【下りる】と【降りる】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

同じ「おりる」という読み方、似た意味を持つ「下りる」と「降りる」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分けを参考にしてみてください。

「下りる」と「降りる」という言葉は、どちらも物理的・空間的に下に移動することを意味するという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。

下りると降りるの違い

降りると下りるの違いを分かりやすく言うと、下りるというのは、特に、上の立場から下の立場に許可などが「おりる」ことを意味していて、降りるというのは、特に、自分が今いる立場・地位、職業、あるいは勝負事から「おりる」ことを意味するという違いです。

下りると降りるの違いは微妙で、どちらの「おりる」でも正しい場合もあれば、意味の違いを確定できない場合も多いです。実際、国語辞書の中には「おりる」の読み方で「下りる/降りる」と併記し、意味の違いを記していないものもあります。

「降りる」と「下りる」のどちらを使ってもよい例はいくつもあります。「階段を降りる」と「階段を下りる」はどちらも正しいです。また、乗り物から「おりる」ことを「降車」(読み方:こうしゃ)とも言えば「下車」(読み方:げしゃ)とも言います。

簡単に言うと、物理的・空間的意味での「おりる」には、「下りる」と「降りる」どちらの言葉を使ってもよいのです。

では、違いが出る場合を説明していきます。

立場が上の者や機関から、立場が下の者や機関に対して何かが回ってくることを意味する時には、「下りる」という言葉を使います。「入学許可が下りる」や「国からビザが下りる」とは言えますが、この「おりる」を「降りる」と言い替えることは出来ません。

「下」にこのような意味があることは、「臣下」や「配下」、「下賜」(読み方:かし)という言葉を思い浮かべると、分かりやすくなります。

次に、立場や職、勝負などを「おりる」場合には「降りる」を使います。例えば立場・地位がさがることを意味するのは「降格」(読み方:こうかく)ですが、「降」を「下」の字で言い換えることは出来ません。あるのは「格下」(読み方:かくした)だけです。

辞職することを「職を降りる」とは言いますが、この場合「降」を「下」で表記することは出来ません。

また、負けを認めることを意味する「降参」(読み方:こうさん)「降伏」(読み方:こうふく)「投降」(読み方:とうこう)などの「降」を、「下」の字で置き換えることは出来ません。

まとめると、物理的・空間的な下方への移動については「下りる」と「降りる」のどちらを使ってもよく、上の立場から下の立場へ許可などが「おりる」ことは「下りる」で、立場・地位、職業、目下の勝負事から「おりる」場合には「降りる」を使います。

下りるの意味

下りるとは、物理的・空間的に下方へ移動することや、上の立場から下の立場に許可が「おりる」ことを意味しています。

下りるの「下」という漢字の対義語は、「上」や「高」という漢字です。「上下」や「高低」という言葉があることから分かるように、「下」というのは、空間的、場所、位置などに関係する漢字です。

方向を意味する「下」が「下りる」と動作を表す表現になった際にも、そうした元々の意味は残り、物理的・空間的な移動全般を意味する言葉になりました。

「(人が)地階に下りる」や「垂れ幕が下りる」のように、主語は人でも人以外の物でも取ることが出来ます。

ただし、現代の慣用的な日本語においては、「階段を下りる」や「電車を下りる」のような人間の動作を表現する使われ方は、若干ですが減少傾向にあります。これらの場合には「降りる」が使われることが多くなってきています。

言い換えると、人間の意志に基づく「おりる」行動は、「降りる」を使って表現されることが多くなっています。しかし、「下山」や「下車」などの言葉があるように、まだまだ「電車を下りる」のような表現も劣勢とまでは言えません。

文章を書く時には、何を表現したいかだけで使い分けるのではなく、文体をも考慮して使い分けできるようになりたいです。

また、「下」という漢字は、「上下」という関係性を含意するため、上から下に許可が「下りる」場合に使われます。

なお「下りる」と似た表現に「下る」(読み方:くだる)というものがあります。「おりる」の場合には何かが下方へ移動することに焦点が当てられていますが、「くだる」の場合は、「川を下る」「山道を下る」のように、場所に焦点が当てられています。

下りるの下の字を使った言葉としては、ある位置よりも下の位置、方向を意味する「下方」、あとに記すことを意味する「下記」、品質や段階などの程度が劣っていることを意味する「下等」などがあります。

降りるの意味

降りるとは、物理的・空間的に下方へ移動することや、自分の立場・地位、職業、勝負事などから「おりる」ことを意味しています。多くの場合、「下りる」と置き換え可能な漢字ではありますが、以下に説明するようなケースでは、「降りる」だけが使われます。

「職を降りる」や「勝負を下りる」という時には、「降りる」だけが使われ、「下りる」と言い替えることは出来ません。なぜなら、これらは物理的・空間的な意味での「おりる」ではないからです。

降りるの降の字を使った別の言葉としては、雨(雪)が降ることを意味する「降雨」「降雪」、高い場所から低い場所へ降りることを意味する「降下」、負けを認めることや、物事を諦めて投げ出すことを意味する「降参」などがあります。

下りるの例文と使い方

1.クマが冬眠の前に山から下りてきて人間の生活圏で食糧を探し始めたため、警戒態勢が敷かれることになった。
2.初の海外旅行のために申請していたビザが下りたが、写真映りが悪かったのが残念だった。
3.第一志望への入学許可が下り、家族一同ほっと胸をなでおろした。
4.幕が下りる中、舞台上で浴びる観客からの惜しみない拍手に胸がいっぱいになった。
5.階段を下りる時に急いで足を踏み外しそうになって以来、無駄に慎重になってしまった。

この言葉がよく使われる場面としては、物理的・空間的な下方への移動を表現したい時や、上の立場から下の立場に許可が「おりる」時などが挙げられます。

「下」というのは、「上下」という言葉があるように、物理的な空間、位置、場所に関係する漢字です。また「上下」関係へと意味が広がって、上の立場や機関から下の立場や機関へ許可などが「おりる」ことを表す漢字となりました。

「下りる」と「降りる」はどちらを使ってもよい場合が圧倒的に多いため、どちらを使っていいか迷う場合があります。その際は、「下車」や「下山」のように熟語を探してみて下さい。出来なければ、思い切ってひらがなで「おりる」と表記しても大丈夫です。

降りるの例文と使い方

1.帰りの電車から降りるのが、今日だけは何故かとても億劫だった。
2.そうこうしているうちに眠りこけてしまい、車掌に終点で降ろされた。
3.エレベーターで降りて、友人が来るのをいまかいまかと待ち構える。
4.不祥事が発覚した後で、彼女が役職を降りたタイミングが良すぎることが一時期噂になった。
5.ここで勝負を降りることは、後々のことを考えたら決して悪い選択ではないということを、彼に力説した。

この言葉がよく使われる場面としては、物理的・空間的な下方への移動を表現したい時や、自分が今いる立場・地位、職業、あるいは勝負事から「おりる」ことを表現したい時などが挙げられます。

何かが物理的に下に移動する場合には、「下りる」を使っても「降りる」を使っても間違いではありません。ただし、現代の日本語では、例文1から3に見られるように、「降りる」という言葉を人間の動作に用いようとする傾向も高まっています。

立場・地位、職業、あるいは勝負事については「降りる」を使い、「下りる」は使いません。しかし、いざ文章を書く際に困ったなら、地位や立場を「退く」、「職を辞する」、「負けを認める」、「降参する」というように言い換えてみましょう。