【水掛け論】と【押し問答】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「水掛け論」(読み方:みずかけろん)と「押し問答」(読み方:おしもんどう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「水掛け論」と「押し問答」という言葉は、どちらも勝敗が決まらない言い争いのことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「水掛け論」と「押し問答」の違い

「水掛け論」と「押し問答」の意味の違い

「水掛け論」と「押し問答」の違いを分かりやすく言うと、「水掛け論」とは解決の糸口が全くみえない、「押し問答」とは少しながら解決の糸口がみえるという違いです。

「水掛け論」と「押し問答」の使い方の違い

一つ目の「水掛け論」を使った分かりやすい例としては、「この議論は水掛け論なので解決することはないだろう」「約束をしたしてないで水掛け論を繰り返す」「水掛け論ほど時間の無駄なことはありません」「水掛け論は辞めよう」などがあります。

二つ目の「押し問答」を使った分かりやすい例としては、「渡したと受け取らないで押し問答を繰り返す」「いつまでも押し問答を続けているわけにはいきません」「彼との間に妙な押し問答が始まりました」「押し問答の末決着が付きました」などがあります。

「水掛け論」と「押し問答」の使い分け方

「水掛け論」と「押し問答」はどちらも勝敗が決まらない言い争いのことを意味する言葉ですが、厳密な意味や使い方は違うので、間違えないように注意が必要です。

「水掛け論」は勝敗が決まらない言い争いで解決の糸口が全くみえないのですが、「押し問答」は勝敗が決まらない言い争で少しながら解決の糸口がみえているというのが一番の違いになります。

「水掛け論」と「押し問答」の英語表記の違い

「水掛け論」を英語にすると「endless argument」「fruitless argument」「fruitless dispute」となり、例えば上記の「水掛け論は辞めよう」を英語にすると「Let’s stop this fruitless argument」となります。

一方、「押し問答」を英語にすると「arguing back and forth」「bandy words」となり、例えば上記の「押し問答の末決着が付きました」を英語にすると「After a lot of arguing back and forth, they reached an agreement」となります。

「水掛け論」の意味

「水掛け論」とは

「水掛け論」とは、勝敗の決め手のない論争のことを意味しています。その他にも、両者が互いに自説にこだわっていつまでも争うことの意味も持っています。

「水掛け論」の使い方

「水掛け論」を使った分かりやすい例としては、「言った言わないの水掛け論はくだらないです」「嘘だと指摘してもただの水掛け論になるだけだ」「議論しても結局水掛け論で終わるのが落ちだ」「ここで騒いだところで水掛け論になるだけです」などがあります。

「水掛け論」は勝敗の決め手のない論争のことや者が互いに自説にこだわっていつまでも争うことを意味する言葉です。

「水掛け論」が起こる場所といて男女や友人関係に多いのは間違いないですが、それだけではなく、ビジネスシーンや国会などの政治シーンなどでも頻繁に行われています。

「水掛け論」の由来

「水掛け論」の由来は、狂言の有名な曲の「水掛聟」(読み方:みずかけむこ)です。

水掛聟は田畑が隣合わせの二人が、相手の田畑から水を引こうとして口論に発展し、いつまでも言い争ったあとに相手の顔に水を掛け合いますがいつまでも終わりません。それがエスカレートしていき、最終的には殴り合いの喧嘩になったと言われています。

これが転じて、水の掛け合いのような勝敗が決まらない論争のことを「水掛け論」と言うようになりました。

「水掛け論」の類語

「水掛け論」の類語・類義語としては、互いに同じようなことをいつまでも繰り返すだけで決着がつかないことを意味する「いたちごっこ」、同じようなことが何度も繰り返され進行しないことを意味する「堂々巡り」などがあります。

「押し問答」の意味

「押し問答」とは

「押し問答」とは、互いに自分の見解を主張してあとに引かず言い争うことを意味しています。

表現方法は「押し問答をとる」「押し問答になる」「押し問答の末」

「押し問答をとる」「押し問答になる」「押し問答の末」などが、「押し問答」を使った一般的な言い回しになります。

「押し問答」の使い方

「押し問答」を使った分かりやすい例としては、「言った言わないの押し問答を繰り返す」「意味もなく押し問答を繰り広げる」「押し問答を続けても状況は一向に変わりません」「彼女としばらく押し問答を繰り返す」などがあります。

「押し問答」は互いに自分の見解を主張してあとに引かず言い争うことを意味しています。押し問答は、「やった、やらない」「言った、言わない」「約束した、約束していない」などの論争においてよく使われています。

「押し問答」を使う上で注意しなければならないのは、相手を罵倒する意味で使う言葉ではないということです。あくまでも互いの主張を曲げずに論争する場合に使います。

「押し問答」の由来

「押し問答」の由来は、一説によると「問答法」や「ソクラテス式問答法」と言われていますが、明確な由来は現在も分かっていません。

「押し問答」の類語

「押し問答」の類語・類義語としては、互いの主張や意見などがどこまでいっても妥協点の見いだせない状態のことを意味する「平行線」、物事に決着がつかないことを意味する「埒が明かない」などがあります。

「水掛け論」の例文

1.やった、やらないや言った、言わないの水掛け論は本当にくだらないと思う。今すぎ辞めるべきだです。
2.クレームの対応等において水掛け論を避けるために、裁判の証拠になるよう秘密録音をする。
3.水掛け論で時間を浪費しないために、誠意をもって対応することにした。
4.この国の政治家たちはいつも水掛け論ばかりしていて、国民のことをきちんと考えてくれているか疑問です。
5.水掛け論になることは目に見えているから、動かぬ証拠を見つけようとしている。
6.部下の間で仕事の引き継ぎを巡り、やったやらないの水掛け論なっていたので、上司としてまず両者の話を聞くことにした。
7.予算委員会では野党の議員は厳しく質問をするも、それを総理大臣は真っ向から否定して、しばらくの間水掛け論が続いていた。
8.討論番組で不都合なことを指摘された評論家の男はあえてもめるようなことを言い、水掛け論に持ち込んでうやむやにしようとしていた。
9.わたしは外注業者の間でしっかり文書で取り決めをしなかったため、あとになって言った言わないの水掛け論に発展してしまったのだ。
10.わたしはここで憶測だけで意見を交わしても水掛け論になるだけだと思ったので、あえて何も言わずに相手の話を黙って聞いていた。

この言葉がよく使われる場面としては、勝敗の決め手のない論争のことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文のように、「水掛け論」は様々な場面で使うことができる言葉です。

「押し問答」の例文

1.まぁ何にしても、こんなとこで押し問答をしてても始まりません。
2.かれこれ押し問答が2時間以上も続いたため、社内は険悪なムードに包まれました。
3.一刻を争う深刻な状況なので、こんなところで押し問答している場合ではありません。
4.近所の居酒屋に行くと、いつも中年のおじさんが押し問答を繰り広げています。
5.彼らの押し問答を聞いてるうちに、無性に腹が立ってきました。
6.日米の自由貿易協定の交渉は、お互いの主張を繰り返すばかりで押し問答が繰り広げられていたが、はたしてどう決着するだろうね。
7.立てこもった犯人と警察官の間でしばらく押し問答をしていたが、このまま犯人を興奮させるのは危険として警察側は一度引き下がっていた。
8.今後の会社の経営を左右する重要な会議では、経営者と幹部たちの押し問答の末、事業を売却して市場を撤退することに決まった。
9.親戚のおばさんがご祝儀を渡そうとして母親との間でお金を受け取る受け取らないの押し問答をしていたが、これは一種の儀式であり、最終的には受け取って終わるのだ。
10.商品に理不尽なクレームをつけるお客さんと返品するしないで30分の押し問答が続いた末、店長まで出てきて今回だけは特別に返品に応じるということで落ち着いた。

この言葉がよく使われる場面としては、互いに自分の見解を主張してあとに引かず言い争うことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文のように、「押し問答」は様々な場面で使うことができる言葉です。

「水掛け論」と「押し問答」はどちらも勝敗が決まらない言い争いのことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、解決の糸口が全くみえない時は「水掛け論」を、少しながら解決の糸口がみえる時は「押し問答」を使うと覚えておきましょう。

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