似た意味を持つ「お目汚し」(読み方:おめよごし)と「お耳汚し」(読み方:おみみよごし)と「お口汚し」(読み方:おくちよごし)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「お目汚し」と「お耳汚し」と「お口汚し」という言葉は、謙遜する際に使うという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「お目汚し」と「お耳汚し」と「お口汚し」の違い
「お目汚し」と「お耳汚し」と「お口汚し」の意味の違い
「お目汚し」と「お耳汚し」と「お口汚し」の違いを分かりやすく言うと、「お目汚し」は悪い出来の物を表現する時に使い、「お耳汚し」はくだらない話を表現する時に使い、「お口汚し」は粗末な食べ物を表現する時に使うという違いです。
「お目汚し」と「お耳汚し」と「お口汚し」の使い方の違い
「お目汚し」という言葉は、「朝からのお目汚し大変失礼致しました」「お目汚しかとは思いますが見て頂けたら幸いです」などの使い方で、つたなくて見苦しいものを意味します。
「お耳汚し」という言葉は、「お耳汚しとなりますがご容赦ください」「お耳汚し失礼いたしました」などの使い方で、自分の意見などくだらない話を意味します。
「お口汚し」という言葉は、「お口汚しではございますが召し上がってください」「お口汚しにどうぞと高い土産を頂いた」などの使い方で、少量の粗末な食べ物を意味します。
「お目汚し」と「お耳汚し」と「お口汚し」の使い分け方
どの言葉もへりくだる時に使う敬語表現で、ビジネスシーンや日常生活問わず目上の相手に使われますが、若者の間ではほとんど使われていません。
「お目汚し」と「お耳汚し」はどちらも辞書には載っていないものの、前者は文章や絵などの芸術作品などの目に見えるものに関して謙遜する場合に、後者は意見や歌唱など耳に聞こえるものに関して謙遜する場合に使われる言葉です。
一方の「お口汚し」は、口を汚すようにおいしくないものという意味ではなく、汚してしまうだけど少量の食べ物を指し、粗末な食べ物という意味が転じて少量の飲食物であることをへりくだる時にも使われるようになりました。
また今日では、謙遜のし過ぎであったり、本来の意味が伝わらず相手に悪いイメージを与えてしまうこともあるため、別の表現に変えて使われることが多いです。
これが「お目汚し」、「お耳汚し」、「お口汚し」の明確な違いです。
「お目汚し」の意味
「お目汚し」とは
「お目汚し」とは、つたなくて見苦しいものや見苦しいものを恐縮しながら見せることを意味しています。
「お目汚し」の読み方
「お目汚し」は「おめよごし」という読み方をしますが、「おめけがし」などの読み方はなされません。
「お目汚し」の言い換え語
「お目汚し」に代わる表現として、「お見苦しいものをお見せして失礼いたしました」「つまらないものを見せてしまい申し訳ありません」などがあります。
自身が作成した文書、絵や写真などの目で見るような作品を相手に見せる際に多く使われる言葉ですが、愚痴や言い方が悪くなってしまう文章などに対しても使うことができます。
表現方法は「お目汚し失礼しました」「お目汚し失礼いたします」
「お目汚し失礼しました」「お目汚し失礼いたします」などが、「お目汚し」を使った一般的な言い回しです。
「お目汚し」は目上の人だけに使う
基本的にビジネスシーンから日常生活まで幅広く使われていますが、目上の人以外に対してはあまり使われません。
「お耳汚し」の意味
「お耳汚し」とは
「お耳汚し」とは、自分の発言や意見を聞いてもらうことを意味しています。
「お耳汚し」の読み方
「お耳汚し」は「おみみよごし」という読み方をしますが、「おみみけがし」などの読み方はなされません。
また、つまらないことや嫌なことを聞かせて不快な気持ちにさせることを意味する「耳を汚す」という慣用表現は「みみをよごす」という読み方をしますが、「みみをけがす」という読み方がされることもあります。
「お耳汚し」の言い換え語
「お耳汚し」に代わる表現として、「僭越ながら」「大変失礼かとは思いますが」「こんなことを申し上げるのも失礼かとは思いますが」「差し出がましいようで恐縮ですが」などがあります。
表現方法は「お耳汚し失礼しました」「お耳汚しすいません」
「お耳汚し失礼しました」「お耳汚しすいません」などが、「お耳汚し」を使った一般的な言い回しです。
「お耳汚し」は目上の人だけに使う
主にビジネスシーンにおいて目上の人に対して意見を言う前に先んじて伝える言葉として使われ、日常生活ではあまり使われていません。
「お口汚し」の意味
「お口汚し」とは
「お口汚し」とは、口を汚す程度の少量の食べ物であるため腹が満たされないことを意味しています。
土産を持参して相手に渡す時や、料理をもてなした時、料理を勧める時などに使う敬語表現です。
「汚す」という言葉に、汚くすることや不正なことをするという意味があることから、まずい、美味しくないというマイナスイメージを与えるように感じますが、「お口汚し」はへりくだった言い方で悪い意味はありません。
「お口汚し」の読み方
「お口汚し」は「おくちよごし」という読み方をします。「おくちぎたなし」という読み方をすることもできますが、「口汚い」という言葉は、聞く人が不快に感じるほどに言葉遣いが乱暴である様子を表すため、意味が異なります。
「お口汚し」の言い換え語
「お口汚し」に代わる表現として、「つまらないものですが」「お口に合えばいいのですが」「お口に合うかどうかわかりませんが」などがあります。
表現方法は「お口汚しですが」「お口汚しですみません」
「お口汚しですが」「お口汚しですみません」などが、「お口汚し」を使った一般的な言い回しです。
「お口汚し」の類語
「お口汚し」の類語・類義語としては、客に提供する料理をへりくだっていう言葉である「口塞ぎ」(読み方:くちふさぎ)があります。
「お目汚し」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、つたなくて見苦しいものや見苦しいものを恐縮しながら見せることを意味する時などが挙げられます。
基本的に、へりくだる時に使われる言葉であるため、目下の人や同い年の相手に対して使われることはほとんどありません。
「お耳汚し」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分の発言や意見を聞いてもらうことを意味する時などが挙げられます。
例文1や例文2のように歌唱前後や、ラジオなどのトークの前後に使われることが多い言葉ですが、例文3のようにビジネスシーンで使われることもあります。
「お口汚し」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、口を汚す程度の少量の食べ物であるため腹が満たされないことを意味する時などが挙げられます。
例文1と例文2の「お口汚し」が含まれている文節は、「つまらないものですが」や「お口に合うかどうか分かりませんが」などに置き換えて使うことができます。
「お目汚し」と「お耳汚し」と「お口汚し」どれを使うか迷った場合は、悪い出来の物を表す場合は「お目汚し」を、くだらない話を表す場合は「お耳汚し」を、粗末な食べ物を表す場合は「お口汚し」を使うと覚えておけば間違いありません。