似た意味を持つ「費用」(読み方:ひよう)と「予算」(読み方:よさん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「費用」と「予算」という言葉は、どちらも「何かをするのに必要な支出」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
費用と予算の違い
費用と予算の意味の違い
費用と予算の違いを分かりやすく言うと、費用とは何かをするのに必要な支出を表し、予算とは収入と支出の見積もりを表すという違いです。
費用と予算の使い方の違い
一つ目の費用を使った分かりやすい例としては、「アルバイトをして旅行の費用を捻出する」「多少の費用がかかるのは仕方ない」「発生主義に基づいて費用を計上する」「費用の勘定科目を一覧表にする」などがあります。
二つ目の予算を使った分かりやすい例としては、「来年度の予算を立てる」「予算管理のシステムを導入します」「予算決算及び会計令を確認する」「予算比の計算方法を教えてください」「参院予算委員会で補正予算が可決されました」などがあります。
費用と予算の使い分け方
費用と予算という言葉は、どちらも何かをするのに必要な金額を表し、日常生活からビジネスシーンまで使用されている言葉ですが、意味や使い方には違いがあります。
費用とは、何かを買ったり使ったりすることに必要な金銭を意味します。例えば「旅行の費用」とは、旅行をするために支払うコストのことです。また、ビジネスシーンにおいては「営業費用」「設立費用」のような使い方で、企業が収益を挙げるために費やす金額を表します。
予算とは、何かをするために、前もって必要な費用を見積もることを意味します。日常生活においては「マイホーム購入の予算」のような使い方でコスト面のみを言いますが、ビジネスシーンでの予算は収入と支出の見積もりを指す言葉です。当期中に達成すべき売上目標を「売上予算」と呼びます。
つまり、費用とは何かするのに必要な支出を表しますが、予算とは必要な支出だけでなく収入の見積もりも意味します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
費用と予算の英語表記の違い
費用を英語にすると「cost」「expense」となり、例えば上記の「旅行の費用」を英語にすると「travel expenses」となります。一方、予算を英語にすると「budget」「estimate」となり、例えば上記の「予算を立てる」を英語にすると「make a budget」となります。
費用の意味
費用とは
費用とは、ある事をするのに必要な金銭、また、ある事のために金銭を使うことを意味しています。
その他にも、「企業が収益を挙げるために費やした経済価値」の意味も持っています。
費用の読み方
費用の読み方は「ひよう」です。誤って「ひょう」「ひもち」などと読まないようにしましょう。
費用の使い方
「英語留学の費用は親が払ってくれました」「議員に費用弁償として旅費を支給する」などの文中で使われている費用は、「ある事をするのに必要な金銭、ある事のために金銭を使うこと」の意味で使われています。
一方、「このプロモーション施策は費用対効果が低い」「費用効率性が高い企業に投資したい」「減価償却は費用収益対応の原則に基づいて行われます」などの文中で使われている費用は、「企業が収益を挙げるために費やした経済価値」の意味で使われています。
費用とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。費用の「費」は訓読みで「ついやす」と読み、金や物を使って減らすこと、「用」は訓読みで「もちいる」と読み、使うことを表します。
「費用対効果」の意味
費用を用いた日本語には「費用対効果」があります。費用対効果とは、支出した費用によって得られる成果を意味し、「費用対効果が高い」「費用対効果が低い」「費用対効果が見合わない」などと表現します。「コストパフォーマンス」「コスパ」などと言い換えられる言葉です。
費用の対義語
費用の対義語・反対語としては、事業などによって利益を得ることを意味する「収益」、金銭や物品を他から収め入れて自分の所有とすることを意味する「収入」などがあります。
費用の類語
費用の類語・類義語としては、物事を行うのに必要な費用を意味する「経費」、実際に要する費用を意味する「実費」、主要な用途以外のこまごました費用を意味する「雑費」、商品の生産に必要な費用を意味する「雑費」などがあります。
予算の意味
予算とは
予算とは、ある計画のために、あらかじめ必要な費用を見積もること、また、その金額を意味しています。
その他にも、「国または地方公共団体の一会計年度における歳入・歳出の見積もり」「あらかじめ見積もること、あらかじめ考えておくこと」の意味も持っています。
予算の使い方
「予算案で計画したとおりに実行できていません」「予算書のテンプレートを無料でダウンロードできます」「英語留学の予算として100万円を見積もっています」などの文中で使われている予算は、「ある計画のために、あらかじめ必要な費用を見積もること」の意味で使われています。
一方、「県は予算編成の基本方針を明らかにしました」「参議院予算委員会の名簿をチェックする」の文中で使われている予算は「一会計年度における歳入や歳出の見積もり」の意味で、「予算よりも1時間遅れだ」の文中で使われている予算は「あらかじめ見積もること」の意味で使われています。
予算とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれ意味で用いられているため、文脈により意味を判断する必要があります。予算の「予」は訓読みで「あらかじめ」と読み、物事の始まる前にしておくこと、「算」は訓読みで「かぞえる」と読み、勘定することを表す漢字です。
「予算委員会」の意味
予算を用いた日本語には「予算委員会」があります。予算委員会とは、国会の常任委員会の一つであり、衆参両院に設置され予算案や予算に関する請願・陳情などを審査するものです。委員数は衆議院50名・参議院45名に決められており、各会派の議席数に応じて配分されます。
予算の対義語
予算の対義語・反対語としては、企業が一定期間の財政状態をまとめるために行う作業を意味する「決算」などがあります。
予算の類語
予算の類語・類義語としては、見積もるこを意味する「見積り」、こうなるだろうという予測や見込みを意味する「目算」、数量を推定によって計算することを意味する「推算」、 金額などを計算して決めるこを意味する「算定」、政府などの予算を意味する「バジェット」などがあります。
費用の例文
この言葉がよく使われる場面としては、何かを買ったり何かをすることに必要なお金、企業の営業活動による収益を獲得するために使ったお金、を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「費用効率性」とは、支出した費用に対して、どれだけの効果や利益を得られたかを示す指標を表す言葉です。類義語には、「費用対効果」「コストパフォーマンス」「コスパ」などがあります。
予算の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある計画を行なうために前もって用意した金額や経費、国家または地方公共団体の一会計年度における歳入や歳出に関する見積り、前もって心づもりをしておくことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、予算の慣用的な言い回しには「予算を組む」「予算案」「予算外」などがあります。「予算案」とは、まだ議決を得ていない予算の原案です。「予算外」とは、予算に費目をかかげてないことや、予定していなかったことを意味します。
費用と予算という言葉は、どちらも「何かをするのに必要な金額」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、何かをするのに支払う金額を表現したい時は「費用」を、何かをするのに前もって見積もる金額を表現したい時は「予算」を使うようにしましょう。