似た意味を持つ「自助」(読み方:じじょ)と「共助」(読み方:きょうじょ)と「公助」(読み方:こうじょ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「自助」と「共助」と「公助」という言葉は、どれも「助」という漢字を使っていますが、意味は大きく異なりますのでご注意下さい。
自助と共助と公助の違い
自助と共助と公助の意味の違い
自助と共助と公助の違いを分かりやすく言うと、自助は自分を助ける時に使い、共助は互いに助け合う時に使い、公助は公的機関が助ける時に使うという違いです。
自助と共助と公助の使い方の違い
自助という言葉は、「自助のための備えの確認を怠らないようにする」「彼の自助努力は褒められるべきだ」などの使い方で、他人の力を借りずに自分の力だけで物事を成し遂げることを意味します。
共助という言葉は、「共助のための確認を定期的に行う」「子どもたちにもできる共助について考えてもらう」などの使い方で、互いに助け合うことを意味します。
公助という言葉は、「公助に費やす予算が増やされる」「自助や共助でも足りない場合は公助を求めるしかない」などの使い方で、個人や地域では解決できない問題を公的機関が支援することを意味します。
自助と共助と公助の使い分け方
共助と公助は他人を助けるという点は共通していますが、相互的か一方的か、もしくは助ける側が周囲の人か自治体かなど、意味が大きく変わります。
また、自助という言葉も、自分を助けるという漢字の意味からもとれるように、自分だけの力でこなすことを意味するため、他に介入をすることもされることも意味しません。
これらが、自助、共助、公助の明確な違いです。
ちなみに、これら三つの言葉と並べられ、共助と似た意味を持つ「互助」(読み方:ごじょ)という言葉があります。
共助と互助が並べて使われている時のこれらの違いは、前者が家族や友人など住民同士の助け合いを意味し、後者が年金や保険など制度化された相互的な助け合いを意味するという点です。
自助の意味
自助とは
自助とは、自分の力だけで事を成し遂げることを意味しています。
表現方法は「自助の精神」「自助協力」「自助努力」
「自助の精神」「自助協力」「自助努力」「自助力」などが、自助を使った一般的な言い回しです。
「自助論」の意味
自助を使った言葉として、「自助論」があります。これは、イギリスの作家であり医者であるサミュエル・スマイルズが1859年に著した、300人以上の欧米人の成功談をまとめた本です。
序文には「天は自ら助くる者を助く」と書かれており、自分自身で努力する人には天が助けてくれ、幸福をもたらしてくれるが、怠惰な人には幸福は訪れないことを読者に伝えました。
自助の対義語
自助の対義語・反対語としては、互いに助け合うことを意味する「互助」があります。
自助の類語
自助の類語・類義語としては、他からの支配や助力を受けずに存在することを意味する「自立」、人の援助を受けないで自分の力で生活することを意味する「自活」、他からの干渉や保護を受けず独立して事を行うことを意味する「自主」などがあります。
自助の自の字を使った別の言葉としては、自分の置かれている状態などをはっきりと知ることを意味する「自覚」、自分で自分の能力や価値などを信じることを意味する「自信」、他とは関係なく自分一人であることを意味する「独自」などがあります。
共助の意味
共助とは
共助とは、互いに助け合うことを意味しています。
表現方法は「共助の精神」「共助の取り組み」「共助の大切さ」
「共助の精神」「共助の取り組み」「共助の大切さ」などが、共助を使った一般的な言い回しです。
「刑事共助条約」の意味
共助を使った言葉として、「刑事共助条約」があります。これは、情報収集や情報交換をする目的で、二か国以上の国の間で合意された条約を指す言葉です。
多くの国々はこの条約がなくとも、共同捜査や緊急開示要請などを行い、相互的な援助を他の国に提供することができます。
共助の類語
共助の類語・類義語としては、対等の立場で協力して共に働くことを意味する「協働」、同じ目的のため一緒に事を行うことを意味する「共同」、力を合わせて事に当たることを意味する「協力」、共同で物事を行うことを意味する「提携」などがあります。
共助の共の字を使った別の言葉としては、他人の意見や感情などにその通りだと感じることを意味する「共感」、二つ以上のものが同時に存在することを意味する「共存」、一つのものを二人以上が共同で持つことを意味する「共有」などがあります。
公助の意味
公助とは
公助とは、公的機関が援助をすることを意味しています。
具体的な内容としては、警察、消防、そして自衛隊などの国が派遣するような支援を指します。
表現方法は「公助の取り組み」「公助に頼る」「公助が互いに連携」
「公助の取り組み」「公助に頼る」「公助が互いに連携」などが、公助を使った一般的な言い回しです。
「公助の限界」の意味
公助を使った言葉として、「公助の限界」があります。これは、震災などのトラブルの後、行政が全ての被災者を迅速に支援することが難しく、行政自体も被害を負ってしまうと機能が麻痺してしまう状態を指す言葉です。
そのため、自助、共助も非常に大切であることが『防災白書』で謳われています。実際に阪神淡路大震災などでは、平常時なら対応できる行政機関も負傷者が多い場合は対応が遅くなってしまうため、近所の人の支援によって助かった人も多くいました。
公助の類語
公助の公の字を使った別の言葉としては、地方公共団体が経営することを意味する「公営」、おおやけに定められた形式を意味する「公式」、国または公共団体の事務を意味する「公務」、地方公共団体が設立し維持することを意味する「公立」などがあります。
自助の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分の力だけで事を成し遂げることを意味する時などが挙げられます。
例文3の「自助努力」とは、他を頼らずに地力を尽くして物事を成し遂げようとすることを意味する表現です。
共助の例文
この言葉がよく使われる場面としては、互いに助け合うことを意味する時などが挙げられます。
例文1の「共助」は、保険などの制度化された助け合いと区別する場合に、地域の人などの人と人との助け合いを意味する「互助」という言葉が使われることがあります。
公助の例文
この言葉がよく使われる場面としては、公的機関が援助をすることを意味する時などが挙げられます。
例文3のように、実際の災害時には公助が麻痺してしまう状態を「公助の限界」と言います。
自助と共助と公助どれを使うか迷った場合は、自分の力だけで成し遂げることを表す場合は「自助」を、互いに助け合うことを表す場合は「共助」を、公的機関が助けることを表す場合は「公助」を使うと覚えておけば間違いありません。