似た意味を持つ「根性論」(読み方:こんじょうろん)と「精神論」(読み方:せいしんろん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「根性論」と「精神論」という言葉は、どちらも精神力で物事を成し遂げようとする考えを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
根性論と精神論の違い
根性論と精神論の意味の違い
根性論と精神論の違いを分かりやすく言うと、根性論とは根性のみに絞った考え、精神論とは根性だけでなく心の働き全般の考えという違いです。
根性論と精神論の使い方の違い
一つ目の根性論を使った分かりやすい例としては、「今どきの子に根性論は通用しない」「コーチが根性論を振りかざす」「東京オリンピック以降スポーツ根性論が広まった」「状況を無視した根性論に批判が殺到した」などがあります。
二つ目の精神論を使った分かりやすい例としては、「精神論に基づいた法則は時代遅れだ」「無能な上司ほど精神論に頼っている」「精神論のメリットもあります」「心理学の観点から精神論を考察する」などがあります。
根性論と精神論の使い分け方
根性論と精神論という言葉は、どちらも論理的な考えではなく、意識や気力を重視する考え方を表します。二つの言葉は、客観的には難しい課題や状況を気持ちで乗り越えようとする場面で用いられていますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
根性論とは、強い精神力があれば何事も成し遂げられるとする考え方であり、精神的なものの中でも根性のみに絞った表現です。物事をやり通すたくましい精神があれば、困難な問題を解決できたり、高い目標を達成できるという考えを表します。
精神論とは、気持ちの持ち方次第で物事は思いどおりなる考え方であり、根性論より広い意味を持つ表現です。精神とは、根性だけでなく心の働き全般を表します。具体的には「試合で負けたけど気持ちでは負けていない」「最後まで希望を捨てない」など、精神を強調した考えのことです。
根性論と精神論を比べると、精神論の方が広い意味を持ち、幅広く使える言葉です。また、根性論は精神論の一つであると言えるでしょう。
根性論と精神論の英語表記の違い
根性論を英語にすると「die-hard spirit」「never-give-up spirit」となり、例えば上記の「根性論は通用しない」を英語にすると「be proof against die-hard spirit」となります。
一方、精神論を英語にすると「willpower」となり、例えば上記の「精神論に基づいた法則」を英語にすると「theory based on willpower」となります。
根性論の意味
根性論とは
根性論とは、強い精神力があれば、何事も成し遂げられるとする考え方を意味しています。
表現方法は「根性論は時代遅れ」「根性論が嫌い」「根性論を振りかざす」
「根性論は時代遅れ」「根性論が嫌い」「根性論を振りかざす」などが、根性論を使った一般的な言い回しです。
根性論の使い方
根性論を使った分かりやすい例としては、「根性論は時代遅れな考えだ」「根性論は嫌いだけど諦めない気持ちは必要だ」「スポーツにおける根性論の弊害を考える」「オリンピック選手が根性論を否定する」などがあります。
その他にも、「パワハラ上司は根性論ばかり言う」「根性論は典型的な老害の一つだ」「根性論に対する海外の反応は冷たい」「根性論を語る人にはバカが多い」「私は根性論と精神論が大嫌いです」などがあります。
根性論という言葉の「根性」とは、苦しみや困難に耐え、事を成し遂げようとする強い気力を意味します。「根」は力があって強い働き、「性」は性質を表します。根性論とは、物質的には乗り越えられない限界も、根性次第で乗り越えられるという考えを意味する言葉です。
「スポーツにおける根性論」の意味
上記の例文にある「スポーツにおける根性論」とは、例えばトレーニングおいて、スポーツ科学の視点から効率的な練習をするのではなく、質ではなく量を重視するような考えです。また、レベルの高い相手と戦う時に、緻密な作戦を立てずに気合いや気持ちで勝とうする考えのことです。
根性論の対義語
根性論の対義語・反対語としては、実践に対応する純粋な論理的知識を意味する「理論」、考え方や行動の仕方が論理的実証的で系統立っているさまを意味する「科学的」などがあります。
根性論の類語
根性論の類語・類義語としては、自分の信念を守って障害に屈服しない強い意気を意味する「気骨」、事にあたって恐れたり尻ごみしたりしない精神力を意味する「胆力」、困難にくじけない強い意志や気性を意味する「気骨」などがあります。
精神論の意味
精神論とは
精神論とは、精神力を集中的に駆使すれば、物質的諸事象を統御できるとする考え方を意味しています。
表現方法は「精神論を語る人」「精神論はうんざり」「精神論の押し付け」
「精神論を語る人」「精神論はうんざり」「精神論の押し付け」などが、精神論を使った一般的な言い回しです。
精神論の使い方
精神論を使った分かりやすい例としては、「時代錯誤な精神論の押し付けはタブーです」「もはや精神論のスポーツ指導は古い」「根拠のない精神論が大嫌いだ」「私は精神論が嫌いではない」などがあります。
その他にも、「精神論や感情論で片付けられない問題だ」「私の職場には精神論者が沢山います」「日本は精神論だけで戦争をした」「すぐに精神論を持ち出す人は無能だと思う」などがあります。
精神論の言い換え語は精神主義
精神論は、精神主義とも言います。精神論という言葉の「精神」とは、人間の心や、目的を達成しようとする心の働きを意味します。精神論とは、物質的なものよりも精神的なものに重きを置く立場の考えのことです。俗に、精神を強調しすぎて現実離れする考え方を揶揄して言うこともあります。
精神論の対義語
精神論の対義語・反対語としては、精神的なものより物質的なものを第一義とする考え方を意味する「物質主義」、論理にかなっているさまやきちんと筋道を立てて考えるさまを意味する「論理的」などがあります。
精神論の類語
精神論の類語・類義語としては、何かをやり抜こうとする意志の力を意味する「精神力」、がんばる気力や根性を意味する「ガッツ」、何かを行おうとする精神力や気持ちの張りを意味する「気力」などがあります。
根性論の例文
この言葉がよく使われる場面としては、強い精神力があれば、何事も成し遂げられるとする考え方を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「根性論を振りかざす」とは、根性論を掲げるさまを意味します。この文では、一生懸命に取り組むことを正義として、無茶な業務量や解決するのが難しい問題をやらせようとしていることを表しています。
精神論の例文
この言葉がよく使われる場面としては、 精神力を集中的に駆使すれば、物質的諸事象を統御できるとする考え方を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「精神論の押し付け」とは、精神論を無理に受け入れさせようとすることを意味します。この文では、何かをやり抜こうとする精神力で、無茶な目標や業務量を達成させようとする雰囲気があることを表しています。
根性論と精神論という言葉は、どちらも精神力で物事を成し遂げようとする考えを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、諦めない気持ちで物事を成し遂げようとする考えを表現したい時は「根性論」を、気持ちで物事をコントロールする考えを表現したい時は「精神論」を使うようにしましょう。