似た意味を持つ「事実無根」(読み方:じじつむこん)と「事実誤認」(読み方:じじつごにん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「事実無根」と「事実誤認」という言葉は、どちらも事実とは違うことを表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
事実無根と事実誤認の違い
事実無根と事実誤認の意味の違い
事実無根と事実誤認の違いを分かりやすく言うと、事実無根とは事実が全くないこと、事実誤認とは事実を誤って認識することという違いです。
事実無根と事実誤認の使い方の違い
一つ目の事実無根を使った分かりやすい例としては、「事実無根の噂話に振り回されてしまった」「でたらめな内容で構成された事実無根の記事だった」「事実無根の不貞の疑いで慰謝料請求される」「事実無根の悪口に対処したい」などがあります。
二つ目の事実誤認を使った分かりやすい例としては、「その論述には多くの事実誤認があった」「事実誤認を誘導する説明だった」「エステの広告には事実誤認を招く表現が多い」「事実誤認を防ぐための法律です」などがあります。
事実無根と事実誤認の使い分け方
事実無根と事実誤認という言葉は、どちらも事実と異なっていることを表し、政治家や芸能人の記者会見などでよく使われていますが、意味や使い方には違いがあります。
事実無根とは、そのような事実が一切ないことを意味します。根も葉もないような話に対して使われる言葉です。例えば、芸能人が異性タレントと二人で食事をしたという事実もないのに、不倫していると報道された場合、事実無根と表現することが出来ます。
事実誤認とは、事実を誤って認識することを意味します。ある出来事に対して、その目的や意図などを誤って理解された場合に使われる言葉です。例えば、芸能人が全く恋愛感情のない異性タレントと二人で食事をした事実を不倫の仲だと報道された場合、事実誤認と表現することが出来ます。
事実無根と事実誤認の英語表記の違い
事実無根を英語にすると「groundless」「unfounded」となり、例えば上記の「事実無根の噂」を英語にすると「rumor of groundless」となります。
一方、事実誤認を英語にすると「mistake of fact」「errors in finding facts」となり、例えば上記の「多くの事実誤認」を英語にすると「many mistakes of fact」となります。
事実無根の意味
事実無根とは
事実無根とは、根拠となる事実が全くないこと、事実に基づいていないことを意味しています。
表現方法は「事実無根を訴える」「全くの事実無根」「事実無根の噂」
「事実無根を訴える」「全くの事実無根」「事実無根の噂」などが、事実無根を使った一般的な言い回しです。
事実無根の使い方
事実無根を使った分かりやすい例としては、「事実無根の罪で訴えられた」「事実無根の悪評を言いふらされ名誉棄損で訴える」「事実無根の罵声で精神的苦痛をあびた」「事実無根の事を言われた場合どうしますか」などがあります。
その他にも、「事実無根の噂を流されて心を痛めている」「事実無根の誹謗中傷に苛まれる」「事実無根の不倫の疑いを弁護士に相談する」「事実無根の請求は詐欺かもしれません」「事実無根の内容証明が届いた」などがあります。
事実無根とは、事実であるという根拠がないことであり、根も葉もないことを意味します。「事実」と「無根」という二つの言葉で構成された四字熟語であり、「無根」とは根拠がないさまを表します。作り話をでっち上げられたり、あらぬ濡れ衣を着せられた時に使われる言葉です。
「事実無根の悪評」の意味
上記の例文にある「事実無根の悪評」とは、身に覚えのない悪事を働いたとして悪い評判がたったり、根も葉もない噂で批判されたりすることを表します。「徒名」「虚名」(読み方:あだな)と言い換えることができます。
事実無根の対義語
事実無根の対義語・反対語としては、うそ偽りのないことや本当のことを意味する「真実」、偽りや見せかけでなく実際にそうであることを意味する「本当」、物事のあるがままの状態を意味する「実際」などがあります。
事実無根の類語
事実無根の類語・類義語としては、事実がないことや実質がないことを意味する「無実」、いい加減なことや根拠がないことを意味する「でたらめ」、根拠のないうわさや無実の浮き名を意味する「濡れ衣」、罪がないのに罰せられることや無実の罪を意味する「冤罪」などがあります。
事実誤認の意味
事実誤認とは
事実誤認とは、事実を誤って認識することを意味しています。
事実誤認の使い方
事実誤認を使った分かりやすい例としては、「事実誤認の恐れのある広告だ」「報道は事実誤認だった」「事実誤認を誘導するような画像だ」「事実誤認を伴う契約だった」「控訴理由に原判決の事実誤認を挙げる」などがあります。
その他にも、「事実誤認は上告理由になりますか」「事実誤認での契約を破棄したい」「事実誤認などにより裁量権を逸脱する」「明確な事実誤認だと反論する」「事実誤認を招く表現は法律で規制されている」などがあります。
事実誤認という言葉の「誤認」とは、誤ってある物を他の物として認めることを表します。事実誤認とは、物事を間違えて実際とは異なる内容で理解することを意味する言葉です。実際に起こった出来事ではあるが、その意図や目的の捉え方が違う場合に使われる表現です。
事実誤認の裁判での扱い
刑事訴訟法第411条では、刑事裁判において、判決に影響を及ぼすべき重大な事実誤認がある場合、上告裁判所は原判決を破棄することが明文化されています。控訴審で事実誤認が認められると、量刑が軽くなったり原判決が破棄されることがあります。
事実誤認の対義語
事実誤認の対義語・反対語としては、しっかりと理解することを意味する「把握」、対象に深く没入して対象を正しく認識することを意味する「観入」、正しく解釈することを意味する「正解」などがあります。
事実誤認の類語
事実誤認の類語・類義語としては、その人の認識と客観的事実とが一致しないことを意味する「錯誤」、間違って思い込むことを意味する「勘違い」、間違えて思い込むことを意味する「思い違い」、ある事実について間違った理解や解釈をすることを意味する「誤解」などがあります。
事実無根の例文
この言葉がよく使われる場面としては、事実に基づいていないこと、根も葉もないことを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「全くの事実無根」とは、そのような事実は全くないことを強調する表現です。「全くの」とは完全な否定を表します。
事実誤認の例文
この言葉がよく使われる場面としては、事実を誤って認識することを表現したい時などが挙げられます。
例文4では、実際に起こっていない話を「事実無根」と表現しており、実際の出来事を見誤ったことを「事実誤認」と表現しています。
事実無根と事実誤認という言葉は、どちらも事実と違っていることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、事実に基づいていないことを表現したい時は「事実無根」を、事実を誤って認識することを表現したい時は「事実誤認」を使うようにしましょう。