似た意味を持つ「隆盛」(読み方:りゅうせい)と「興隆」(読み方:こうりゅう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「隆盛」と「興隆」という言葉は、どちらも勢いが盛んなことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
隆盛と興隆の違い
隆盛と興隆の意味の違い
隆盛と興隆の違いを分かりやすく言うと、隆盛とは盛んであることを静的に捉えた表現、興隆とは盛んであることを動的に捉えた表現という違いです。
隆盛と興隆の使い方の違い
一つ目の隆盛を使った分かりやすい例としては、「業績はますます隆盛である」「かつての隆盛を誇る門構えです」「隆盛期に建てた本社ビルを退去する」「新規事業のご隆盛をお祈り申し上げます」などがあります。
二つ目の興隆を使った分かりやすい例としては、「西洋文化の興隆について論じる」「仏教興隆の地を訪ねる」「興隆期に入る動画配信事業に参入する」「ハプスブルグ家の興隆と衰亡に関する論文です」などがあります。
隆盛と興隆の使い分け方
隆盛と興隆という言葉は、どちらも物事に勢いがあり盛んなことを表し、ほぼ同じような意味を持つ言葉ですが、ニュアンスには違いがあります。
隆盛とは物事が盛んであることを静的に捉えるニュアンスががあり、興隆とは物事が盛んになっていることを動的に捉えるニュアンスがあります。このニュアンスの違いは、興隆という言葉の「興」にあり、新しいものが生じ勢いが盛んになる意味合いを持つ漢字です。
物事に勢いがあるという意味合いを強めたい時には、隆盛よりも興隆を使うと良いでしょう。
隆盛と興隆の英語表記の違い
隆盛を英語にすると「prosperity」「thriving」となり、例えば上記の「ますます隆盛である」を英語にすると「more prosperous than ever」となります。
一方、興隆を英語にすると「rise」「flourishing」となり、例えば上記の「文化の興隆」を英語にすると「the flourishing of culture」となります。
隆盛の意味
隆盛とは
隆盛とは、勢いが盛んなことを意味しています。
表現方法は「隆盛を極める」「隆盛を誇る」「隆盛する」
「隆盛を極める」「隆盛を誇る」「隆盛する」などが、隆盛を使った一般的な言い回しです。
隆盛の使い方
隆盛を使った分かりやすい例としては、「インカ帝国が隆盛を極める時代だった」「ルネサンス隆盛期の代表的な作品です」「ネット通販が隆盛を極める昨今です」「生活様式の変化でテレワークが隆盛する」などがあります。
その他にも、「ご隆盛のこととお慶び申し上げます」「古着ファッションは90年代前半に隆盛を極める」「昨今の隆盛を誇る外食産業チェーン店です」「茶文化の隆盛期はいつですか」「60年代にロックが隆盛を迎える」などがあります。
隆盛という言葉の「隆」とは勢いが盛んであることを表し、「盛」とは力が盛んであることや大いに栄えることを表します。隆盛とは、栄えて盛んなことを意味し、上記の例文のように国や文化あるいはブームなどについて使われる言葉です。
「ご隆盛のこととお慶び申し上げます」の意味
上記の例文にある「ご隆盛のこととお慶び申し上げます」とは、かしこまった挨拶文で用いられる表現です。「ご隆盛」とは、会社や団体組織に対して栄えている様子を称賛する言い方です。個人宛の手紙には使わない方が良いでしょう。
「文運隆盛」の意味
隆盛を用いた四字熟語には「文運隆盛」があります。学問や芸術、文化や文明が栄えて勢いさかんなことを意味し、「平民にも広がった文運隆盛」などと使います。
隆盛の対義語
隆盛の対義語・反対語としては、勢いや業績などがふるわないことを意味する「不振」、人格や国家などが成り立たなくなることを意味する「破滅」、勢いや活力が衰え弱まることを意味する「衰退」、よくない状態から抜け出せないでいることを意味する「低迷」などがあります。
隆盛の類語
隆盛の類語・類義語としては、勢いの盛んなことや栄えることを意味する「隆昌」、権力や財力によって世に時めき栄えることを意味する「栄華」、にぎわい大いに栄えることを意味する「繁盛」などがあります。
興隆の意味
興隆とは
興隆とは、勢いが盛んになることを意味しています。
表現方法は「興隆する」「興隆させる」「ご興隆のことと」
「興隆する」「興隆させる」「ご興隆のことと」などが、興隆を使った一般的な言い回しです。
興隆の使い方
興隆を使った分かりやすい例としては、「戦後に興隆期を迎える会社が数多く存在した」「地域文化の興隆の拠点となる」「東南アジアの興隆を促す政策です」「ご興隆のこととお喜び申し上げます」などがあります。
その他にも、「貴社ご興隆のことと拝察いたします」「推古天皇の時代に仏教興隆の詔が出された」「武士が興隆する時代であった」「業界を興隆させる起爆剤が欲しい」「私が大学生の頃、ゲノム研究の興隆期でした」などがあります。
興隆という言葉の「興」とは、勢いをつけることや盛んな状態にすることを表します。興隆とは、物事が盛んになり勢いがふるうことを意味する言葉です。国や団体だけでなく、文化や時代の流れに対しても用いられています。
「仏教興隆の詔」の意味
上記の例文にある「仏教興隆の詔」とは、 594年に推古天皇が仏教を盛んにするために出し詔のことです。これにより氏寺の建立が盛んになったと言われています。
興隆の対義語
興隆の対義語・反対語としては、勢いの衰えたようすを意味する「衰勢」、次第に衰え滅びることを意味する「衰亡」、絶えてなくなってしまうことを意味する「滅亡」、衰え弱ることを意味する「衰弱」などがあります。
興隆の類語
興隆の類語・類義語としては、にわかに勢力を得て盛んになることを意味する「勃興」、栄えて発展することを意味する「繁栄」、奮い立つことや盛んになることを意味する「作興」などがあります。
隆盛の例文
この言葉がよく使われる場面としては、勢いが盛んなことを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「隆盛を誇る」とは、国や団体などが成長し栄えることを表します。「誇る」は、誇示すべき状態にあることを表す言葉です。例文2の「隆盛を極める」とは、これ以上ないほど勢いがあって栄えているさまを表します。
興隆の例文
この言葉がよく使われる場面としては、勢いが盛んになることを表現したい時などが挙げられます。
例文1にあるように、興隆は挨拶文に用いられ、相手方が勢いがあり栄えていることを表します。多くは、会社などの組織宛の手紙に使われる表現です。
隆盛と興隆という言葉は、どちらも勢いが盛んな様子を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、盛んであることを静的に表現したい時は「隆盛」を、盛んであることを動的に表現したい時は「興隆」を使うようにしましょう。