表することになります。

各自治体にとって、道路の整備や橋の工事などの公共工事のために国からの予算で進度が大きく変わってくるため、その地の政治家がキーパーソンとなります。

個所の類語

個所の類語・類義語としては、地上の一定の場所を意味する「地点」、要点を意味する「ポイント」、物事の一番重要な点を意味する「焦点」などがあります。

ヶ所の意味

ヶ所とは

ヶ所とは、場所を数える助数詞を意味しています。

ヶ所の「ヶ」は、カタカナの「ケ」を小さく書いたような文字ですが「箇」もしくは「个」(読み方:か)の略字とされています。今日では、カタカナの「ケ」をそのままの表記で使うのが通常とされていますが、固有名詞などでは小書きにされています。

ヶ所の読み方

「ヶ」は、「か」「が」「こ」のいずれかの読み方をし、この読み方は言葉によって変わります。ヶ所は「かしょ」と読みますが、「けしょ」という読み方をしないよう、公用文などではひらがなで「か」と表記されています。

表現方法は「一ヶ所」「二ヶ所」「10ヶ所」

「一ヶ所」「二ヶ所」「10ヶ所」などが、ヶ所を使った一般的な言い回しです。

ヶ所を使った言葉として、「六ヶ所村」「五ヶ所湾」があります。

「六ヶ所村」の意味

一つ目の「六ヶ所村」とは、青森県下北半島に位置する村で、原子力施設や風力発電施設などエネルギーに関する施設が集中している場所です。

中でも最も危険とされているのが、再処理工場です。ここでは、発電に使われた後の使用済み核燃料を処理するため、事故が起きなかったとしても原子力発電1年分の放射能が1日で放出されるため、この被害はゆくゆく日本全体に影響を与えると言われています。

そのため、六ケ所再処理工場に反対する意見が何度も主張され、2020年8月には政府に意見書が提出されることとなりました。

「五ヶ所湾」の意味

二つ目の「五ヶ所湾」とは、三重県度会郡南伊勢町にある湾で、その最奥部に五ヶ所浦が存在します。湾の中に船の出入りや停泊に好都合な港が5ヶ所も自然に存在していたのが、五ヶ所湾の由来です。

また、湾の形がカエデの葉に似ていることから別名「楓江」(読み方:ふうこう)とも呼ばれています。

ヶ所の類語

ヶ所の「ヶ」の字を使った別の言葉としては、期間を月単位で数える「ヶ月」、条文の数え方である「ヶ条」などがあります。

箇所の例文

1.土砂災害危険箇所は国で調査されて、被害の防止に役立てられている。
2.校内で問題になっている設備の箇所を毎日見て回っている。
3.この商品券が利用できる箇所は限られているため使える時に使っておきたい。
4.戻ってきたテストの解答用紙には、間違えた箇所にアンダーラインが引いてあるだけで、あくまで生徒が自分で考え正解を導く方法たったので大変だったが、今思えば先生も大変だったろう。
5.排水管が壊れて業者に電話したが、壊れた箇所を上手く説明できず、業者が持ってきた部品が使えずお互い困ってしまった。
6.防災訓練では通常の訓練以外にも、実際に災害が起きた場合の危険箇所を皆で話し合って、その対策を導き出すワークショップが開かれた。
7.自社のサーバーが何らかの原因でダウンしてしまったことを受け、システム部の部長は問題箇所がどこにあるのは早急に調査するよう部下に命令を下した。

この言葉がよく使われる場面としては、問題になっていたり特定の場所を意味する時などが挙げられます。

例文1の「土砂災害危険箇所」は、土石流危険渓流、地すべり危険箇所、急傾斜地崩壊危険箇所の総称です。

個所の例文

1.この文章の中で誤った個所を訂正しなければならないといった問題に挑戦する。
2.このケーキが販売される個所はここしかなく、時間も限定されている。
3.遊具の破損個所を見つけた場合はその公園の管理者に連絡をするべきだ。
4.一攫千金をねらって油田を探している男たちは、いかにも石油が含まれていそうな個所を掘り続けるも何かが出てくる様子はない。
5.音楽評論家はJ-POPを解説する番組で、あるヒットソングのBメロからサビへ接続する個所が非常に素晴らしいと絶賛していた。
6.速読のプロ曰く、すべての文章を読むのではなく、いくつかの個所を拾い読みして、その本のポイントを読み取ることが大事だそうだ。
7.テレビの漫才コンテストを観ていた母親が、最近の漫才は芸とは程遠くノリばかりでおもしろい個所が一つもないと嘆いていた。

この言葉がよく使われる場面としては、定められた中での一つの場所を意味する時などが挙げられます。

今日、個所という言葉は箇所という言葉とほとんど同じように使われているため、例文の中の個所は箇所に置き換えて使うことができます。

ヶ所の例文

1.友人との間で話題に挙がった場所は何ヶ所もあるため、仮に一度行ったとしても別の場所がある。
2.あと2ヶ所巡回を行ったら本日の仕事は終わりといっても過言ではない。
3.指定された数ヶ所をあらかじめ確認してから提出する。
4.ここは何ヶ所かある私のお気に入りのカフェの一つで、仲のいい友人にも教えていない。
5.地元の駅の改札は今まで北に一ヶ所しかなかったのだが、駅の利便性向上を目的に南にもあらたに改札を作ることになった。
6.政治家は一見楽そうに見えるが、実際は地元の選挙区で、何ヶ所もイベントや講演会、お祭りなどに顔を出さなければいけないのだから大変だ。
7.わたしの住んでいる街は田園風景が美しい田舎だったので、学校が終わって下校途中に遊べる場所は一ヶ所も存在しなかったのだ。

この言葉がよく使われる場面としては、場所を数える時などが挙げられます。

ヶ所は箇所や個所に置き換えて使うことができます。

箇所と個所とヶ所どれを使うか迷った場合は、問題になっている場所を表す場合は「箇所」を、特定の一つの場所を表す場合は「個所」を、場所を数える単位を表す場合は「ヶ所」を使うと覚えておけば間違いありません。

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