【もの】と【こと】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文
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似た意味を持つ「もの」と「こと」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「もの」と「こと」という言葉は、どちらも形式名詞であるという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。



「もの」と「こと」の違い

「もの」と「こと」の違いを分かりやすく言うと、「もの」というのは、目に見える具体的なものを意味していて、「こと」というのは、目に見えない抽象的なことを意味しているという違いです。

「もの」も「こと」も文法上の役割は形式名詞です。日本語の名詞には「お菓子」や「電卓」など、それだけで意味を持つ実質名詞と、「もの」や「こと」、「ところ」や「とき」など、それだけでは意味を持たない形式名詞の二つがあります。

それだけでは具体的な意味を持たない「もの」も「こと」などの形式名詞は、必ず他の言葉と結びついて使われ、当の言葉に意味合いを加えたり、文法上の機能を与えたりします。

例えば「人間というものは、人生で一度くらいは挫折した方がいい」と言われる時の「人間というもの」や、「目に見えることだけが世界の全てじゃないよ」と言われる時の「目に見えること」が、「もの」や「こと」の使われ方です。

この例では、「もの」は個物ないし個体を表現する言葉で、「こと」は状況や動作などを表現する言葉として機能しています。

少し難しく説明すると、「もの」は「具象性」(読み方:ぐしょうせい)を備えた対象を意味し、「こと」は行為や性質、状況などや、思考ないし意識の対象といった抽象的な対象を意味します。

「人間というもの」は、人間が具体的な姿形を持ち、具象性のあるものなので「もの」を使っています。この「もの」を「こと」で置き換えることは出来ません。何故なら、「こと」は具象性を持つものには使えないからです。

それに対して「目に見えること」は「もの」に置き換えて表現することが出来ます。ただしその場合、表現される対象が微妙に変わります。「目に見えること」は抽象的な状況一般を意味しますが、「目に見えるもの」は具体的に目の前にあるものを意味します。

「もの」の意味

ものとは、具体性のある物事を表現する形式名詞を意味しています。同じ「もの」と読む言葉に、人を意味する「者」、ものを意味する「物」がありますが、形式名詞としては「もの」とひらがなで表記します。

「トラ」や「ビル」など、それ自体として意味を持っている実質名詞とは違い、「もの」という形式名詞には単独では具体的な意味がありません。他の言葉と結びついて、ニュアンスを加えるのが形式名詞の役割です。

例えば「染みついた習慣はなかなか変わらないものだ」では、物事の「本質、あるべき姿」という意味で使われています。習慣には色々なものがありますが、そうではなく「習慣一般」を意味するために、「もの」という言葉が使われています。

また「人生とは厳しいものだ」では、話し手の感慨、感嘆という感情が込められています。さらには、「かつてはこの町も活気があったものなんだがなぁ」では、懐かしむ気持ちを込めるために「もの」が使われています。

「もの」に込められる様々な意味合いには、それぞれを分ける厳密な境界線はなく、色々な意味が入り混じっているのが普通です。「人生とは厳しいものだ」には、話し手の感慨が込められていますが、人生の本質や本性を表現してもいます。

「こと」の意味

こととは、思考や意識の対象、状況や動作、性質などの抽象的な物事を意味する形式名詞を意味しています。

具体的な出来事や事情などは「事」と漢字で表記しますが、「天橋立に行ったことがある」のような「こと」は、ひらがなで表記するのが正しく、漢字で書くのは本来は間違いです。

「こと」も「もの」と同じく、他の言葉と結びついて様々なニュアンスを出すために使われる言葉です。

例えば「仕事のことで相談がある」や「出発時刻のことを知らせておかないと」など、「名詞+のこと」という使い方をされる「こと」があります。これは、話題を意味する「こと」です。「仕事について相談がある」などと言い換えることが出来ます。

また、「転職することにした」の「こと」は決意や決心、あるいは問題を解決するために取る重要な行為という意味合いで「こと」が使われています。

また、動作を名詞化するために「こと」が使われる場合はとても多いです。この用法では文法的な役割を与えるために「こと」が使われるので、意味合いが付け加えられることはないです。

例えば「ランニングする」を名詞化すると「ランニングすること」になり、「ランニングすることは健康に良い」などのように使われます。

「こと」と場合によっては置き換えることが出来る言葉に、形式名詞「の」があります。「ランニングすることは健康に良い」は「ランニングするのは健康に良い」と言い換えることが出来ます。ただし、「の」は砕けた言い方です。

また、「の」で置き換えられない場合もあります。例えば「のこと」の「こと」を「の」にすることは出来ません。また「転職することにした」の「こと」も「の」で置き換えることは出来ません。

「もの」の例文

1.自分も年を取ったものだなぁと、しみじみと思う。
2.先生の技術を自分のものにするために、努力をする。
3.友人が面白いと言って見せてくれた動画は、すでに見たことのあるものだった。
4.困っていた時に助けてくれたのは、日頃から仕事を手伝ってあげていた人だった。恩は売っておくものだと思った。
5.戦争というものはこれほど悲惨なのかと感じた。
6.蛙を見せただけであんなに逃げ回るなんて、誰しも苦手なものってあるものだね。
7.ついさっきまでハンカチだったものが、マジシャンの手の中で一瞬にして薔薇の花へと姿を変えた。
8.どこからか美しいメロディーが流れてきて、僕が聞き入っていると、音楽って本当にいいものだよな、と隣りにいた父がしみじみ呟いた。
9.何の変哲もない木材の中から、徐々に仏の姿を掘り出していく様子を見て、これが職人の技というものかと私は感心した。
10.友人に勧められていらないものを思い切って断捨離してみたが身も心も軽くなった。

この言葉がよく使われる場面としては、具体性のある物事を表現したい時などが挙げられます。

例文2や例文3を見ると、「もの」が具体的なものを意味することが分かりやすくなります。例文1と例文4の「もの」は話者の感嘆の念を表現する「もの」ですが、具体性があるからこそ感慨がこもるのだと考えると、使い方が分かりやすくなります。

また例文5のように、「というもの」と使われることが多いのも、形式名詞「もの」の特徴です、「というもの」は本質や本性を表現しています。つまり、あれやこれやの戦争ではなく、「戦争一般」はというのが「戦争というもの」の意味です。

「こと」の例文

1.そうならないように、家事くらいは全般的に身に着けておくことだね。
2.早寝早起きを心掛けることから、生活習慣を改善したいと思う。
3.そういうことを言うから、人の怒りを買うことになるんだ。
4.この絵の中に表現されていることはなにか、絵の前に立ち止まって考えこんだ。
5.今回のようなことにならないよう、今後は注意して下さい。
6.誠に申し訳ございませんが、今回のことはくれぐれも公にしないようにお願いいたします。
7.まさか、あの発言がこの後大変なことになるきっかけだったとは、その時は誰一人想像できなかったのでございます。
8.学校の勉強とは人生においてやりたいことや自分に何ができるかを知るための物差しのようなものである。
9.彼女は今までの人生でまともに女性扱いされたことがなかったので、彼のプロポーズに戸惑いました。
10.表現するということはその人の人となりが如実にあらわれるある意味残酷なものとも言える。

この言葉がよく使われる場面としては、抽象的な物事、特に思考や意識の対象、状況や動作などを表現したい時などが挙げられます。例文3や例文4、例文5を見ると、「こと」が抽象的な物事を意味していることが分かりやすくなります。

例文1と例文2の「こと」は、目的のために取るべき動作という意味で使われている「こと」です。特に例文1は、話し相手が「取るべき行動」から転じて、忠告・助言という意味合いが加わっています。

「こと」の中には、形式名詞「の」で置き換えることが出来るものが存在します。置き換えられた場合でも、「の」にすることで口語調になります。書き言葉では「の」に言い換えることはないようにしましょう。

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