【改造】と【改良】と【改善】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「改造」(読み方:かいぞう)と「改良」(読み方:かいりょう)と「改善」(読み方:かいぜん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「改造」と「改良」と「改善」という言葉は、どれも物に手を加えて姿形や性質を変えるという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




改造と改良と改善の違い

改造と改良と改善の意味の違い

改造と改良と改善の違いを分かりやすく言うと、改造とは物の構造を作り変えることを意味していて、改良とは手段を作り変えて良くすることを意味していて、改善とは結果を良くするという違いです。

改造と改良と改善の使い分け方

三つの言葉の違いを考える時にベースになるのは改造という言葉です。改良と改善という言葉は、改造の派生語だと考えてみて下さい。

一つめの改造というのは、物事の構造を作り変えるという意味です。改造の造という字は、「つくり」や「構造」を意味しています。造りを改めるのが、改造という言葉です。

例えばパソコンの機能を増やしたり変化させたりするために手を加えることは、改造です。また「内閣改造」という言葉がしばしばニュースで流れるように、物理的な物だけではなく、組織などに対しても改造という言葉を使うことが出来ます。

改造は、もちろん物事を良くするために行うものですが、改造という言葉そのものには、良いや悪いという意味合いは含まれていません。作り変えて良くするという意味合いを持つのは、改良と改善です。

二つ目の改良というのは、手段を作り変えて良くすることを意味しています。構造の一部に手を加えて、働きを良くすることが改良です。

例えば農作物の「品種改良」はよく耳にする言葉です。味を良くしたり、収穫量を増やしたり、収穫期間伸ばしたり、害虫への耐性を付けるなど、「良くする」ために構造に手を加えることを「改良」と言います。

これら「改良」の結果として、消費者の満足度が高まることになります。その意味で、品種改良は「手段」です。

三つ目の改善というのは、結果を良くすることです。例えば「生活習慣の改善」という言葉はよく聞きますが、「生活習慣の改良」とはあまり聞きません。逆に、「プラモデルの改造/改良」とは言いますが、「プラモデルの改善」とは言いません。

「生活習慣の改善」というのは、具体的な手段を講じた後に来る「結果」です。例えば運動量を増やすとか、食事は腹八分目にするとか、そういった手段によって達成されるべき「目標」です。

改善とは、改造や改良とは異なり、機械的な構造的に手を加えることではありません。むしろ、何かに手を加えた結果、物事が全体として良くなることが改善と表現されます。

改造の意味

改造とは

改造とは、物事の構造に手を加えて、それに変化を与えることを意味しています。改造という言葉は、文字通り「造りを改める」ことで、構造のある物事を作り変えることを意味しています。

改造の使い方

構造とは、物事を成り立たせている様々な部分の組み方のことを意味する言葉です。例えば学校には理事長がいて、その下に校長先生がいて、そのまた下に教頭先生がいて・・・というのは「学校の構造」です。改造という言葉は物理的な物以外にも使うことが出来ます。

改造という言葉には、構造全体の装いを改めるという意味合いがあり、部分を細かく作り変えるという意味では使われません。

例えば、校長が交代した程度では、改造という事は出来ません。逆に、人の交代がなかったとしても、組織運営を見直し大きく変える場合には、改造と呼ぶことが出来ます。

また、「内閣改造」という言葉は内閣を作り変えることですが、大臣が一人や二人交代するのではなく、通常は半数の大臣が変更します。

さらに、戦前には『改造』という思想雑誌がありました。「社会を改造する」ことを意味するタイトルでした。この場合も、社会の部分部分ではなく、全体として作り改めることが目指されていました。

表現方法は「改造する」「改造した」「改造された」

「改造する」「改造した」「改造された」などが、改造を使った一般的な言い回しです。

改造の対義語

改造の対義語・反対語としては、変化せずに一定することを意味する「固定」、物事の正常な状態を保ったり、それを回復しようとすることを意味する「保守」、物事の状態をそのままに保つことを意味する「維持」などがあります。

改造の類語

改造の類語・類義語としては、予定などを変えることを意味する「変更」、物事に手を加えて変え、それを改めることを意味する「変改」、組織を改造することを意味する「改組」などがあります。

改造の造の字を使った別の言葉としては、建物やタンカーなどの規模の大きいものを作ることを意味する「建造」、急いだり焦ったりして作ることを意味する「急造」、溶かした金属を鋳型に流して物を作ることを意味する「鋳造」などがあります。

改良の意味

改良とは

改良とは、手段を良くすることや、構造の一部分を良くすることを意味しています。

改良の使い方

手段を良くすることが改良で、その先にある結果が良くなることが改善です。

例えば「地盤改良工事」という言葉があります。建物の安全性を高めるために、それを支える地盤を強化する工事が地盤改良工事です。住環境の安全性が向上するという「結果」のために、地盤を強化するという「手段」が講じられるわけです。

また、改良という言葉では、改造と比べて、全体の装いを改めるという意味合いは少なくなります。例えば「品種改良」というのは、作物を全面的に変えることではなく、ある目的のために一部を変えることです。

表現方法は「改良する」「改良された」「改良を加える」

「改良する」「改良された」「改良を加える」などが、改良を使った一般的な言い回しです。

改良の類語

改良の類語・類義語としては、何度も直して立派に仕上げることを意味する「練り上げ」、磨き上げることを意味する「ブラッシュアップ」、良い方向に向かうことを意味する「向上」などがあります。

改良の良の字を使った言葉としては、品質が良いことを意味する「良質」、作物の良い品種を意味する「良種」、好ましい状況であることを意味する「良好」、腕前の優れた職人や芸術家を意味する「良工」などがあります。

改善の意味

改善とは

改善とは、結果を良くすることや、全体を良くすることを意味しています。

改善の使い方

手段を良くすることである「改良」に対して、「改善」は結果を良くすること・良くなることを意味する言葉です。

「地盤改良工事」という例であれば、地盤を改良することで、住環境や安全性が「改善」されます。また、「雰囲気の改善」という言葉もよく使われますが、それは結果が良くなることであり、そのためには何らかの手段が必要になります。

住環境や雰囲気の「改善」という使われ方から分かるように、改善という言葉が示す対象は、全体的な物事であることが多いです。「生活習慣の改善」の場合にも、生活全体が良くすることが表現されています。

この「全体的」という点に関しては、改良は改造と意味が通じています。ただし、改造が指し示す対象は、それ自体が構造を備えているもので、改善の対象は、構造化されていないものです。

構造とは、それを成り立たせる部分がお互いに明確に区別されるものです。機械や建造物、組織などは構造を持ちますが、住環境や生活習慣は構造を持ちません。住環境や生活習慣は、それを成り立たせる様々な要素の間に、明確な区別を設けることが出来ないからです。

表現方法は「改善を図る」「改善を施す」「改善を促す」

「改善を図る」「改善を施す」「改善を促す」などが、改善を使った一般的な言い回しです。

改善の類語

改善の類語・類義語としては、不充分な点を正すことを意味する「修正」、欠点を正常な状態に直すことを意味する「矯正」、弱い部分を補って強くすることを意味する「補強」などがあります。

改善の善の字を使った言葉としては、物事や状況などに対して適切に振舞い処置をすることを意味する「善処」、道義や道徳にかなった行動を意味する「善行」、正しいのは自分だけだと考えることを意味する「独善」などがあります。

改造の例文

1.改造内閣の顔ぶれを、野党が批判しているとニュースで流れていた。
2.改造車を作りたいので、違法にならないよう、道路交通法などを調べることにした。
3.ガレージキットを作るに際して、プラモデルを改造した。

この言葉がよく使われる場面としては、構造を持つものの造りに手を加え、変更することを表現したい時などが挙げられます。改造される対象は必ず構造を持ったものですが、構造では、部分部分が相互に区別されています。

相互に区別された様々な部分から成り立つ「構造」を、手を加えてガラリと変えることが改造です。この言葉を使う時には、どんな部分から成り立っている構造なのか、また全体的に変化が見られるかを意識してみて下さい。

改良の例文

1.既存の商品にはまだ改良の余地があるから、次の賞品ではそこを直していこう。
2.いままで使っていた家電製品の徴しが悪くなってきたので、新しいものを探していたら、改良版が出ていることを知った。
3.試作品第一号から五年。改良に改良を重ねて、やっと完成に漕ぎつけた。

この言葉がよく使われる場面としては、手段を良くすることや、構造の全体ではなく一部分に手を加えて良くすることを表現したい時などが挙げられます。

「全体ではなく一部が良くなる」という意味が分かりやすいのは、例文1と例文3です。例文3では、改良を積み重ねた結果、試作品とは全く違った物になっている可能性もありますが、一つの改良で全体が変わっているわけではありません。

改善の例文

1.業務内容を改善するために会議を開いたが、持ち寄られた意見が多すぎて、どこから手を付ければいいのか誰にも分からなかった。
2.知り合いから、別の工場での業務改善の事例が示された。
3.何度も改善提案をしているのだが、一向に取り合ってもらえない。

この言葉がよく使われる場面としては、結果を良くすることや、全体として良くすることを表現したい時などが挙げられます。

手段を良くする「改良」との使い分けは、対比がはっきりしていて分かりやすいですが、構造全体の装いを変えることを意味する「改造」との使い分けは難しいです。

イメージとしては、それぞれ明確に区別された部分からなる構造が改まることは「改造」で、部分部分に区別はあるが、境界線があいまいな物事が全体として改まることには「改善」を使います。

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