似た意味を持つ「告訴」(読み方:こくそ)と「告発」(読み方:こくはつ)と「告白」(読み方:こくはく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「告訴」と「告発」と「告白」という言葉は、相手に対して申し述べることという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
告訴と告発と告白の違い
告訴と告発と告白の意味の違い
告訴と告発と告白の違いを分かりやすく言うと、告訴は被害者やその関係者が申告する時に使い、告発は被害者やその関係者と犯人以外が申告する時に使い、告白は犯人が申告する時に使うという違いです。
告訴と告発と告白の使い方の違い
告訴という言葉は、「口頭による告訴は検察官などによる調書の作成が必要とされる」「告訴権者としての資格を持っているらしい」などの使い方で、被害者やその関係者が犯罪の事実を申告することを意味します。
告発という言葉は、「親告罪の告発はすることができない」「内部告発によってその企業の不正が明らかになった」などの使い方で、被害者やその関係者と犯人以外が犯罪の事実を申告することを意味します。
告白という言葉は、「歯の浮くような告白セリフを聞いてしまった」「ついに犯人は罪の告白をしたらしい」などの使い方で、犯人が申告するなど、隠していたものを打ち明けることを意味します。
告訴と告発と告白の使い分け方
告訴と告発は、警察などの捜査機関に対して犯罪の事実を申告して、捜査から裁判までの段階を踏むことを意味しますが、前者は被害者やその親族などの関係者が申告する場合に、後者は事件に関係していない第三者が申告する場合に使うことができます。
名誉に関する被害や、家族に関する被害、私権に関する被害などの親告罪は、告訴がなされない限り刑事事件として起訴できないため、告発して訴えるということができません。
一方の告白は、犯人が隠していた罪などを自ら明らかにすることを表すため、告訴や告発とは異なり、罪に問われる側によるものを指します。
ただし、告白という言葉は、隠していた内容が罪に問われるものか否かは関係なく、秘密にしていたことを打ち明けることを意味するため、被害者の心中を打ち明ける場合にも使うことができ、日常生活においても使うことが出来るのも大きな違いです。
これらが、告訴、告発、告白の明確な違いです。
告訴の意味
告訴とは
告訴とは、被害者などが犯罪事実を申告して訴追を求めることを意味しています。
告訴を使った言葉として、「告訴権者」「虚偽告訴罪」があります。
「告訴権者」の意味
一つ目の「告訴権者」とは、告訴をすることが出来る人を指しますが、犯罪被害者はもちろん、親権者や後見人、また被害者が亡くなっている場合などには親族が告訴権者に該当し、未成年者も告訴を行うことができます。
また、一個人だけではなく、法人などの団体も含まれ、代表者である代表取締役が告訴を行うことができますが、複数人に権利がある場合もあります。
「虚偽告訴罪」の意味
二つ目の「虚偽告訴罪」とは、他人に刑罰や懲戒を受けさせる目的で、嘘の被害を申告する罪を指す言葉です。警察に対しての虚偽申告だけでなく、役所に対する虚偽申告も含まれます。
人に処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴や告発などの申告をした者は3か月以上10念以下の懲役に処されますが、処分が行われる前に自白をした場合は罪が軽減、もしくは免除されることもあります。
表現方法は「告訴状」「刑事告訴」「告訴された人」
「告訴状」「刑事告訴」「告訴された人」などが、告訴を使った一般的な言い回しです。
告訴の対義語
告訴の対義語・反対語としては、その人の利益になるように主張して助けることを意味する「弁護」があります。
告訴の類語
告訴の類語・類義語としては、裁判を申し立てることを意味する「訴訟」、罪を問いただすことを意味する「問罪」、裁判所などに訴え出ることを意味する「提訴」、犯罪や不正をはっきりさせて責任をとるように求めることを意味する「弾劾」などがあります。
告発の意味
告発とは
告発とは、悪事や不正を明らかにして、世間に知らせることを意味しています。
表現方法は「告発したい」「告発する」「告発者」
「告発したい」「告発する」「告発者」などが、告発を使った一般的な言い回しです。
告発を使った言葉として、「内部告発」「告発状」があります。
「内部告発」の意味
一つ目の「内部告発」とは、組織内の人間がその組織で行われている不正や違法な行為を監督機関や報道機関などの外部に知らせることを意味します。
三菱自動車のリコール隠しや、加工食品を販売する企業による牛肉偽装事件、船場吉兆による食品偽装などが、過去にこの内部告発によって明らかにされました。
「告発状」の意味
二つ目の「告発状」とは、犯罪に遭った被害者や犯人以外の第三者が、捜査を行う機関に対して犯罪事実を申告して、犯罪者の処罰を求めるための書面を指す言葉です。
これに似たものに被害届がありますが、犯人に対する処罰を求める意思表示は含まれていません。そのため、告発状は捜査義務が生じますが、被害届には義務が生じません。
告発の類語
告発の類語・類義語としては、公訴を提起することを意味する「訴追」、事件を急いで目上の人に報告することを意味する「注進」、情報などを告げ知らせることを意味する「通報」、他人の行状などをひそかに告げ知らせることを意味する「密告」があります。
告白の意味
告白とは
告白とは、秘密にしていたことや心の中で思っていたことをありのまま打ち明けることを意味しています。
また、キリスト教において、自身の信仰を公に表明することや、自身の罪を神の前で打ち明けて罪の許しを求めることも意味します。
「信仰告白」の意味
告白を使った言葉として、「信仰告白」があります。これは、キリスト教やイスラム教などで、神に対して自身の信仰を明白な言葉で言い表すことを意味する言葉です。
聖書に記された使徒の教え、異端や誤りを確認して教会から追放するために作成されました。
表現方法は「告白のタイミング」「告白のセリフ」「告白の仕方」
その他、告白を使った表現として、「告白のタイミング」「告白のセリフ」「告白の仕方」「告白の断り方」などがありますが、これらは全て恋愛感情を相手に伝えることとして使われているため、罪の意識や神に対する信仰の主張などにこの使い方はしません。
告白の対義語
告白の対義語・反対語としては、何も言わないで黙っていることを意味する「黙秘」があります。
告白の類語
告白の類語・類義語としては、隠していた事実や自分の犯した罪を申し述べることを意味する「白状」、神仏の前で罪悪を告白して悔い改めることを意味する「懺悔」、自分の秘密や犯した罪などを包み隠さずに言うことを意味する「自白」などがあります。
告訴の例文
この言葉がよく使われる場面としては、被害者などが犯罪事実を申告して訴追を求めることを意味する時などが挙げられます。
例文1の「告訴状」とは、捜査機関に対し、犯罪に遭った被害者本人が申告するための書類を指します。
告発の例文
この言葉がよく使われる場面としては、悪事や不正を明らかにし、世間に知らせることを意味する時などが挙げられます。
例文3のように、実際に警察に捜査を求めるようなことではなく、悪事や不正を明らかにして、世間に知らせる行為を指す言葉としても使われることがあります。
告白の例文
この言葉がよく使われる場面としては、秘密にしていたことや心の中で思っていたことを打ち明けることを意味する時などが挙げられます。
今日では例文1のように、好意を寄せている相手に対して愛を伝えることを指すことが多いですが、例文2や例文3のように罪や信仰の告白にも使われる言葉です。
告訴と告発と告白どれを使うか迷った場合は、被害者やその関係者が申告する場合は「告訴」を、被害者やその関係者と犯人以外が申告する場合は「告発」を、犯人が申告する場合は「告白」を使うと覚えておけば間違いありません。